目次
- つい使ってしまいがちな大名言葉
- 「なぜ?」「どうして?」の使い分け
- 人は3秒・3分・30分で相手を判断する
2023.03.30
日常生活でよく使われる“とっさの一言”は、使いどころやタイミングを誤ると相手に失礼になるかもしれません。たとえ悪意はなくても、それがきっかけで人間関係がぎくしゃくしてしまうこともあるでしょう。
言葉の選び方で悩んでいる人へ、博報堂のフェローでスピーチライター・コラムニストのひきたやすお氏がアドバイスします。
※この記事は『博報堂スピーチライターが教える言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる授業』を再編集しています。
大名言葉以外に「なぜ?」「どうして?」といった副詞もあります。どちらも相手に質問するときに用いますが、日常生活で明確に使い分けている人は少ないでしょう。
ただこれらには明確な違いがあり、使い分けがとても大事になります。
上のスライドは、「なぜ?」と「どうして?」の違いです。「なぜ?」は書き言葉で理性がはたらきやすく、「どうして?」は話し言葉で感情が入りやすくなります。
どちらも大名言葉のように、上司や先輩に用いるのはNGというわけではありません。ただ2つの言葉のニュアンスをしっかり理解すること、シーンごとに使い分けることが重要になるのです。
さまざまな“とっさの一言”がありますが、なかでも1番重要なのが「時系列の伝え方」。
「2017年の5月」の話をする場合には、どう話すのが伝わりやすくなるのでしょうか。
正解は、「今から5年前の5月に…」。人は「今」を起点に時勢を振り返った方が分かりやすいとされているからです。
ちなみに、政治家の数々のスピーチライティングを行っているひきた氏もこの手法を使っています。書類などに「書く」場合には正確性を期するために、数字で日時を記載する方が良いとされていますが、話す場合にはそのような伝え方を意識してみましょう。
相手があなたのことを把握・理解するために要するにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか。
実は、人はあなたの印象を3秒で把握し、3分間の会話で人柄を、30分間の会話であなたの言葉の能力を理解していると言われ、その上で「この人は自分にとって敵か味方かを本能的に判断しているのです。
したがって、初対面の人にできるだけ好印象を持たれたいと思うなら、あらかじめ3秒・3分・30分を意識して、自分はどう見られやすいのかチェックしておくことが大事になります。
しかし、昨今はリモートワークの増加により、多くの人が初対面の人と会ったときの自分の印象について考えなくなってきています。
とくに新卒の時期からリモートワークへと変わった人はその傾向が強いため、いまのうちから3秒・3分・30分を意識した方が良いでしょう。
ビジネスもプライベートも、相手に与える印象や言葉のチョイスによって、その人との関係性は大きく変わります。ぜひ、人に好かれるとっさの一言が出せるように意識していきましょう!
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私たちがビジネスシーンでつい使ってしまうとっさの一言、それは「なるほど」ではないでしょうか。
上司や先輩に仕事を教えてもらったときや、失敗に対してアドバイスをいただいたとき、相槌を打つときに「なるほど!」や「なるほどですね!」を使ってしまうビジネスマンは多いはず。
しかし、「なるほど」は昔から大名が部下に対して使う言葉。たとえ悪意がなくても「お前の言うことに同意したぞ」という意味になるため、目上の人に使うのは好ましくないのです。
また現代の「なるほど」は「反論が面倒だからとりあえず合意しておきたい」といった心情のときにも使われやすく、会話の中で頻繁に用いると、相手からの印象が悪くなることも。
続いては「了解しました」です。これもビジネスシーンで多用される“とっさの一言”ですが、これも大名言葉であり、実は『お前の言うことを承認してやった』という意味になります。
ではビジネスシーンで返事をする際、どのような言葉が適切なのでしょうか。それは、「承知しました」「かしこまりました」です。
ただ、これらの言葉もどちらか1つに絞って多用すると、堅い人に思われる可能性があります。堅く見られないようにするためには「『わかりました』も含めてバランスよく使い分けること、『承知しました、頑張ります!』『かしこまりました、ありがとうございます!』のように1つ言葉を付け加えることが有効です。