“学びたい”を刺激するメディア。

2022.12.15

column

「あなたしかいない」を伝える。断られない依頼メール

「あなたしかいない」を伝える。断られない依頼メール

相手に嫌がられずに急なお願いをする方法はないものか。上司に意見をしなければならず、気を使う……。このような場面は社会人生活で数多く発生し、そのたびに気が重くなってしまっているという人も少なくないはずです。

そこでどのような文章を書けばよいのか、編集者・記者を経て現在は「Super Writer養成講座」などで“伝える技術”をレクチャーする、伝える力[話す・書く]研究所の山口拓朗さんにお話を伺いました。

※この記事はSchooの授業『「急なお願い」「意見指摘」「催促」が上手く“伝わる”文章』を再編集しています。

目次

  • その文章、「自分本位」になっているかも
  • 快諾をもらう書き方
  • 相手をムカッとさせない意見・主張の書き方

その文章、「自分本位」になっているかも

最初にお伝えしたいのは、「文章コミュニケーションが不得意な人の特徴」です。例えば、下記のような文章に遭遇した経験はありませんか? 

 

・冷たい

・偉そう

・敬意が足りない

・言葉が足りない

・気が利かない

・要点が見えない

 

「まさか自分の文章はそうなってはいないはず」と考える人がほとんどでしょう。しかし、コミュニケーションで重要なのは“相手がどう受け取ったか”です。

 

上記に共通するのは「自分本位」という問題であり、客観的に自分の文章を見直すことが改善の1歩目となるでしょう。 みなさんは、「究極の文章コミュニケーション」とはなんだと思いますか? 私は「相手に自分の望みどおりに動いてもらうこと。そのうえで相手から好意と信頼を寄せてもらうこと」と定義しています。

 

自分の望み通りに相手に動いてもらうなんて言うと、なんだか傲慢なように受け取る方がいるかもしれません。 しかし、自分の望み通りに動いてもらうために必要なのは「自分本位」の逆、相手の立場に立って考えることです。

 

相手が気持ちよく望みを答えられるような「文章コミュニケーション」をまずは念頭に置きましょう。 もちろん私の定義が唯一の正解ではありません。ときには効率を重視すべき場合もあります。大切なのは、労力と効果のバランスなのです。

 

 

快諾をもらう書き方

 

相手に動いてもらうためには、どういった文章をつくればよいのでしょうか。ここでは、具体的な方法論についてご紹介します。

 

一つ目は、「相手から快諾をもらうお願い・依頼メールの書き方」。依頼メールの書き方のポイントは以下です。

 

・相手の自己重要感を高める言葉を使う

 

自己重要感とは、「『自分は重要な存在である』という自己認識のこと」。 例えば、商品のキャッチコピーをお願いされた場合、下記のような依頼のされ方では、なんとなく乗り気にならないのではないでしょうか。

 

「鈴木さん、商品Zのセールスコピー作りを手伝ってください。よろしくお願いいたします。」

 

一方で、自己重要感を高める依頼文の例は、下記の通りです。

 

「商品Zのコピー作りに力をお貸ししていただけませんでしょうか。この商品を売れるのは○○に精通する鈴木さんをおいて他にはいない、というのが販促部の一致した意見です。お受けいただけますと大変助かります。ご検討いただけますようお願いいたします。」

 

鈴木さんの力を評価していることを伝えているのがポイントです。元の依頼文よりも、仕事を引き受ける気が湧いてくることが、一読して伝わるのではないでしょうか。 表情などで伝えられない文章では、対面でのコミュニケーション以上にはっきりと言語化して「心から思っている」ということを示しましょう。

 

「なぜ依頼しているか」が伝わってきますし、ほかのだれかではなく相手(例文の鈴木さん)に依頼する理由が伝わる内容を書くことは非常に重要です。 また「依頼相手の今の仕事の状況を確認」するような内容も入れられるとなおよし。相手の立場で考える意識がそこでも効果を発揮します。

 

相手をムカッとさせない意見・主張の書き方

対立する意見を主張しなければならない場面も、ビジネスの現場では発生します。そんなとき、どうすればお互い気持ちよくコミュニケーションを取ることができるのでしょうか。

 

「相手をムカッとさせない意見・主張メールの書き方」をご紹介します。 重要なキーワードは「アサーティブ」。「『相手のことを尊重しながら自分の意見や主張を伝える』という自己表現方法」を意味します。 『相手がOK、自分もOK』という立場に立つことが非常に重要です。

 

自分の意見や主張を押し付けるのではなく、それでいて完全に相手の言いなりになるのではない、相手も自分も尊重したコミュニケーションを行いましょう。

 

原文を修正する形で、その例をご紹介します。

 

【原文】

「Aさんはデザインのプロではありませんよね? 余計なアドバイスはどうぞお控えください。」

 

【修正文】

「Aさん、率直なご意見ありがとうございます。 色が目立たないというのは、ごもっともだと思います。 ただ、商品イメージを損ねないためには、 現在のローズピンクが最適だと考えます。」

 

相手の意見が正しいか間違っているかに関わらず、「相手がそう思った」という事実は存在します。ですから、まずは意見に対し感謝を伝えるなど、相手を尊重している姿勢を示しましょう。

 

一方で、自分の意見についても遠慮せず、はっきりとかつ丁寧に書き記すことが真に「アサーティブ」なやり取りにつながります。 また、アサーティブにコミュニケーションするためには、自分自身への『自己肯定感』も重要です。

 

自分のことを認められていなければ、「どうせ間違っている」「わかってもらえない」と自分の考えを伝えることに臆病になってしまうでしょう。 円滑なコミュニケーションのためには、まず自身のコンディションを整えることが重要なのです。

 

自分のことが受け入れられるようになれば、相手のことも受け入れやすくなるはずです。 とはいえ、「自己肯定感」が低く悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

 

日本人は自責で考えることが推奨される風潮もあり自己肯定感が低くなってしまっている人も多いものの、もっと自分にOKを出してあげていいのではないでしょうか。

 

適切なお願いメールや意見指摘の文書の書き方はイメージできましたでしょうか。ぜひ、今回の例文を参考に、テキストコミュニケーションをよりよくしていきましょう!

 

 

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
「急なお願い」「意見指摘」「催促」が上手く“伝わる”文章

関連記事

おすすめ記事

ペンシルからのプッシュ通知を設定しておくと、新着記事のお知らせなどをブラウザ上で受信できて便利です。

通知を受信しますか?