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2020.04.13

Interview

“日本企業よ、現代に「黒船」が来ていることに気づけ”ーーオープンイノベーションで大企業は変革するのか

“日本企業よ、現代に「黒船」が来ていることに気づけ”ーーオープンイノベーションで大企業は変革するのか

オープンイノベーションで大企業はいかに変革するか(出演者:中島 徳至 / 中村 亜由子 / 沙魚川 久史 / 橋本 雄太)

目次

  • オープンイノベーションで大企業は変わるのか
  • 事例で学ぶオープンイノベーション
  • 大企業がやりたいことの突破材はベンチャー企業。そして生まれてしまう確執
  • 日本のオープンイノベーションは遅れている? 今の日本は鎖国の終わりと同じ状況
  • オープンイノベーションが上手くいかないのは、「NIH症候群」が原因
今、企業はこれまでとは異なるやりかたで商品 / サービスを開発することが求められています。しかし、技術が指数関数的に進化し、消費者のニーズがめまぐるしく変化する現代において、国内外との競争に常に打ち勝ち続けることは容易ではありません。

そこで提唱されているのが「オープンイノベーション」と呼ばれる手法です。自社外のパートナーと連携することで、社内に眠る技術を活用し、社外の新しい技術を取り入れ、自社だけでは提供することのできない価値を創出していきます。

一方、海外にならってオープンイノベーションが語られ始めて久しい昨今、ビジネスに結びついていないのが現状です。どうすればオープンイノベーションをきっかけにビジネスが生まれるのでしょうか。

本放送ではオープンイノベーションを実践する4人の先生をお招きし、その実情をお伺いしました。

中島 徳至 先生

Global Mobility Service 代表取締役

中村 亜由子 先生

eiicon company 代表/founder

沙魚川 久史 先生

セコム(株) オープンイノベーション推進担当 リーダー

橋本 雄太 先生

京浜急行電鉄株式会社 新規事業企画室

田原 彩香

受講生代表

学びノート

SESSIONオープンイノベーションで大企業は変わるのか。

2851

私なんかは転職で実は京急電鉄に入ったので、ある種京急らしくないんですよね、マインドとしては。そういう人間が増えていくと大企業も変わってくるんじゃないかななんて思いますね。

2843

私もそうですよ。だからそうなのかも知れないですね(笑)

13

性質というか、外から入ってきた人がいい感じに新しいことを。

2843

やっぱり新卒で入って、同期とかがたくさんいる人って変わったことやると、あいつ何やってんだって同期とかの中で難しくなるのかなって気はしていますね。外からきた人だから変わったことしてても、あいつはしょうがないよなって言われる気がしますね。

2851

いくつか会社見ていると、会社の視点じゃなくなるというか。世の中全体の中で、この会社でこんなこと出来るかなみたいな目線に変わってきているような、自分自身そんな感覚がありますね。

13

良くも悪くも社にの人からは変わった人だなと見られたりとか、目立ってるなとか、マスコット的存在なんですね。

2842

でも、まだきっとそうであって、オープンイノベーションが普通ごとになっていけばそんなこともなくなると思うんです。

2842

転職組もそうですし、新卒組もそうなんですが、我々がオープンイノベーションプラットフォーム、eiiconとして関わる方々みんな変わってて。

13

そうなんですか。

2842

今全員変わっていると呼ばれている人が多いことは間違い無いです。、なので、これがイノベーターなんだろうなって。これがマジョリティーになっていけばもっと本当にイノベーションが起きるんじゃないかと。

13

イノベーションが起きるってことなんですね。

SESSION事例で学ぶオープンイノベーション

13

では続いて、中島さん。どのような取り組みを行っているのかお聞きしたいと思います。いかがでしょうか?

2841

いきなりですが、世界で17億人の人が車を買いたいと思っても買えないということをご存じですか?

13

17億!そんなにいるんですか?

