2021.09.22
注目が集まる自民党総裁選、候補者は経済政策についてどう考えている?
任期満了に伴い行われる、自民党総裁選。今後の日本社会を背負う総裁が決まる以上、私たちの暮らしにも大きく関わる行事といえます。ただニュース、SNS、ワイドショーを見てもなかなか理解しづらいことばかり……。「誰がどんな考えをもって出馬しているの?」といった疑問が浮かんでいる人も多いのではないでしょうか。
『田中秀臣の最新経済ニュース(2021年9月号第1回)』では、今後の経済政策に対する総裁選候補者の考えが詳しく解説されています。本授業を受講すれば、それぞれの候補者の考えが整理できるはず。講師を務めるのは、経済学者の田中秀臣先生です。
なお本授業は、候補者の所信表明での発言や出馬会見にて公表された情報を整理してお伝えし、受講した人の疑問点を解決する、また総裁選への理解が深められる内容となっています。決して、次期総裁にふさわしい人を予想する授業、誰が適任なのかを明確にする授業ではありません。あらかじめご理解の上、ご受講ください。
出馬を表明した候補者の金融・財政政策
金融所得課税・増税の影響は投資家だけにとどまらない!
先生は授業の後半で、金融所得課税について触れます。先生曰く「もしこの税率が上がった場合、影響を受けるのは投資家だけではない。投資していない人にも影響がある」とのこと。
もともと金融所得課税は、年間所得が1億円を超える人に増税をして、税の歪みを正すための税制度だったそうです。税の歪みは所得の再分配の歪みともいえますが、これによって歪みがなくなってもその効果は限定的。むしろ金融所得課税によって、株式投資などが阻害され、それが経済全体を低迷させる可能性や、または株以外の幅広い金融資産への「大衆課税」的な側面もあることが、番組では解説されています。
授業では他にも「日銀の人事リスク」「立憲民主党が掲げた公約」「消費税減税」について詳しく触れられています。ニュースやワイドショーを見ても自民党総裁選のことが分からないと悩んでいる人は、ぜひ本授業を受講して理解・関心への一歩を踏み出しましょう!
文=トヤカン
本授業の放送日、9月10日時点で自民党総裁選の出馬表明をした人、出馬意思がある人、出馬の可能性があると考えられている人は5名。岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏、石破茂氏、野田聖子氏です(9月15日、石破氏は出馬表明を断念)。
先生は授業内で、すでに出馬表明済みの岸田氏、高市氏、河野氏それぞれの金融政策・財政政策について解説していきます。
最初は岸田氏の経済政策についてです。先生は彼の金融政策・財政政策を以下のようにまとめて提示しました。
そもそも金融政策とは、中央銀行が行う通貨や金融のコントロールのこと。昨今のメディアでよく聞く「金融緩和政策」とは、政策金利の引き下げや貨幣供給量の増加、予想に働きかけることで、投資や消費などの経済活動を促進させることを指します。逆に、政策金利の引き上げや保有資産の圧縮による市場の通貨供給量の減少で、消費や投資などの経済活動を抑制することは金融“引締め”政策と呼ばれます。
現状、日本は新型コロナウイルスの影響で景気が悪化している状態。したがって金融緩和が妥当のように思えます。ただ「岸田氏は金融緩和には消極的」と語る先生。理由は、岸田氏の書籍『岸田ビジョン-分断から協調へ-(講談社)』の中で「これ以上金融緩和をすれば、銀行が損をしてしまう」という記述があったためです。
では、増税や減税、国債発行などが関与する財政政策はどのように考えているのでしょうか。先生曰く「岸田氏は1回目の記者会見で『補正予算額は30兆円前半』と述べていた」とのこと。しかし、この30兆円はコロナ禍の生活支援政策に当てられるものであり、コロナ収束後の景気刺激を促す政策に当てられるという発言はなかったそうです。
また、いま注目が集まっている消費税の増税。「10%以上になるのは勘弁してほしい……」と思っている人も多いのではないでしょうか。先生曰く、岸田氏は「消費税増税の選択肢はない、いじらない」と述べているそうです。ただ岸田氏の書籍では、金融所得課税の増税について大きく触れられているとのこと。「こちらが増税する可能性が考えられる」と先生は語ります。
授業ではこのような流れで、高市氏と河野氏の金融・財政政策に対する考えにも詳しく触れられます。2人は経済政策に対して、どのような考えを持っているのでしょうか。詳細は、実際の授業で確認してみてください。