目次
- 「オープンクエスチョン・クローズドクエスチョン」を使い分けよう
- クローズドクエスチョンをオープンクエスチョンに変換してみよう
- やってはいけない「KYA」、質問したら「KJS」
2021.12.04
「腹を割って話してくれ!」と直接的に頼んだところで本音を引き出すことはできないのは皆さんご存じのとおりです。
では、どうすれば部下や上司、取引先など関わる人々の本音を知ることができるのでしょうか。
──そのカギとなるのが「質問の仕方」です。
そう語るのは、一般社団法人日本マインドリーディング協会理事で「電話占い師」としても人気を博している岸正龍先生。先生が受け持つ授業シリーズ『ビジネスで使える賢い心理学』第21回「相手が話したいことを引き出す質問テクニック」の内容を、本記事で押さえましょう!
初級編を学んだリアルタイム受講生から「上司からのオープンなクエスチョンも結構プレッシャーだよな」というコメントが寄せられました。
「そうなんですよね」と岸先生。部下に何か聞きたいことがある場合も、最初はクローズドクエスチョンをいくつか尋ねた方が安心感を与えられるかもしれません。
また初対面の場合は、相手がすんなり「はい」と答えられるような確認事項を尋ねた方が話がポンポンと進んでいくことが期待されるということです。先生がよく使うのが、「ここの会社は〇〇駅が一番近いですよね?」という質問。どうでもいいようですが、これくらい答えやすいことを最初に尋ねることでリラックスした雰囲気がつくりやすくなるということです。
ここで先生から課題が出されました。以下のクローズドクエスチョンをオープンクエスチョンに変換してみましょう。
「このサービスはご満足いただけましたか?」
正解は「このサービスをご利用いただいていかがでしたか?」。クローズドクエスチョンでは得られない自由な発言が得られます。これを踏まえてもう2問、考えてみてください。
1.「何か不都合な点はございませんでしたか?」
2.「それはコスト面での問題でしょうか?」
1の正解は「お困りごとをあげていただくとしたらどのようなことがありましたか?」、2の正解は「もう少しコスト面でのお考えをお聞かせ願えますか?」です。このように、クローズド・オープンの境を行き来するトレーニングを積むことで質問の達人に一歩近づけるでしょう。
それでは、中級編に進みましょう。
テーマは「やってはいけない『KYA』」。「KYA」は、以下の頭文字を取る形で構成されています。
K:興味の質問
Y:要約
A:あるあるドリブル
「質問ってどこから出てくるかというとほぼ“自分の知りたいこと”を聞いてるんですよ」と岸先生。しかし、特にフォーマルな場で尋ねるべきなのは“相手の話したいこと”。“自分の知りたいこと”ばかり聞くと、相手の話したい気持ちはだんだん失せていってしまいます。
だからこそ、「興味の質問」はNG。また、相手の話を自分の解釈で要約することも相手が話したいことを話す気持ちを阻害することにつながります。
「あるあるドリブル」とは、「あるある、でさ~」と相手の話を「ある」という言葉で受けて自分の話したいことに話題を持って行ってしまうこと。
いずれも、自分本位な姿勢が根底にあることが問題です。だからこそ「この質問は興味からのものなのか、相手が話したいことに対する呼び水の質問なのかを考えなければならない」と岸先生は主張します。
反対に推奨されるのが、以下の「質問したら『KJS』」。
K:共感
J:需要
S:承認
例えば相手の困りごとに対する質問をしたら、「確かに○○は大変ですよね」と共感を示すなどして、“しっかりと相手の回答を受け止める”ことが大切です。相手がせっかく答えてくれたのに「はい」と返事をするだけではだんだんと心は閉じていってしまうでしょう。「KJS」を示すことでそのあとのオープンクエスチョンにも話題をつなげやすくなります。
「でも、もし相手が謙遜している場合でも共感すべきなの?」などと疑問が浮かんだかともいるでしょう。その答えは「上級編」で示されます。録画授業がありますので、ぜひ実際にご覧になって確認してみてください!
文=宮田文机
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まずは初級編である「オープンクエスチョン・クローズドクエスチョン」について学んでいきましょう。クローズドクエスチョンは相手が「はいorいいえ」で答えられる質問、オープンクエスチョンはそうでない質問です。いわゆる5W1Hはオープンクエスチョンに該当します。
「相手が答えにくい感じの質問をしてしまっている場合は、クローズドクエスチョンが連打されてしまっているときです」と岸先生。先生は「質問は暴力である!」というフレーズを提唱します。それくらい、質問というのは強い力を持っていると考えましょう。特に日本人の場合、質問されたら「答えなければならない」とプレッシャーに感じる傾向があるといいます。
「こんな感じで考えてください」と先生が呼び出したのが以下の4象限図。上下は「OPENかCLOSE」か、左右は「親しいか親しくないか」を表しています。
「OPENかつ親しくない」場合、返答に困るケースがあり得ます。例えば初対面の人に「御社、今どんな感じなんですか?」と聞かれても戸惑ってしまいますよね。だからこそ、最初は「CLOSEかつ親しくない」象限に位置する質問を尋ねることで、話を弾ませるのが効果的かもしれません。例えば以下のような質問ですね。
・今回はWebからお申込みいただきましたよね?
・お申し込み時、「集客について」と記載いただいておりましたが、そちらで間違いなかったですか?
・今日、ご質問諸々で60分ほどいただきたいと思っていますが、ご都合いかがでしょうか?
一方、「OPENかつ親しい」場合の質問は、話が広がります。親しい人に「御社、今どんな感じなんですか?」「先週どうでした?」と質問を投げかければ、初対面の場合とは違い、新たな情報を話してもらえるでしょう。
初対面の場合でも、まずはクローズドクエスチョンで流れを作ってからオープンクエスチョンを行うのが、基本の流れとなります。
最後の「CLOSEかつ親しい」場合の質問は、「話を絞り込む」効果を発揮します。例えば、商談の最後に尋ねる「金額は○○円でよろしいですね?」「納期は□□日までで大丈夫でしょうか?」といった質問を思い浮かべてみてください。
このように、各質問の特性を理解して適切に選択するのが岸先生の質問術、初級編の内容です。