“学びたい”を刺激するメディア。

2018.01.09

interview

誰もが輝く未来のために。Webメディア 「soar」と考える自分らしい生き方とは?

誰もが輝く未来のために。Webメディア 「soar」と考える自分らしい生き方とは?

自分らしさってなんだろう?#1 - soarと考える自分の可能性を活かす生き方・働き方-

この社会の中で、自分の個性や可能性を活かしながら、自分らしく生きていくにはどうしたらよいのでしょう? このノートでは、そんなことを一緒に考えていきたいと思います。

人の“可能性”に光を当て続けるWebメディア「soar」の編集長である工藤瑞穂先生をモデレーターとして、障害や病気などの困難を抱えたり、LGBTであることや人との外見上の違いが理由で悩んだ経験のなかでも希望を見出し、前向きに生きる方々を毎月ゲストとしてお招きする本シリーズ。

ポジティブに生きることを諦めず、自分の個性を輝かせている人たちの人生から「自分らしい生き方」、そして「これからの人生」について学んできます。

工藤 瑞穂 先生

NPO法人soar代表・編集長

斉藤 淳子 先生

若者就労支援 非常勤相談員

角田 真住 先生

合同会社Armonia代表

江川 みどり

受講生代表

学びノート

SESSIONすべての人が自分の可能性を活かせる未来をつくりたい

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まず、「soar」の活動について教えていただけますか?

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私たちは、NPO団体soarという団体で、ウェブメディアのsoarを運営し、多様な困難を抱える人をサポートする事例を紹介しています。

日本では身体的障害や、知的障害など何らかの障害を持った方が25人に1人いると言われています。そして、一生涯のうちにうつ病を経験する人は15人に1人、貧困状態の子供は6人に1人、同性愛や性同一性障害といったLGBTの方は、13人に1人いるそうです。

こういった困難や人との違いをご自身が抱えている場合もありますし、家族や友人がそういった立場にある場合もあります。ですので、上述した困難や人との違いは決して他人事ではないと思っています。

私自身も身内に、精神疾患がある人がいまして、それをきっかけにsoarでの活動を始めました。soarでは「人の可能性が広がる瞬間を捉えるウェブメディア」をコンセプトに「人は誰でも生まれた時から自分の中にエネルギーや力、可能性を持って生まれてきている」ということを信じて活動を続けています。それでも、障害や病気などの理由や、今の社会の仕組みのせいで、本来持っている力を発揮できない人たちもいます。

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soarの記事、読みました!登場されている皆さん笑顔ですごく素敵ですね!

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ありがとうございます!soarでは、そういった人たちの可能性を広げていくような事例をメディアとして紹介し「人の可能性を広げ、ネガティブをポジティブに変えている素晴らしいケース」があることを多くの人に知ってもらいたいと思っています。

こういった情報発信を通して、私たちは、「すべての人が自分の可能性を活かし、いきいきと自分らしく生きていける未来をつくりたい、自分らしく生きていける人を増やしたい」そういったことを考えて活動しています。

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人との違いに悩みながらも、社会との接点を見出していくところも素敵だなと思いましたし、私自身もsoarというメディアが大好きなので、今回お話しを伺えてとても嬉しいです!

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自分らしく生きるというのは、soarとしても大事なテーマなのですが、江川さんにとって「自分らしく生きる」ってどういうことだと思いますか?

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そうですね、私は「好きなことを我慢しない」ことなんじゃないかと思います。

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そうですよね。やはり、自分の好きなことをしたりとか、やりたいことが制限されないような社会というのが、すごく素敵ですよね。

SESSION同じ境遇にある人を助けたい。 その想いが、2人のエンジンに

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ここでは、soarに登場された方の中から斎藤先生と角田先生のお二人をお呼びし、「自分らしく生きる」というテーマについてご自身の経験をお話ししていただきます。

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まずは、斎藤先生のご紹介をします。斎藤純子さんは生まれつき全身に毛が生えない、反発性脱毛症という症状を抱えています。その中でたくさん苦しんだ経験を通して、同じく脱毛症に悩む方々のサポートをする活動をされています。

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よろしくお願いします。実は私、いま、カツラをつけているんですね。これを外すと、スキンヘッドなんですね。見て見たいと思いますか?

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もし見せていただけるのでしたら、ぜひ、見たいです。

2152

(カツラを外されて)普段はカツラを使いながら、もう一つの髪型はスキンヘッドなんですね。私は生まれつき、髪の毛がなかったんですけれども、その経験の中から色んなことを学んできました。

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生まれつき髪の毛がないということですが、子供の頃は特に大変ではありませんでしたか?

