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2019.03.15

interview

「どん底まで落ちても、あとは這い上がるだけ」——何を学べば、小橋賢児先生のようになれるのか?

「どん底まで落ちても、あとは這い上がるだけ」——何を学べば、小橋賢児先生のようになれるのか?

何を学べば小橋賢児さんのようになれるのか(LeaR株式会社 代表取締役/クリエイティブディレクター)

目次

  • 夢を語るな。目の前のことに全力で取り組め
  • 全人類がクリエイター。誰だって「自分の人生を創造できる」
  • 物事の見方をどう捉えるかで、豊かさは変わってくる
「何を学べば○○さんのようになれるのか(通称なにまな)」。学び続けることで自分らしい生き方を切り開く20人に、 スクーアナウンサー中田有香と受講生が直接問う30分の授業です。

今回は、LeaR株式会社代表取締役クリエイティブディレクターの小橋賢児先生の授業で語られた人生の転機や挫折から得た学び、これから目指す先についてご紹介します。

小橋 賢児 先生

LeaR株式会社 代表取締役/クリエイティブディレクター

中田 有香

受講生代表

学びノート

SESSION27歳。突如、俳優業を引退。そこから始まった人生の「急降下」

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それでは、今週の先生をご紹介します。LeaR株式会社代表取締役クリエイティブディレクターの小橋賢児先生です。よろしくお願いします。

38

よろしくお願いします。

27

さて、小橋先生は8歳の頃に芸能界デビューされて、2007年に俳優活動を休業。その後、2012年には映画監督としてデビューされます。

2014年からスタートした日本最大級の音楽イベント「ウルトラジャパン」は、エイベックスと二人三脚で取り組まれ10万人規模のフェスまでご成長させたということで、様々な面で活躍されていらっしゃいます。

今日は、そんな小橋先生の過去と未来について伺っていこうと思います。

38

恥ずかしいですね(笑)

27

よろしくお願いします。それでは、さっそくお話を伺っていきたいと思います。

まず、転機として伺っているのが、29歳から30歳の頃ということなんですが、どのようなことがあったのでしょうか。

38

僕は8歳から27歳くらいまで俳優をやっていて。

その後、もっと自分の可能性はいろいろあるんじゃないかなと思って突如、俳優を休業して海外に行ったんです。

世界中のいろんなものを見てきて、いろんな刺激を受けました。日本に帰ってきたら、周りの友達が止まっているように見えて。

自分はなんでもできるような気になって、いろいろチャレンジしたんです。

8歳からずっと俳優をやってきた僕がいきなり新しいチャレンジをしても、社会ってそんなに甘くないなって。

27

どんなチャレンジをされたんですか?

38

とにかく、いろんな仕事に取り組むんですけど、なかなかうまくいかず。

結局気づいたら、どんどん悪循環に。仕事はない、お金もない、俳優時代に持っていた貯金も底をつき。

やっぱり人間って仕事がないと、とても暇というのが実は一番のストレスで。

人と会うこともなくなってくるし過去の自分にしがみついて、未来を見れば、悲観するみたいな。

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そんな毎日の中で、どんどん自分を見失っていったんです。気づいたら、ストレスが溜まる一方で。

知人ともめ事が起き仕事もないし、全部思うことはネガティブばかりでした。

お先真っ暗になって、しまいには当時付き合っていた彼女もいなくなり。20代最後にすべてを一気に失ったんです。

でも自分では、男は30代からだと漠然と思っていたことがあったんですけど。

SESSION30歳目前。落ちるところまで落ちたら、あとは上を向くだけだ

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でも、気づいたら29歳で。男はここからだと思っているのに、人生一番どん底です、みたいな。そんな感じでした。

そんな中で、実家に戻り、毎日やることがない。過去と未来の中で、自分の今を生きていない中で。気づいたらある意味、鬱というか。

真っ暗闇の中、本当に苦しくなって。苦しさも通り越して、本当に動けない状態になってしまったんです。

追い討ちをかけるかのように、あるとき病院に行って診断を受けたら、肝臓がやばい、と。このままいったら「死にます」みたいな状態でした。

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自分は、男は30からと思っていたのに、30歳まで3カ月しか残っていないという、一番最悪の状態で。

そのときに、二つ思ったんです。

このまま病気を理由に、これからの30代を「病気になったから仕方ないね」と諦めて生きるのか。

いやいや、ちょっと待てよ、と。病気だと気づいたなら、「もう一回、ここからゼロからやり直せば良いじゃん」と。

38

そのときはとことん落ちるところまで落ちていたので、あとは上がるしかない。

そこまでいったなら、ゼロから「やり直そう」と思ったんです。過去の俳優という僕もいないし、今さらそんな僕を誰も知らない。

そんなときにちょっと無茶な目標がないと、あまり切り替えられないじゃないかと思ったんですよね。

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だから、自分の30歳のバースデーを目標に「何かでかいことをしよう」と。

