目次
- 「年金」は前提で考えない
- 老後2000万円問題とはどういうことか
- 1億総資産形成時代へ
- 原則①分散投資
- 原則②コア・サテライト
2020.08.16
人生100年時代といわれる現在、堅実に資産を形成ししっかりと老後に備えておくことが求められます。本年生じた新型コロナウイルス問題を機に、「お金のこと」についてきちんと考える必要性を感じた人も少なくないのではないでしょうか?
コロナに関係なく、「お金」の問題は私たちに一生つきまといます。そんな中でどのように資産を形成すればよいのか、何に気を付けるべきなのかを取り上げたSchooの授業『コロナに関係なく、私達が逃れられない「お金」の未来』。本記事はその内容のうち核となる部分をまとめています。
講師はお金のプロ、ファイナンシャル・プランナーに気軽に相談できるサービス『セカオピ®』を提供する株式会社ノークリー代表取締役の大石武先生と同社代表ファイナンシャル・プランナー/CFPの松澤健一郎先生です。
上記の年金の不確実性を背景によく取り上げられるのが「老後2000万円」問題です。
その状態で95歳までの35年間の不足分を計算すると「月額5万円×12か月×35年=約2100万円」年金収入のほかに必要になるという答えが導き出されます。
しかも、この場合の出費には旅行やぜいたく品の購入といった娯楽は含まれていません。毎年旅行に出かけるなど豊かな暮らしを望めば、より多くの資産を形成する必要があります。
老後2000万円問題の本質は、金融リテラシーを高め、資産形成を誰もが行うことにある、と松澤先生。
すなわち、将来のインフレも考慮して資産形成を行うことが必須となる「1億総資産形成時代」が訪れているといえるのです。
人生100年時代、早い時期から資産形成に目を向けることは「老後2000万円問題」が訴える主張の本質ともいえます。
資産形成のための原則の一つめとして松澤先生が掲げるのが分散投資。
「卵をひとつのカゴに入れてほかの部屋に運んだ場合、転ぶなどミスをすればすべて割れてしまう可能性がありますよね?」と松澤先生。
すなわち「すべての卵をひとつのカゴに盛るな」。ドル、ユーロ、不動産、投資信託などさまざまな形に資産を分散させることが安定して資産を築くための基本ルールといえるのです。
コアにすべきなのは、経済の影響が受けづらく時間を味方につけられる「堅いもの」だと松澤先生。例えば不動産、債券、積立などが例としてあげられています。
一方、攻めのサテライトとして挙げられたのは仮想通貨、金などでした。
今回の授業はシリーズ『Withコロナ時代を生き抜くために身に着けておくべき金融リテラシー入門』の第二回です。
より資産形成や金融リテラシーの高め方について学びたいという人は第一回『金融のプロから見る「リーマン」と「コロナ」ショックの違いとは』、第三回『人生100年時代で押さえておくべき最低限の金融知識4選』もご覧ください。
文=宮田文机
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松澤先生(画像右)が人生100年時代に意識すべきポイントとして掲げるのが「『年金』は前提で考えない」ということ。
年金は自分で積み立てた金額を老後に受け取れる「積み立て方式」ではなく、現役世代の拠出した財源を同時代の高齢世代が受け取る「賦課方式」で運用されています。積立金の余剰分はGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)によって運用されていますが、常にプラスというわけではなく、今年の3月には約22兆円1000億円の運用損が生まれたとの報道がなされました。
そして、少子高齢化などを背景に現役世代の負担は増しています。松澤先生によると「1950年代に12人でひとりを支えていたのが、現在では2人でひとりを支える状況」。将来的には1.3人でひとりを支えることになるという予測もなされており、年金の不確実性は増しています。
実際、今年の3月には年金の受給開始年齢を75歳まで繰り下げ可能にする法案が閣議決定されました。
大石先生(画像左)曰く「車の『かもしれない運転』のように資産も『かもしれない運用』が必要」な状況となっています。老後のために最低限必要な生活費だけでなく、家族の結婚や出産、事故などさまざまな事態を想定してどんな場合にも対応できるだけの資産形成を目指しましょう。