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2023.04.06

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仮説検証は「クリエイティブな仕事」。データ分析で営業成績を高める思考法

仮説検証は「クリエイティブな仕事」。データ分析で営業成績を高める思考法

営業職にとってデータが強い武器となるということをみなさんはご存じでしょうか。

コミュニケーション力や論理的思考力だけでなく、「データを上手に活用できる技術と仮説力」が、営業という職種で働く皆さんが結果を出せるかどうかに大きくかかわってきます。

とはいえ、これまでにデータをあまり使ってこなかった、仮説の立て方がわからないという人も多いはずです。

統計解析や、Python/GASを利用した業務改善を得意とするtoBサービスのマーケティング・セールスマネージャー中島佑悟さんを講師に迎えた『売り上げ増加、葬式の成長に繋げる 営業のデータ分析』をもとに、『営業課題を改善する仮説のたて方』を学んでいきましょう!

目次

  • データは仮説を検証するための「材料」
  • 仮説立ては「勘」から始めていい
  • 「なぜ?」を繰り返すことで「価値ある仮説」にたどり着く
  • 「価値ある」仮説は「自社ならでは」のものになる

 

データは仮説を検証するための「材料」

 

 

営業がデータを使う目的は「売れる」ことへの解像度を高め、その情報をチーム、会社で共有するためです。そして、営業のデータ分析と「売れる」という出来事を、数字(数式)で表現することを意味します。

 

それでは、仮説を立てる時に、何に注意すべきでしょうか? ポイントは、「データによって何を検証するのか」を決める段階で仮説を用いること。

 

つまり、データを集めてから仮説をつくるのではなく、「仮説を検証するために必要なデータを集める」ことが重要なのです。 勘の積み重ねではどうしても“自分の見たい世界”に傾きやすくなります。ビジネスの現場では、ときに勘がプラスに働く場面もあることは否定しません。

 

しかし、その勘が間違っており、さらにそのことも検証されないとしたらどうでしょうか。「~だろう」が積み重なった結果、行動はビジネスの実態から大きく乖離してしまうことになります。 特に「環境変化が速い」「人それぞれで嗜好がバラバラ」と言われる今の時代、自分の見たい世界と現実にずれが生じてしまうリスクは非常に高くなってきています。

 

「仮説は検証されることが前提」ということを肝に銘じておきましょう。

 

 

仮説立ては「勘」から始めていい

例えば商品が売れない原因を、あなたが「金額がボトルネックになっている」ことに求めたとしましょう。その意見に同僚も、トップセールスも、部長も同調する意見を示します。

 

すると、「金額がボトルネックになっている」という仮説がいかにも確からしく思えてきます。 しかし、それは検証されなければ“ただのアイデア出し”に過ぎません。“合議”は仮説検証ではないのです。 ただし、仮説を立てるときは、完全に勘で問題ありません。

 

むしろ、データをもとに仮説を立てようとするのでは本末転倒。まず仮説を立てて、そのあとにデータ集めをして検証するという流れを守るべきです。 ビジネス力や業務経験から発想される「検証できたら有益な主観」は、検証を経ることで客観性を付与することが仮説検証の目的。

 

あなたならではの仮説を立て、検証していくことは、とてもクリエイティブな仕事なのです。

 

 

たとえば、「受注率を上げる」という課題に対して、どんな仮説が考えられますか?営業のデータ分析において仮説を立てる際の大事なポイントは、以下の3つです。

 

1.検証する価値のあることか(自明でないか)

2.検証方法までイメージできるか

3.オープン・クエスチョンになっていないか(クローズド・クエスチョンか)

 

例えば、「受注率を上げる」という問いに対し「営業力に問題がある」という仮説を立てたとしましょう。 その仮説が立てられたとして、おそらく社内では自明の事であり、そもそも検証する価値がありません。

 

また、「営業力」という言葉にはっきりとした定義があるわけではないため、検証方法も考え難いです。 そして、「営業力に問題がある→どうやって高めるべきか?」という問いは「はいorいいえ」で答えられないオープン・クエスチョンとなってしまいます。

 

 

すなわち、上記の3ポイントを満たせていないダメな仮説、あるいは仮説未満の疑問と判別されます。

 

 

 

「なぜ?」を繰り返すことで「価値ある仮説」にたどり着く

続いて「お客様が社内稟議をする際に導入メリットを伝えられていないのではないか」という仮説を立ててみましょう。これは想像ではどちらとも断定できないことであり、検証価値があるといえます。

 

 

また、お客様に尋ねる、資料を配布した場合と配布していない場合で比較するなど、検証方法も容易に思いつきます。そして、もちろん「はいorいいえ」で答えられるクローズド・クエスチョンになっています。

 

もちろんこれが唯一絶対の答えではありません。仮説は無数に立てることができます。だからこそ上記の3ポイントで仮説の質を確かめることが不可欠でしょう。また、有力な仮説を見極めるためには、「仮説を深堀りする」というプロセスも重要です。

 

例えば「価格判断のできる他者比較・リターンの試算ができていないのでは?」という仮説は「価格が見合わないと判断されているのでは?」という仮説に、さらに「値引きをするとよいのでは?」という仮説にまで深堀りすることができます。

 

このように「なぜ?」を繰り返すことで「価値ある仮説」にたどり着きやすくなります。

 

 

 

「価値ある」仮説は「自社ならでは」のものになる

「価値ある仮説」の特徴として、商品の弱み、チームの人間関係、ターゲットの特性といった「自社ならでは」から発想されることが挙げられます。 逆に、どの企業にも当てはまりそうな仮説ならば、もう少し思考を深めて、自社ならではのポイントに当てはまるまでブラッシュアップすべきでしょう。

 

「原因・対策・仮説」を考える時に混乱してしまうことがあるかもしれませんが、その際はそれぞれを分解して考えましょう。理想と現実のギャップが問題であり、その元となっているのが「原因」、原因に対して「じゃあどうするか」と取り組むのが「対策」、自分の主観で編み出した「原因」や「対策」が「仮説」と考えましょう。

 

特に営業においては、データ分析はひとつひとつの仮説検証を積み重ねていくような地道な作業が大切になります。それはAIやシステムにデータを渡せばOKというものではなく、むしろ非常に地道で人間にしかできないプロセスです。

 

ぜひ、この記事を参考に、普段の業務にデータ分析を取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

文=青野祐治

 

 

 

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