今までだったら、自分のバースデーは人にサプライズされる側で。俳優時代なんか特に、人にサプライズされることを待っちゃっていたけど「もてなされるよりもてなせ」と。

それをテーマに、「自分の30歳のバースデーをプロデュースしよう」と気持ちを切り替えたんです。

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ホテルでプールのイベントをしている先輩がいたので、「僕、瀕死の状態なんですけど、ちょっと貸してもらえないですか?」と言って、プールを丸ごと借りたんですよ。自分のバースデープロデュースをしたいと。

でも、そこにはすごいお金がかかるじゃないですか。

SESSION夜の海。泣きながら「ありがとう!!」と叫んだワケ

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そうですよね。プール貸し切りですもんね。

38

そう。でも、無茶な目標を立てることによって、30歳までに僕は最高で最強の体を作るぞというふうに、小さい目標を立てて。そのときを乗り切ったんですよね。

そのとき、東京の実家にいたんですけど。知り合いの先輩の人が持っている四畳半くらいのアパートを安く貸してもらって。

そこで毎日、トレーニングをしていたんです。トレールランやライフセービングのトレーニングとかを、ただでやらせてもらって。

38

「30歳のバースデーを盛り上げるぞ」というモチベーションでやったのが、自分にとっては、初めてのプロデュースイベントになりましたね。

30歳を迎えるときに、300人くらいの先輩や友達とか、いろんな人たちが来てくれて。

とは言えそのときは、お金もないし、未来のビジョンもない、そして仕事もない状態。

ただ体は元気になったんです。健康で本当に素敵な仲間がいるということで。30歳になった瞬間はまだ部屋の中にいたんですけど。

その瞬間は人生の中で、物理的には、一番貧しかったんですけど、健康な体があって仲間がいるという「豊かさ」を初めて知ったんですね。

38

そこで、夜の海に行って、「ありがとう!!」って言って、号泣したという。

今思えば、間違いなく「どん底」を味わった経験が、僕の新しい人生を切り開いてくれたんだなと思っているんですよ。

僕にとって、挫折と転機は同じだなと思っていて。だから挫折も、挫折だと思っていないんです。その状況にいるときは挫折なんですけど挫折って、何かと比べるから、っていう話じゃないですか。

長い人生の中の道のりを見てみたら、決して、この1点の出来事が挫折って、どこで決めるの?という話なので。今振り返ると僕にとっての転機だったなと思っています。

SESSION夢を語るな。目の前のことに全力で取り組め。 すると、いい未来が待っている

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同じ出来事でも、自分の位置というか。自分が今、渦中にいるのか、どの場面にいるのか。そのあと、どういうふうになったかという見方で、変わってくるんですね。

38

そうですね。

27

「なにまな」でいろんな先生にお話を伺っていて、壮絶な過去を体験をお話いただくのですが。

生活をしていてそんな出来事ないしとか、自分の日常ってすごく平凡だから特に転機とか挫折とかないなと思ってしまっているんですけれど。それも、もしかすると、捉え方なのかもしれないですね。

38

はい。さっきのビジョンとか、夢の話もそうなんです。

30歳である意味で、一度すべてがなくなったような状況のときに、ビジョンとか夢を持てと言っても、どうやって持てば良いのか分からなかったんですよね。

だって、夢を持つには、あまりにも遠すぎるし、生きるか死ぬかの状況だったので。

今では、ウルトラジャパンとか、スターアイランドという花火イベントとか、大型のイベントをプロデュースできるようになったんですけど。

でも30歳のときの僕は、瀕死の状態ですから、そんな夢は持てなかった。

38

よく「どうやったらフェスのディレクターになれるんですか?」って聞かれるんですけど。

僕はフェスのディレクターになろうなんて思ったこと、一度もないんですよね、実は。

一つ一つの出会いを大切にして、その時々を一生懸命にしてきただけなんです。

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「30歳のバースデーイベント」だって、いつかフェスのディレクターになりたいから誕生やった訳ではなく。

あのときは、夢なんかなかったし自分のやりたいことが、「多くの仲間たちを楽しませたい」と、「自分の30代をもう一度、いちからやり直したい」と、ただそれだけだったんですよね。

