ビットコインと中国バブルの経済学入門
今回は、“お金”と”経済”の気になることについて、「話題の〇〇で理解する、わかりやすい経済のはなしー2017年11月号」の授業内でSchoo受講生の方からいただいた質問をピックアップ。経済学者の田中先生にわかりやすく解説いただきました。
田中 秀臣 先生
経済学者
遠藤やすは 先生
モデル / 役者 / 絵本作家
田原 彩香
受講生代表
2017.12.04
田中 秀臣 先生
経済学者
遠藤やすは 先生
モデル / 役者 / 絵本作家
田原 彩香
受講生代表
ビットコインとは、別名「仮想通貨」や「暗号通貨」「デジタル通貨」などと呼ばれている、インターネット上で使用できる通貨です。
インターネットさえあれば、国境も関係なく世界のどこにいても使うことができるため幅広い使い道があります。
また、国境をまたいで送金したいときも、ビットコインを使えば通常の送金よりかなり低コストで済むことが特徴です。
「ビットコイン」って、"お金”なんですよね?そもそも「お金の定義」ってなんですか?
貨幣は貨幣であるという「信頼性」が担保できれば、それは”お金”と呼ぶことができます。
ビットコインの場合は、不特定多数の人たちが電子情報に、これは「資産」でもあり、「貨幣」でもあるという信頼性を付与しています。
その信頼性を持ったビットコインが多くの人の手に渡り循環しているため「お金」として成り立っていると言えるでしょう。
受け手が「これは貨幣なんだ!」と信頼してくれれば、たとえそれが、紙でもモノであっても、「お金」としての価値が生まれ、グルグルと経済を回していくことを可能にするのです。
もし、日銀がビットコインの発行を始めたとすると、現金の役割ってどうなるのでしょうか?
仮に中央銀行がビットコインなどの仮想通貨をつくり出すと、「現金」はなくなるでしょう。お金を発行するコストが下がるからです。
もし、中央銀行が発行すれば仮想通貨がお金を制覇するでしょうし、銀行などの金融機関も必要なくなるかもしれません...。
しかし、ビットコイン市場が実体経済に大きな影響を及ぼしているとは言えません。将来的に、仮想通貨中心の社会になるかというのも、議論が別れるところです。
現状、仮想通貨はあくまで「特殊な資産」と捉えられているので、「現金がなくなる未来」というのは考えづらいでしょう。
いままでの日銀の慣習ですと、日銀がビットコインを管理したらビットコインの供給をケチりすぎて、ビットコインがまた高騰しやすくなりそうですよね?
まさにその通りですね!たとえば、中央銀行がビットコインの供給量を制限すると、価値が長期的にどんどん高まります。
すると、モノやサービスをはじめ、「人間の価値」まで下がり…失業者も増える。さらには教育の価値も下がる。生産性も下がるなど、悪循環に陥って行くでしょう…。
北朝鮮の核ミサイルの発射実験が頻繁に行われています。もし、今後、北朝鮮と戦争が勃発したら、日本の経済はどうなるのでしょうか?
核ミサイルで日本の国土や人命におおきな損大を与えた場合、短期では経済的なダメージが大きいでしょう。
しかし、経済のはなしは二の次で、それどころではないと思いますが...。
「戦争後の経済」という観点から、いままでの歴史をふりかえってみると、「一時的なモノ不足や物価の変動があるが、急速な復活を果たす。」というのがセオリーとなっています。
公務員は「不景気に強い職種」と言われ、お給料も景気に左右されづらくある程度一定なことから、デフレ経済の方が有利と聞いたことがありますが、本当のところはどうなのですか?
そういった事はないと思います。デフレ(モノの値段が下がっていく状態)経済になると消費が停滞し、経済活動も鈍ると考えられています。
すると、税収が低下し、財政がひっぱくする…。公務員は政府からお給料をもらっているので、税収が下がると、公務員の給料カットにつながる恐れがあります。
長期的にデフレが続いてもいいことはないと言えるでしょう。
日本の経済をより活性化するためには、どんな「財政政策」が有効だと思いますか?
ズバリ「消費減税」ですね。それがいちばん手っ取り早いかと思います。日銀が毎月発表している「消費活動指数」というものがあります。
これは「どれくらい消費が活発なのか」を示しているのですが、消費増税してからは減少傾向が続いたんですね。たとえば、まずは、今の消費税を8%から5%にして消費の負担を軽くする。
すると、消費が活発になる。 経済を活性化するには、「消費減税」が一番有効というのが私の見解です。
日本の雇用環境はよくなってきているようにも見えますが、結局のところ、アベノミクスは、成功していると言えるのでしょうか?
新卒採用を筆頭に雇用は回復していると言えるでしょう。メディアで報道されているような人手不足は、特定の業種、産業についてのみです。
実質賃金を見ても、ここ2年ほどは上昇傾向で、まだまだ上がる余地はあります。
ですので、アベノミクスはそこそこ成功していると言え、現状は合格点ギリギリの65点から70点ぐらいをあげてもいいでしょう。
世界的にみると日本の起業数は少ない印象がありますが、なぜでしょうか?
「起業するための経済環境の不足」があるからでしょう。日本ではここ20年ほど、デフレによる経済の長期停滞が続いていますが、新たにビジネスが生まれる率と廃業率では後者の方が圧倒的に上回っています。
つまり、「新しいものができてもすぐに潰されるような経済環境が続いていた」ということです。
また、金融機関もデフレ経済の体質を引きづっていて、貸出を積極的に行なわなかったこともその要因でしょう。
自己資金で起業できる人は限られていて、お金を借りることができないと起業も増えません…。デフレ経済は「起業」という観点から見ても好ましい状況ではないのです…。
2017年12月04日 公開
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