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2020.12.26

Column

脳科学をビジネスで活用する「ニューロマーケティング」とは

脳科学をビジネスで活用する「ニューロマーケティング」とは

心理学や脳科学をビジネスに応用する。「できれば効果は大きそうだけれどなんだか難しそう……」と敬遠してはいませんか?

Schooの『ビジネスで使える賢い心理学』は、元芸人という異色の経歴を持つ日本マインドリーディング協会理事の岸正龍先生から人の心の動きにフォーカスしたビジネス理論を教われる人気授業シリーズです。軽妙な話術によって楽しく実践的にレクチャーが進められるこの授業ならば、ハードルの高さを感じることなく学びを深められるでしょう。

今回紹介する第12回のテーマは「ニューロマーケティング」。脳科学を応用したマーケティング手法について豊富な実例とともに基礎から学んでいきましょう!

目次

  • ニューロマーケティングはなぜ必要?
  • コーラの「おいしさ」はどう決まる?
  • ニューロマーケティングの活用例

 

 

ニューロマーケティングはなぜ必要?

 

ユーザーの脳活動をはじめとして人間の生態指標を測定・可視化することで「人の潜在意識」を分析するニューロマーケティング。「相手が何を言っているか」ではなく、相手の表情や眼の動き、心拍数や皮膚の赤みの有無、さらに直接脳の状態を計測するのがその神髄です。fMRIやSST、EEG、アイトラッキング、表情分析などを用いて何らかの刺激を受けたとき、脳のどの部位が反応しているのかを計測していきます。

 

なぜ、このようなことをする必要があるのでしょうか?

 

──それは「“言葉は自然にウソをつく”からだ」と岸先生。マーケティングを重ねるほど無意識の場合も含め、人間の言動と行動が一致しない例が明らかになってくると話します。

 

だからこそ、直接脳の反応を調べるニューロマーケティングがものをいうというわけです。例えば「ペプシ・コーラが35億円近い金額をかけて消費者のグループインタビューを重ね、パッケージをリニューアルしたがまったく販売につながらなかったということがあった」と岸先生。それは、消費者が無意識に結果につながらない回答を行ったからです。

 

ここでもう一つ上げられたのが「たばこのパッケージ」の例。先生は、人工呼吸器をつけている人やのどに穴が開いて煙が出ている人などがプリントされた海外のたばこのパッケージを提示します。このようなパッケージを題材にイギリス・ウォーリック大学のジェンマ・カルバート博士は、インタビュー調査を行いました。

 

 

・このパッケージの警告に影響を受けたことはありますか?
・このパッケージの影響を受けて、喫煙本数は減っていると思いますか?

 

上記の質問に多くの喫煙者は「はい」と肯定の返事を返したそうです。しかし、1カ月半にわたってジェンマ博士がパッケージを見たときの喫煙者の脳の動きを分析したところ、反応していたのは報酬や快感、嗜癖や恐怖などに重要な役割を果たす脳の部位、側坐核でした。

 

すなわち、アルコールや麻薬など依存性のあるものをやりたいと感じたときに反応する部位の動きが活発になっていたのです。調査対象者たちの回答とは裏腹に、脳はたばこの警告を見て「もっと吸いたい!」という反応を示していました。

 

だからこそ、言葉や意識を信じてはいけないのだと岸先生は語ります。

 


コーラの「おいしさ」はどう決まる?

ここで再度コーラが例として持ち出されました。

 

1975年、多くの人に目隠しをさせて「コカ・コーラとペプシ・コーラどっちがおいしいと思いますか?」と尋ねたところ、圧倒的にペプシが多くの票を集めました。しかし、売り上げではコカ・コーラがまさっているのはご存じの通りです。

 

 

それが起こった理由としてまことしやかに言われているのが「一口だけで味を判定するテストだったから」というものでした。

 

しかし、2003年にベイラー医科大学ヒューマン・イメージング研究所のベイラー・モンタギュー博士が脳の反応を測りながら同じ実験を行ったところ、ペプシを飲んだときに脳の腹側被蓋野が反応していることが明らかになりました。これは「おいしい」と感じたときに反応する脳の部分です。

 

つぎにベイラー博士は「今あなたが飲んでいるのはペプシ・コーラ(コカ・コーラ)です」と実験参加者に告げてからコーラを飲ませました。そうすると、75%の人が「コカ・コーラがおいしい」と回答するという結果に。「コカ・コーラがおいしい」と感じているとき、反応していた脳の部位は、「前頭皮質」。思考や認識を司る脳の部位です。

 

つまり、脳の思考によって「おいしい」という感覚が無意識に操作されたと考えられます。「おいしい」という言葉は嘘で、脳からわかる真実は総合的な判断の上で「コーラを選びます」という決断が下されたということでした。

 


ニューロマーケティングの活用例

ニューロマーケティングの意義がわかったところで気になるのが「それは実際にどのように使われているのか」ということ。

 

イギリスのクイズ番組『Quizmania』がアメリカに持ち込まれたとき、本当にウケるのかどうかを調べるために使われたのがニューロマーケティングです。その下準備として行われたのが、アメリカでヒットしている番組『HOW CLEAN IS YOUR HOUSE?』とあまりヒットしていない『THE SWAN』という2つの番組を事前に調査対象者に見てもらうということです。

 

 

3つの番組を見た実験参加者の脳の反応は、『HOW CLEAN IS YOUR HOUSE?』に対しては「面白い」、『THE SWAN』に対しては「つまらない」、そして『Quizmania』に対しては「その中間」でした。その結果を受けて『Quizmania』は『HOW CLEAN IS YOUR HOUSE?』以下、『THE SWAN』以上の評価を得るであろうことが予想されます。

 

そして、それに基づいてかけるべきコストや放映権獲得の可否の判断が行えるようになったというわけです。

 

ニューロマーケティングがなかったら多くの人が言葉では「おもしろい」「みます」と語る『Quizmania』に対しては多大な期待が寄せられることとなったでしょう。その結果コストのかけすぎなどの不都合が生じたかもしれません。

 

日本の例もあります。東北大学と日立ハイテクノロジーズによる脳科学カンパニー「株式会社NeU」はピザ屋のチラシの作成にニューロマーケティングを活用しました。チラシの紙面に占めるピザのサイズを大きくしたところ、脳の興味・関心と記憶に関する部位がより大きく反応したというのがその実験結果です。そのフィードバックを生かしたチラシは実際に制作されました。

 

文=宮田文机

ニューロマーケティングの基本にまつわる岸先生の解説はここまでです。ここからはより実践的に「ニューロマーケティングを私たちはどう使うのか?」についてのレクチャーが行われました。続きはぜひ、動画でチェックしてみてください!

 

『ビジネスで使える賢い心理学 第12回 「ニューロマーケティング」で本音を見抜く』http://schoo.jp/class/7419/room

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