目次
- 重要なのは「キャパを増やす」ということ
- 作業効率アップのために役立つルールとは?
- 4ステップで学ぶ「大人の時間割」の作り方
2021.05.21
忙しくて仕事が終わらない……。この悩みは社会人に共通するものでしょう。コロナ禍をきっかけに急速に普及したリモートワークにおいて気持ちの切り替えがうまくできず、タスクを持て余しているという人々の声も多く聞かれます。
みなさんがそんな悩みを抱えているのは、もしかしたら“「時間割」がないから”かもしれません。
株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役、一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事、一般社団法人PAG代表理事の平野友朗先生は、日々300通のメール処理や取引先との打ち合わせ、コンサルティング、記事・書籍の執筆といった大量のタスクをこなしながら“毎日定時に帰宅している”と話します。
この記事では、平野先生の著書『仕事を高速化する「時間割」の作り方』(プレジデント社)をもとにしたSchooの授業『「時間割」で仕事の効率は劇的に上がる』の内容をご紹介。
みなさんの「定時帰りでしっかり成果を上げる」働き方改革を支援します!
みなさんは「パーキンソンの法則」という言葉をご存じですか?
これは仕事にかかる時間は与えられたそれに対し、その最大限にまで膨張するというビジネスの法則のこと。「今日は絶対に定時に帰らなければならない」と決まっている日に、いつも残業してこなしているタスクを高速でこなせたという経験はありませんか? そのように、仕事に対して使える(と認識している)余剰時間に仕事の効率は左右されてしまうのです。
だからこそ、「働く時間を固定しましょう」と平野先生。先生自身は基本的には定時である18時以降は働かないと決めているそうです。
さらに作業効率アップのために役立つ以下のようなルールが提示されました。
・締め切りを決める
・不要なことをしない
・知識を深める
・考えない
・迷わない
・手順の把握
・ツールを減らす
・常識を疑う
・ルールをつくる
「締め切りがないあるいは締め切りを認識しないものは仕事じゃないと思った方がいいです」と先生。締め切りがないと仕事を管理することはできないのです。「考えない」「迷わない」というのは“余計な判断を減らす”ということ。優先順位の低いものについてはルーティンでこなせる仕組みをつくることが作業効率の高い仕事習慣の確立につながるのです。
何を減らし、何を優先するかは人それぞれ違います。先生の手法を自分の価値観と掛け合わせて、仕事の効率アップにつなげましょう!
それではいよいよ「大人の時間割」の作り方に話は進みます。
義務教育で誰もが関わってきた時間割。それには、バランスよく教科を学び、ある程度均等に知識を底上げすることを助ける機能があります。
大人になると、時間割は用意してもらえません。だからこそ先生は時間割を自作し、それは多くの成果につながりました。使うツールは紙の手帳でもGoogleカレンダーなどのWebサービスでもかまいません。「そんなの普段から使っている」という方は多いでしょう。しかし、会議や面談だけでなく、食事や移動などすべての時間をみなさんは管理できているでしょうか?
時間割づくりの一つ目のステップは「書き出す」。自分が直近でやらなければならないことをすべて書き出します。ポイントは“タスクが頭に浮かんだ瞬間に書き留める”ということ。ほかの仕事に着手したり、プライベートの用事をこなしたりすれば、すぐにタスクは頭から消えてしまいます。タスクの抜け漏れが生じればそれをリカバーするために余計に時間がかかってしまうため、すべてを網羅することを意識することが大事だと先生は強調しました。
また、書き留めるタスクはなるべく具体的なものにし、期限とともに書き留めてください。どのようなタイミングでどのような条件で遂行されるタスクなのかを未然に規定しておくことが、きちんとした管理の条件です。
2つ目のステップは「時間を予測する」。それぞれのタスクにかかるであろう時間をざっくりと書き出します。正確に予想できないという場合は、まず「○○分で終わらせよう」と目標を設定してみましょう。それに対して早くできたか、無理だったかが適正時間を測る材料となります。また、時間の予測の材料となるのが「手順の把握」をすること。仕事を進める流れをいったん書き出してみると予測が立てやすくなるだけでなく、効率自体もアップすることが期待されます。
ステップの3つ目はいよいよ「時間割に入れる」という段階です。最初に時間割に入れるべきなのが「働かない時間」。「時間がある」と認識すれば、パーキンソンの法則で仕事にかかる時間が膨張してしまいます。そのため、出社前や定時後、ランチの時間はあらかじめ設定することが求められるのです。
次に入力するのが日々のルーティン的なタスク。平野先生は出社後、退社前にメールの時間をもうけることで経営者として忙しく働く毎日でも、素早い連絡を達成できているということです。
こうして気づくのが、「残された時間が意外と少ない」という事実。朝9時~夕方18時までの9時間を提示として、そこからランチとメールに費やす3時間を引けば、残りは6時間しかありません。朝礼や研修、移動や会議、テレアポ、事務作業などすべてのタスクを書き込んでいきます。コツは最終締め切りの日にタスクを入れないこと。前倒しで仕事を進めておくことで仕事の効率・質ともに高まります。
もちろんその日に入るタスクも存在しますし、気分によって効率も異なります。あらかじめある程度設定できたら朝、タスクを並び替えて最も効率の良い時間割をつくってください。
そこまでできたらあとはステップ4「運用する」の段階に進むだけです。
さて、時間割の作り方について十分に把握いただけたでしょうか? まだわからないところがある、という場合は詳細な説明と質疑応答も含まれた実際の動画をまずはご覧になってみてください。「Schooの授業を見る」という予定も時間割に加えるのをお忘れなく!
文=宮田文机
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かつて会社員として働いていた平野先生。“忙しいフリ”をして仕事の量を減らすことに取り組んでいたそうです。しかし、独立後に痛感したのが“キャパを増やさなければ生きていけない”ということ。仕事を減らしても収入が変わらないのは固定給の仕事だけ。独立後に受けた仕事を処理するため睡眠時間を削ることとなった先生は「もっとキャパを増やしておけばよかった!」と後悔したと語ります。
「よく自分の能力を増やしたいという人っていますが、そう簡単に自分の能力って増えないと思うんですよ」と平野先生。しかし、効率を倍にすることは可能だと先生は確信をもって語ります。
そのために役立つのが「時間割」というツールなのです。