2841

そんなにいるんですよ。新興国に行くと排ガスとか騒音とかでひどいじゃないですか。

2841

なんで車を買い換えないんだろうと、なんで警察は取り締まらないんだと思っている方多いでしょう。あれ、古い車を乗り続けるしか無いんですよ。

13

壊れないと買わないとか。高いですもんね。

2841

そうですよね。買いたくても買えない。これ大きな社会問題なんですよ。だって、世界で自動車メーカーがこぞって販売しても1億台しか売れないんですよ。

2841

まだ17億人もいるということは、そこになぜ金融機関はローンサービスを提供しないのかと。

2841

自動車メーカーだって、ローンでもリースでも提供すれば新しい車が売れていくわけですよね。なぜ提供できないんだっていうふうに僕自身が新興国で働いていた時に感じたんですね。実際そういった大きな社会問題を感じて、この会社を作ったのです。

13

じゃあ、ほとんど買いたくても買えない人がいるという国のほうが多いんですか?

2841

多いですね。結局そういった国の方々って、平均年齢が全然日本と違って、25歳くらいなんですよ、日本の高齢化社会と違くって。

2841

頑張ってこれから働こうって思ってるのになかなかローンを認めてくれない。そこを背中を押すっていうことが非常に重要じゃないですか。

2841

それを私たちベンチャー一社ではなかなかクリア出来ませんからね。だから金融機関と提携をするだとか、自動車メーカーと提携するだとか、行政と提携するだとか。大きな社会問題を一緒に解決していく。こういうことを僕は求められてるし、これこそがオープンイノベーションだろうと思っています。

13

ある課題に対して、中島さんの場合だと、ローンがなかなか通りにくい自動車、買いたくても買えない人がいるから、それを解決するために中島さんと得意な分野の企業と提携して実現していると。

2842

そうですね。

SESSION大企業がやりたいことの突破材はベンチャー企業。そして生まれてしまう確執

13

一緒にやるのは大企業が多いんですか?

2841

すべて大企業です。

13

すべて大企業!

2841

やっぱり主体性を私たちが持ちながら、大企業の方々も課題を持っていますから。その課題をひとつずつ持ってきてもらって、一つの形にしていく。これが私たちスタートアップに求められている一つのあり方だろうと思っていますね。

13

大企業の課題ってどんなことなんですか?

2841

やっぱり自分たちの力だけでは超えていけないという自覚を持たれてますよね。

2841

いくら会社の看板が素晴らしくても結局社内を突破するにはこれまでオペレーションを積み上げてきた実績ある方々が結構役員をやられていたりとか、取締役だったりしますよね。

2841

新規事業をやろうと思うと、オペレーション部門以外のエース級の方が旗を振らないと立ち上がらないと思うんです。

13

社内の事情が。

2841

結局色んな事情がある中で社内だけでは創出できない新サービスを外部の力によって達成していくということになります。

2842

よく「協業」とどう違うのって話が出ます。中島さんのも見方によって協業とも呼べるんですが、じゃあそれって大企業の中で共創せず、新規事業としてできるのかというと、、やはりなかなか出来ないんですよ。

2842

中島さんのやろうとチャレンジされている領域そのものが社会課題解決に直結する分野なので、大企業がその分野に取り組みたい、新興国の方々に安く車を提供したいと思うことは多いと思うのですが自社の中で思ったとしても自分たちだけではなかなか一からチャレンジできないんですよね。

2842

だったら自分たちの得意なリソースを中島さんと提携することで、その事業を使ってもらうっていう、新しいイノベーションを起こしていくところに参画していくという構図ですよね。

2841

そうですね。突破材料に使うってことですよね。スタートアップを突破材用に使いながら、最初の難しいところをスタートアップに任せていくと。

2841

ある程度までマネタイズポイントが見えたところで大企業らしく一気に予算をパッと使っていこうという進め方も、僕は一つの重要な攻め方かなと思いますよね。

13

最初は大変ですよね。そういった積み上げてきた大企業と提携するには結構工夫が必要そうな気が。

2841

かなり必要ですね。

13

かなり必要(笑)苦労された点などは?

