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2022.12.13

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「共通の財布」に「一定額」を入れる。共働き夫婦のうまくいく家計管理

「共通の財布」に「一定額」を入れる。共働き夫婦のうまくいく家計管理

結婚、出産、住居購入。ライフステージの分岐点は、いつも以上にお金がかかってしまうもの。特に出産や子育てに関しては、家族構成や教育方針によって金額が異なるため、「これからどれくらいのお金がかかるんだろう……」と不安に陥りがち。

そんな方のために、ファイナンシャルプランナーとして第一線で活躍する、株式会社Money & You取締役・高山一恵さんがマネープランの立て方や上手な家計管理の方法について解説します。

※この記事は、Schooの授業『子育て世代のためのマネープラン』を再編集しています。

目次

  • マネープランを立てる必要性
  • 残ったお金は自由に使える
  • 先取り貯蓄で支出を減らそう!

マネープランを立てる必要性

昨今「将来に向けてマネープランを立てよう!」という話をよく聞くようになりました。なぜ、「マネープラン」を立てて行く必要があるのか。それは、現在の日本経済、社会状況がひと昔前に比べ大きく変化しているからです。

 

ここでいう昔の日本とは、1960年~1990年(高度経済成長期~バブル期)のこと。この時代の日本は良いときには10%を超える経済成長率を描いており、個人の生活を国や企業が守ってくれました。給与も年を重ねるごとに増えていったため、出産や子育てで支出が増えてもある程度カバーできていたのです。

 

しかしバブルが崩壊し「失われた30年」を経験した今の日本は、経済成長率が1%を下回り、社会保険料や各種税金が増える一方、賃金はまったく増えないという状況になりました。その結果、以下のような問題が起こっています。

 

①「長生きするリスク」が切実になっている

近年の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳。さらに「LIFE SHIFT」によれば、2007年生まれの2人に1人が107歳まで生きると推計され、長寿化が進むと予想されています。

 

②国や企業は生活を守ってくれない

公的年金への不安、医療費負担増、終身雇用の崩壊など、自分の身は自分で守って行く必要が出てきています。

 

③今後約半分の仕事がロボット・AIに代替される可能性がある

10〜20年後には日本の仕事の49%が自動化されると言われており、突然職を失う人が出てくる可能性もあります。

 

特に、マネープランを立てる必要性を加速させているのは「長生きリスク」の部分です。長寿大国の日本で、ライフイベントを乗り越えつつ平均寿命まで生活を続けていくことを考えると、闇雲に貯金をするだけではなく、夫婦できちんとしたマネープランを立てて経済的に備えておくことが大切になるのです。

 

マネープランを立てる上で、最初にはじめるべきことは「大きなお金がかかる時期の把握」です。それには下記のような表を用いることが有効です。

 

 

「ライフプラン表」と呼んでいるものですが、この空欄を埋めていくことで、あらゆるライフイベントに必要な金額やお金の流れが見えてきます。また、お金を貯める理由や期日も明確になるため、マネープランを立てる上で非常に有用です。

 

残ったお金は自由に使える

資産形成が上手にできている夫婦の家計管理とはどのようなものでしょうか。実際に相談に訪れた夫婦の事例をもとに5つのポイントをご紹介します。

 

①ライフプランを共有する(「いつまでに」「どれくらい」お金を貯める必要があるのか

②「支出」の価値基準を明確にして、共有している

③結婚後に生活スタイルを変え、それに合わせたお金の使い方ができる

④「収入・貯蓄」を見える化している

⑤「共通の財布」を持ち、お金の流れを見える化

 

なかでも私が、ぜひ取り入れて欲しいと思っているのが、5つ目の「共通の財布を持つこと」です。特に夫婦共働きの場合は、やり方次第でお金が貯まる環境を作れるのでおすすめです。

 

共通の財布を持つ上で、具体的なお金の管理方法は2つあります。

 

・夫婦の収入を全額共通の財布に入れて家計管理する方法

・一定の割合だけ共通の財布に入れて家計管理する方法

 

このどちらも、お金の流れがはっきり見えるメリットが挙げられますが、前者の場合、夫婦に収入差があると自由に使えるお金が減るため、収入が多い方から不満が出やすいのがデメリットです。

 

一方で後者は、共通の財布に入れていない分のお金をお互いに自由に使うことができ、不満が出にくくなるため、私は後者の管理方法をおすすめしています。

 

ちなみに、もっともお金が貯まらない管理方法としては「支払う項目を分担してそれぞれの財布で払う方法」です。

 

私の経験上、この方法で家計管理している夫婦の多くが「きっと夫(妻)が貯蓄してくれているだろう」と思い込んでしまい「蓋を開けてみると、どちらも貯蓄をしていなかった」というパターンが多いのです。

 

先取り貯蓄で支出を減らそう!

 

夫婦でのお財布の管理で重要なのは、何にどれくらい使っているのかという「支出」に着目して、“無駄”を削減することです。

 

まずは、しっかりと毎月の支出を把握しましょう。そのために、家計簿や家計簿アプリを利用して支出を記録することをおすすめします。その上で、コンビニでの「ついで買い」やカフェ代など無駄のある支出を洗い出し、削減していきましょう。

 

そうして毎月の支出を減らし一定の支出が把握できたら、現実的な「先取り貯蓄額」を決めます。この金額の目安としては手取りの2〜3割が理想です。それが実現できるよう、支出をコントロールしましょう。

 

ここまでの準備ができたら、複数の銀行を一元管理できるようなツールを使い、全体の口座の資産残高を常に意識、残高管理を徹底することで、次第に貯蓄額も増えていくでしょう。

 

計画的なマネープランを立てて行くことで、先行き不透明な時代を乗りきっていきましょう!

 

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
子育て世代のためのマネープラン

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