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私以外に同じような症状を持っている人がいない環境でしたので、とても不安で仕方なかったです。

「本当に大人になれるのかな」とか、「社会人として働けるんだろうか」など、とても不安な気持ちで子供時代を過ごしてきました。でも、今ではとてもイキイキと生きることができています。

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続いて角田先生ですが、角田真住さんは多発性脱毛症という、円形脱毛症が頭にたくさんできてしまう原因不明の症状で今のところ治療法が見つかっていないんです。

角田先生は斎藤先生とは違って、生まれつきではなく、30代になってからその症状を発症しました。

その中で角田さんはご自身と同じように外見で悩みを抱える方のために、ヘッドスカーフを作成して、コンプレックスのある方でもお洒落を楽しめるような状況を作りたいと思って活動されていらっしゃいます。

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よろしくお願いします。私はヘッドスカーフという商品を企画・販売をしているArmonia(アルモニア)という会社をやっています。

私は斎藤さんとの症状とは違っていて、全部の毛が生えていないわけではなく、いわゆる「10円玉ハゲ」が頭のあちこちにできてしまう病気で、発症時期は36歳の時で、子供が2人生まれて1年後ぐらいのことでした。

それで、髪の毛が3分の1ぐらいになってしまったので、ウィッグをつけてみたのですが、値段は高いですし、着け心地がいいものでもなかったんです。

自分のものではない感じがすごくしたので、頭にスカーフを巻いて、出掛けたんですね。すると、友人に「すごく可愛いね、似合ってるね」というのを、言ってもらえて明るい気持ちになったんです。

ウィッグをつけていた時は、なんとなく自分を偽っているような感覚があり、暗い気持ちになっていたのですが、スカーフをつけることで、180度違う明るい気持ちになりました。

その経験から、もしかしたら、私と同じような症状や悩みを抱えている方にこの気持ちをお伝えできたら、こんないいことないなと思って、事業化を志し、去年会社を立ち上げて、今年からヘッドスカーフの販売を始めました。

SESSION人と違うだけで、なんでこんなに苦しいんだろう

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誰でも、人生の中で、人との違いを感じ、時にそれに苦しむこともあると思います。それは外見だけでなく、考え方が他人と合わないとか、自分の行動が他人と違ってなんだか気になったり、馬鹿にされるなどいろいろな経験が皆さんにもあると思うんですね。

それでお二人は、他の人と比べて髪がないという目に見える外見の違いがあるわけですが、そこで苦しまれたことをお聞きできますか?

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私が自分と人の違いを初めて感じたのが、「保育園」の時でした。友達と砂場で遊んでいると、周りに保護者の方が囲っているんですね。

そうすると、保護者の方が、私の姿を見て、「あーあの娘可愛いそうだね」「将来どうなっちゃうんだろうね」など、そういった話しが聞こえてきたのを、幼いながらにも覚えています。

当然、周りにいる友達にも聞こえているわけですよね。「あ、淳子ちゃんって自分たちとは違うんだ」って気づくわけですよね。そして、私は私で「他の人とは違うんだっ」ということを認識するんですね。そうすると、次の日、どんなことが起こると思いますか?

次の日、保育園に行くと、「一対その他大勢」になるんです。

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距離感ができてしまうということですよね。

2152

そうなんです。その時に初めて、私はみんなと違うんだ。私は「社会不適合者なんだ」って思うわけなんですよね。

2151

そうすると子供の頃は、自分に自信が持てないまま、過ごされていたのですか?

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そうですね、例えば小学校ではこのクラスではどういう立ち位置にいたらいいのか、このクラスにどうしたら、溶け込むことができるのか、というのを常に考えていたんですね。

ですから、勉強なんか頭に入んないんですよ。何か一言言えば、からかわれたり、いじめの対象になるので、「本当にこの友達と上手くやるためにはどうしたらいいんだろう」ということばかり考えていました。

みんながやらないようなことを率先してやったり、誰も片付けないことを私がやったりしましたが、上手くいきませんでした。「いい子を演じる」ことでみんなの中に溶け込めるんではないか?と少し勘違いをしていたんですね。そうせざるを得ない環境が辛かったですね。

2151

幼少期は「自分らしく生きる」ということはかけ離れていたということですね。

2152

そうですねぇ。「自分らしく生きる」というよりも、「どうやって、この地で立っているためにはどうしたらいいんだろう」ということを考えていました。

2151

子供の頃の経験は大人になっても影響するかと思いますが、いかがでしたが?