そして、「体を元気にしたい」みたいな。すごく些細な目標なんですけど、自分のできることで一歩一歩踏みしめていくほうがもしかしたら、自分のまだ見ぬ未来が突然やってくる。そんな感じかなと。

27

なるほど。受講生の皆さんも、もしかすると普段、働いていてビジョンや夢を明確に持てと言われても、ビジョン?大義?何だろう?と思いながら過ごしているかもしれません。

38

そんなの難しいですよ。

27

そうじゃなくて日々、自分の目の前の仕事を、とにかく全力で取り組むと。すると、想像できなかった未来が、待っているかもしれないですね。

38

そうですね。あとは目の前の仕事をただ、言われたままにこなすのではなくて。

その中に、ちょっと自分なりのエッセンスを入れてみて、これがもうちょっと変わったらどうなるだろうとか試してみるのもいいかもしれませんね。

SESSION全人類がクリエイター。誰だって「自分の人生を創造できる」

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これから全人類、クリエイターになるべきだと思っていて。

でも日本ではクリエイターって、横文字の職種、例えばデザイナーとかって思われがちじゃないですか。

でもクリエイティブという言葉は、「創造」ですよね。ということは全人類が、自分の人生をクリエイトすることができるわけですよね。

それって、お金を稼ぐことも、子どもを生むことも、全てがクリエイティブなことじゃないですか。

だから、日常に起きていることも、ちょっと自分のエッセンス、アイディアを入れていれば、誰だってクリエイターだと思うんですよね。

38

でも、僕はクリエイターじゃないからと言って、考えることを捨ててしまっている人、けっこう多いんじゃないかなと思って。

だから日本人にとっての横文字って良くも悪くも、ブランド化されすぎて邪魔しているなと思って。

これからAIによって、シンギュラリティっていう、コンピューターや人工知能が人間の仕事を奪うんじゃないかみたいなことを言われているんですけど。僕は、一概には、そうは思っていなくて。

38

やっぱり、人間の創造力って、もっともっといろんな可能性がある。

だって、AIをつくれたわけですから。AI以上のものをつくれる。でも、勝ち負けじゃないですよね。

もっと言うと自分なりの、自分の宇宙みたいなものを多様に、これからつくれるわけで。そこを、僕はストップしちゃいけないと思っているので。

27

自分がこうしたいと思って、それをできていたら、もう叶っていることだし。自分が本当にやりたいことというのを突き詰めると良いんでしょうかね。

38

そんなことが、日々の中でいっぱいあるんじゃないかなって。まずは、ちっちゃいことからチャレンジ。

ちっちゃいことから変えていったほうが、僕は良いと思いますね。

SESSION物事の見方をどう捉えるかで、豊かさは変わってくる

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ここまでは先生の過去と未来について伺いましたが、最後に受講生からの質問にお答えいただきましょう。

1

どうしたら、先生のように「人生をRPG」のごとく、客観的に捉えられるようになるのでしょうか?

38

別に、RPGのように生きようと思っていたわけじゃないんですけどね(笑)

気づいたら、そういうふうになっていたと。

人生って、引いて見ると、ロールプレイングゲームみたいな感じになっているだけで。

これって小さなトラブル、例えば自分の中での小さな不条理なことや不都合なこととか、非日常のことをどうプラスに捉えていくか、という訓練でしかないなと思っているんです。

38

大きな転機となるようなことを求めても、なかなか来ないじゃないですか。

大事故や大ハプニング、大きな挫折とかって。でも日常で電車が遅れる、上司に怒られる、宿題がうまくいかなかった、いっぱいあるじゃないですか。

27

あります。今日も電車が遅れました。

38

その日常を、どう楽しめるかなんだと思います。そこのチャレンジですね、一番大事なのは。

27

日常のチャレンジを積み重ねることによって、鍛えられていくんですかね。プラスに捉えていくには。

38

そうだと思います。

3

ゴールまでの道のりは一つではない。

4

今の現状をもっとポジティブに捉えることって大事だと思いました。

27

これは本当に日常生活もそうですけれど、仕事の面でも言えることですよね。

38

そうですね。きっと、すべては自分の捉え方次第で、未来や、すべての物の見方が変わると思うんです。

これからは、何でもかんでも新しいものとか、何でもかんでもテクノロジーにいくのではなくて。

物事の見方をどう捉えるかで、本当に豊かさって変わってくるんじゃないかなと思います。

27

ありがとうございます。

本日お越し頂きました先生は、LeaR株式会社代表取締役クリエイティブディレクターの小橋賢児先生でした。ありがとうございました。

2019年03月15日 公開

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