2020.03.06
日本のヘルスケア領域はどうなる!? 中尾豊先生、井上智子先生と考えるヘルステックと医療
ヘルステックに携わる2人の先生が語る、医療と健康への展望とは?
2025年には「超高齢社会」になると予想されている日本。
また昨今は、新型ウィルス問題、健康寿命と平均寿命の差が広がっている問題なども注目されており、医療や健康といったヘルスケア領域に対する人々の関心は急速に高まっています。
この授業で取り上げられたのは、いま世界のヘルスケア領域で活躍の幅を広げているヘルステック。このテクノロジーは、健康増進だけではなく、医療従事者側にも大きなメリットをもたらすと期待されているのです。
講師を務めるのは、株式会社カケハシ・代表取締役CEOの中尾豊先生、オムロンベンチャーズ株式会社・代表取締役社長の井上智子先生の2人。
それぞれの先生が培った経験をもとに、いまの日本のヘルステック事業と今後の展望について考え、ギャップを埋められる1時間となりました。
ここではそんな授業の中で注目すべきポイントを紹介します。
健康に生き、健康に死ぬ世界が理想。しかし問題・課題はまだ多い
日本の薬剤師、薬局にどのように付加価値を見出していくかがとても重要
2つ目のトピックスは「株式会社カケハシの取り組み」について。
製薬会社勤務の経験を持つ中尾先生は、授業内で「薬剤師と薬局の付加価値に対して取り組んできた」と語ります。
日本の薬剤師数は30万人を超え、薬局にいる薬剤師は18万人と、世界各国と比べて人口対比率が多いにも関わらず、そのリソースは「患者にお薬を渡すだけ」と認識されているのが現状です。
中尾先生はこの点にもったいなさと価値を感じたとのこと。実際にどうすれば医療知識の豊富な薬剤師が、患者の疾患、薬、生活レベルまで入り込んだ正しいアドバイスや付加価値を提供できるようになるのか」について調査を行なったそうです。
ただこの調査で浮かび上がった大きな壁は、「医療分野のスタートアッにおいて非常に難しい」と中尾先生を悩ませるほど。そしてこの課題を解決するヒントは薬剤師や薬局が抱えるペインポイントにありました。
中尾先生が直面した大きな壁とは?また薬剤師や薬局が抱えるペインポイントとはいったい。詳細は動画をご覧ください!
第4回目となる次回の放送のテーマは「テクノロジーの視点から考える、次伸びそうな領域は何か」(出演者:武樋恒/池戸憲夫)です。
ぜひチェックしてみてください!
文=トヤカン
1つ目のトピックスは、「医療・ヘルスケアを通じて人類が目指す世界とは?」についてです。
医療機器のベンチャーキャピタルの設立や日本、シリコンバレーなどのシード~アーリーステージの医療機器ベンチャー投資に携わってきた実績を持つ井上智子先生が掲げる理想の世界像は「健康に生きて、健康に死んでいく世界」。
「この理想の実現は難しいとは感じるけども、最近のウェアラブルデバイスなどの進展によって、実現可能なんじゃないかなと思っています」と井上先生は語ります。
また、株式会社カケハシを創業し、内閣府主催の産官協議会「次世代ヘルスケア」に招聘された実績を持つ中尾豊先生が掲げた理想は、「無意識かつ自然に、国民が健康に関する情報が取れて意識や行動が変えられる世界」。
現代はメドティックの急速な発展は見られるものの、病気にならないための意識的な行動はほぼとられていません。
しかし中尾先生は、「だからこそ、いかに無意識かつ自然にヘルステックを可能にするかが理想だ」と語ります。
これら理想の実現には“情報管理”に関する課題克服が不可避。
そこで井上先生が授業内で取り上げたのは、ほとんどの国が実現できていない医療情報の共有プラットフォームをイギリスで実現しているスタートアップの取り組みでした。