目次
- 「究極の文書コミュニケーション」とは?
- 相手から快諾をもらうお願い・依頼メールの書き方
- 相手をムカッとさせない意見・主張メールの書き方
2022.01.22
相手に嫌がられずに急なお願いをする方法はないものか。上司に意見をしなければならず、気を使う……。
このような場面は社会人生活で数多く発生し、そのたびに気が重くなってしまっているという人も少なくないはずです。
そんなときに役立つのがSchooの授業『「急なお願い」「意見指摘」「催促」が上手く“伝わる”文章』。講師は、編集者・記者を経て現在は北京他6都市で開催される「Super Writer養成講座」などで“伝える技術”をレクチャーしている、伝える力[話す・書く]研究所/山口拓朗ライティングサロン主催の山口拓朗先生です。
プロの文章術をマスターし、“文章コミュニケーション”の不安を取り除きましょう!
さて、では具体的な方法論に移りましょう。一つ目は、「相手から快諾をもらうお願い・依頼メールの書き方」。依頼メールの書き方のポイントとして早速山口先生から提示されたのが以下です。
・相手の自己重要感を高める言葉を使う
自己重要感とは、「『自分は重要な存在である』という自己認識のこと」。自己重要感を高める依頼文の例は、下記の通り。
「商品Zのコピー作りに力をお貸ししていただけませんでしょうか。
この商品を売れるのは○○に精通する鈴木さんをおいて他にはいない、というのが販促部の一致した意見です。お受けいただけますと大変助かります。
ご検討いただけますようお願いいたします。」
鈴木さんの力を評価していることを伝えているのがポイントです。元の依頼文よりも、仕事を引き受ける気が湧いてくることが、一読して伝わるのではないでしょうか。表情などで伝えられない文章では、対面でのコミュニケーション以上にはっきりと言語化して「心から思っている」ということを示しましょう。
ここで「『なぜ依頼しているか』を伝えられるとよりいいかも」というリアルタイム受講生からのコメントが。山口先生は「そうなんですよ」と首肯し、ほかのだれかではなく相手(例文の鈴木さん)に依頼する理由が伝わる文を書くことは重要だと説明しました。
また、「依頼相手の今の状況を確認するのも大事でしょうか?」という受講生からの質問も。先生はこちらにも同意し、相手の立場で考える意識がそこでも効果を発揮すると話します。
気になる「メールとチャットでの使い分け」については、どちらかといえば気心の知れたチームなどで使うチャットではややカジュアルに、などツールの特性に合わせて使い分けることが推奨されました。「お礼の言葉などはカットし、シンプルな文章にした方がビジネス文章では正しいのでは?」と考える人もいるかもしれません。先生はその考え方も否定しないといいつつ、感情の生き物である人間と長期的な関係を気づくならばやはり感謝の言葉は伝えた方がベターと考えていることを語りました。
続いてのテーマは「相手をムカッとさせない意見・主張メールの書き方」です。相手と対立する意見を主張しなければならない場面も、ビジネスの現場では発生します。そんなとき、どうすればお互い気持ちよくコミュニケーションを取ることができるのでしょうか?
ここで登場したキーワードが「アサーティブ」。「『相手のことを尊重しながら自分の意見や主張を伝える』という自己表現方法」を意味します。「『相手がOK、自分もOK』という立場に立つことが非常に重要です」と山口先生。自分の意見や主張を押し付けるのではなく、また完全に相手の言いなりになるのではなく、相手も自分も尊重したコミュニケーションを行いましょう。
再び原文を修正文に直す形で、レクチャーは進められました。
【原文】
Aさんはデザインのプロではありませんよね? 余計なアドバイスはどうぞお控えください。
【修正文】
Aさん、率直なご意見ありがとうございます。
色が目立たないというのはごもっともだと思います。
ただ、商品イメージを損ねないためには、
現在のローズピンクが最適だと考えます。
相手の意見が正しいか間違っているかに関わらず、「相手がそう思った」という事実は存在します。ですから、まずは意見に対し感謝を伝えるなど、相手を尊重している姿勢を示しましょう。一方で、自分の意見についても遠慮せず、はっきりとかつ丁寧に書き記すことが真に「アサーティブ」なやり取りにつながります。
また、「アサーティブにコミュニケーションするためには、自分の『自己肯定感』もみていく必要がある」と山口先生は補足します。自分のことを認められていなければ、「どうせ間違っている」「わかってもらえない」と自分の考えを伝えることに臆病になってしまうでしょう。円滑なコミュニケーションのためには、まず自身のコンディションを整えることが重要なのです。自分のことが受け入れられるようになれば、相手のことも受け入れやすくなるはずです。
「自己肯定感が低く悩んでいた」というリアルタイム受講生から共感のコメントが寄せられたことに対し、先生は「日本人は自責で考えることが推奨される風潮もあり自己肯定感が低くなってしまっている人も多いものの、もっと自分にOKを出してあげていい」と持論を語りました。
適切なお願いメールや意見指摘の文書の書き方はご理解いただけましたか? 授業の後半では「催促の文書」の作り方についても、引き続き山口先生からレクチャーされています。そちらもマスターしたいという方はぜひ、Schooの録画授業にアクセスしてみてください!
文=宮田文机
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授業のプロローグとして用意されたテーマが「文章コミュニケーションが不得意な人の特徴」です。
・冷たい
・偉そう
・敬意が足りない
・言葉が足りない
・気が利かない
・要点が見えない
上記のような文章に遭遇した経験に覚えはありませんか? 「まさか自分の文章はそうなってはいないはず」と考える人がほとんどでしょう。しかし、コミュニケーションで重要なのは“相手がどう受け取ったか”であると山口先生は語ります。上記に共通するのは「自分本位」という問題であり。客観的に自分の文章を見直すことが改善の1歩目となるでしょう。
みなさんは、「究極の文章コミュニケーション」とはなんだと思いますか? 先生は「相手を自分の望みどおりに動いてもらうこと。そのうえで相手から好意と信頼を寄せてもらうこと」と定義します。「自分の望み通りに相手に動いてもらうなんて言うと、なんだか傲慢なように受け取る方がいるかもしれません」と山口先生。しかし、自分の望み通りに動いてもらうために必要なのは「自分本位」の逆、相手の立場に立って考えることです。相手が気持ちよく望みの答えられるような「文章コミュニケーション」をまずは念頭に置きましょう。
ただし、「今日お話しすることが唯一の正解ではない」とも先生は話します。ときには効率を重視すべき場合もあります。大切なのは、労力と効果のバランスとお考え下さい。