2152

そうですね。大人になっても常に人の顔色を伺っていましたね。

例えば、会社に入ってからも同じで、率先して仕事をするのですが、その理由は会社の人に「いい人を演じることで認めてもらいたいから」でした。そうすることが、人から馬鹿にされないための予防線だと思っていたんですね。

SESSION弱みをオープンにしたら、世界が変わりはじめた

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苦しい思いもされてきたお二人ですが、それを乗り越えて、今ではとてもイキイキと過ごされていますよね。

そこにはやっぱり心の変化があったと思うんですが、角田さんは「自分を好きになり、自分らしく生きよう」と思ったきっかけは何かありましたか?

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私が初めてヘッドスカーフを巻いて出掛けた時に友人から「可愛いねー、似合うねー」とすごく褒められたんですね。それがすごく嬉しかったんですね。

今まではどちらかと言うと、病気のことを隠そうとしていたんですが、スカーフをつけることでポジティブなことに転換できたんですよね。

ウィッグをつけていた時はその姿が「自然に見えるかな」ということを常に気にしていたのが、スカーフをつけると「このスカーフに似合うアクセサリーは何かな」という風に前向きな気持ちに変わっていったんです。

そういう気持ちで友人と会うと、その気持ちが通じるのか、すごく受け入れてくれる感じがしました。

それで、「スカーフすごく素敵だね」と友人に言われると、今まで積極的には言いたくなかった髪の毛のことも自然と「私、こういう病気になっちゃって、髪の毛がないところがあるんだよねー」とサラっと言えるようになりました。

すると、友人も「あ、そうなんだ〜、こういうスタイルも素敵だね!」という風にすんなり受け入れてくれるようになったんですね。

おそらく、このスカーフをつけるようになったことが、私自身が「髪のない私を受け入れている」というメッセージになっていたんだと思うんです。

そして、それを受け入れて違うスタイルで楽しんでいるんだよという、相手へのメッセージとなって、私がこの症状を「納得して受け入れている」ということの表明になっていたんだということがわかりました。

すると、周りの人にも「この人落ち込んでないんだ」と理解してもらえて、お互いに納得感が生まれたんでしょうね。その納得感によって、私には、「髪の毛がない」ということを相手も意識しなくなるんだなという気がしました。

自分の見た目は、自分のものでもあるし、相手へのメッセージにもなるということに気づいたんです。私はそれがスカーフで表現できたわけですけれども、症状に関してお互いが納得することや、症状を受け入れることが大事なんだなと学びました。

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今までは、周囲の人たちの優しさで、「髪がないことに触れない」という気遣いもあったそうですが、その周囲の人たちの優しさが分かるからこそ、角田さんの方から、「私は症状のことを、気にしてないですよ、楽しんでますよ!」というメッセージをちゃんと発信してあげるという、優しさの循環があるんだなと思いました。

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そうですね。今まで、自分にあまり自信はなかったですし、人前に出ることもなかったんですけど、欠点をすべてオープンにして、みんなが受け入れてくれたことで「大丈夫なんだ。受け入れてもらえるんだ。」と気づかせてもらいました。

このことから、欠点があっても大丈夫なんだっていう自信につながりました。だから、今、コンプレックスを抱えている方がいらっしゃっても、まずは欠点を受け入れて、勇気を持ってオープンにしていくことが「自分らしく生きる」ための、第一歩につながるのではないでしょうか。

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まずは、自分の弱みを受け入れることが、大事なのですね!ありがとうございました!

SESSION工藤編集長からの一言と、お気に入りの受講生のコメント

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視聴者のみなさんも自分の経験を振り返りながら、様々な感想をコメントしてくださったので、私たちにもたくさんの学びがありました。こちらの4つのコメントは、特に嬉しかったものです。ありがとうございます!

1

自分をもっと受け入れて、自分らしさを見つけよう!!!

3

自分が周りの個性を認められる人になっていきたいです♪

4

弱みを克服することも大事かもしれないけど、強みをたくさん見つけたいと思いました。

2

好きなことをとことん突き詰めて、自分に素直に生きてるときが、自分らしく生きている時だと思っています。

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「自分らしく生きること」は、誰にとっても大きなテーマだと思います。月1回のsoarの授業、次回は1/25(木)19:00-を予定しています。みなさんと一緒に自分らしさとはなんなのか、一緒に考えて行きたいと思いますので、ぜひご覧くださいね。

2018年01月09日 公開

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