2841

今オープンイノベーションが進んでいますから、色んな会社行くと新規事業担当だとか、なかなか素晴らしい方もいるんですけど、稀に、この方がほんとに新規事業担当に向いているのか?という方もいますよ(笑)

13

実際正直言って(笑)

2841

要するに、本当は周りの部門、さらには他の業界や地域まで巻き込める方がイノベーション担当である必要があるのです。

2841

本当にこの方に任せて大丈夫か?ってこともあるんですよ。あまり言えないですけどね(笑)

13

大きな声では言えないですが(笑)

2841

実際はその会社を将来しょって立つんだっていうようなエース級の方が新規事業部に出てきたり、CVCに出てきたりして。

2841

やってもらいたいんですけど、それがなかなか難しいっていう現状があるんですよ。あとは、上司がベンチャーに対して、どうしても下請け的に見たりするんですよね。未だに対等な目線じゃない企業が多数ある現状を知ってもらいたいと思います。

13

なるほど。ベンチャーの良さが分かっていないんですかね。

2842

まだいます?

2841

はい、これは契約書問題があるんですよ。

2842

契約書がすごい上からなんですよね?大企業に有利になっている内容(笑)

2841

そういうことですよ。この辺は悩ましいですね。

13

いろいろ課題がありそうですね。大企業とベンチャーの確執みたいな。

2843

確執ってわけではないんですよ(笑)

13

言いすぎました(笑)

2843

色々突破していかなきゃいけない障害があるってことかなとは思います。

2842

違う国レベルで文化が全く違う。

13

文化が違うってことなんですね。

2841

そうですね。やっぱり自前でやってこられた技術を社内で大切に大切に積み上げてこられた方が、新たなベンチャービジネスと手を組むと、自分たちの領域を食われてしまうんじゃないかみたいな考えを持たれることもしばしばあります。

13

なるほど、そういうところもあるんですね。

2841

大企業は自社の商品やサービスの利用意義を確保したいという考えが強いんです。

2842

一方でそこは大企業の経営幹部がチャレンジしたい領域なんですよね。特に大企業のイノベーションのジレンマ領域へのチャレンジは企業命題なので。

13

なるほど、そういうことなんですね。

SESSION日本のオープンイノベーションは遅れている? 今の日本は鎖国の終わりと同じ状況

13

コメントが届きましたので、ご紹介します。「日本におけるオープンイノベーションの現状は、世界的に遅れている?それとも進んでいるのでしょうか?」世界で見たときに、日本は今どういう状況なんですか?

2842

この2択で言ったら遅れてるんでしょうね、非常に。

2841

遅れていますね、全然でしょうね。

13

なんで遅れているんでしょうか?

2842

高度経済成長の、戦後70年の間にクローズドで勝ってきている国ではあるので、やっぱりそのやり方から脱却出来ていないっていうのはありますよね。

13

ちょっと鎖国的な、保守的な国っていうところがあるんでしょうかね。

2842

やっぱり知財を守るという発想でしょうね。クローズドイノベーションで勝って来てますからね。

2851

非常に自前主義なので、川上から川下まで大企業が抑えているっていう。

13

なるほど。そういう現状があるから、文字通りオープンにならないと。

2842

そうですね。あと日本は既に非常に便利なんですよ。

2842

インフラも整ってますし、例えば鉄道ベンチャーって出ないんですよね。でもグローバルだとまだまだ鉄道敷かれていない地域が多くあったりする。。例えば水道ベンチャーとか出ないですよね。水を売ろうみたいな。

13

確かに。あんまり見ないですね。

2842

なので一概に世界と日本って比べらないんですよ。

2842

色んな環境も違うし、住んでる方も違うし、文化も違うので比べられないんですが、じゃあやっぱりオープンイノベーションが必要だって感じるシーンが少ないっていうこともありますし。

2842

今のままやってもいいじゃないかって思えてしまう便利さがあるっていうのがあって、大企業の方がみんな危機感に苛まれているかといえばそうではないんです。

13

そんなにまだ危機感は気づいていないかもしれない?

2842

結局、鎖国のラストかなと類似するのだろうなと思っていまして。鎖国のラストも黒船が来るまで気づかない人と、来ることを予測している人がいて、本当に危機が来ないと気づかない人は最後まで気づかない。

13

じゃあ今日来ている皆さんは気づいていらっしゃる方ってことですよね。そうですよね(笑)

SESSIONオープンイノベーションが上手くいかないのは、「NIH症候群」が原因

13

ベンチャー企業と大企業の文化の違いみたいなのも、さっきおっしゃってましたけれども、この辺気になります。いかがですか?

2841

私なんか色んな企業と様々な契約結んでこれまでやってきたんですよね。

2841

だから大企業の苦悩なんかも分かるし、突き抜けていきたいって気持ちも分かるし。新規事業担当者の方々が、社内から一歩踏み出して異文化を社内に持って帰ろうとするわけでしょ。

2841

そうすると今度社内でアレルギーが起きたり。なかなか皆さんを受け入れてもらえない、そんな辺りをお聞きしたいですね。

2843

オープンイノベーションが、特に研究開発型大企業の場合に上手くいかない理由って、「Not Invented Here」っていうNIH症候群っていうのがあるんですよ。

13

何ですかそれは?

2843

NIH症候群、ここで発明されたものじゃない、だから受け付けないというものですね。だから研究開発の人たちからすると、自分たちが脈々と培ってきた研究開発成果を上手く使いたいのに外部の技術をなんで使うんだよっていうことなんですよ。

13

受け入れてくれないんですね。いいものなのに受け入れないんですか?

2841

それはやっぱ難しいですよ。

2843

それはやっぱりどっちが正しいんだみたいな話になるとなかなか難しいわけですよね。思い入れもあるわけですからね。

2841

なんで社内を大切にしないのかと。なんで外のを使うんだと。

2843

日本の特にメーカーでオープンイノベーションが進まないのはNIH症候群で、ここで生まれた発明じゃない、だから受け付けない、っていうのがあるからないんですね。

2843

それで、私たちはその壁を超えるために経営トップ直轄に僕のチームを置きました。だから僕の上司は経営トップです。

2841

社長直轄なんですか?それはいいですね!

2843

はい。経営トップ直轄のイノベーションチームに社内の研究所、開発センター、マーケティング、広報、各事業部からキーマンで一定の裁量のある人間に来てもらってるんですね。

2843

なので彼らは自分たちの古巣というか、所属元の戻りながらオープンイノベーションをやっている訳です、経営トップの下で。

2843

なのでオープンイノベーションのマインドが彼らを通じてそれぞれの所属部署に浸透していくんですね。新しいことやってるぞと、うちの会社変わってくぞといった期待値を持って伝播していくんですね。これはNIHを上手く超えられたなと思っています。

2843

で、やっぱり例えば、新しい事業を挑戦としてやろうとするんですけど、「それってうちの会社らしい?」って誰かが言ったときに、どういう論理でこれを続けるか、という問題があるんですね。

2843

ブランドとの親和性ってやっぱりあるんです。

2843

なので僕たちは去年「挑戦的ブランド」をつくったんですね。それで「挑戦的ブランド」だから、これはコーポレートブランドとちょっとそぐわないかもしれないけど、良いよね、という逃げ道を用意したんです。

2842

それはすごい大事ですね!

13

なるほど、みなさん、ありがとうございました!

SESSION次回も一緒にギャップを埋めていきましょう。Bridge the GAP!

2020年04月13日 公開

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