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2020.03.23

interview

いい会社ってなに? 副業禁止はもう古い? 複業研究家と働き方改革の専門家に聞く、会社選びのポイントとは

いい会社ってなに? 副業禁止はもう古い? 複業研究家と働き方改革の専門家に聞く、会社選びのポイントとは

次、あなたが働く会社はどこか(出演者:西村 創一朗 / 新田 龍)

目次

  • 会社選びの前に、まずは“自分のWill”を知る
  • 「いい会社」は、リクルートとワタミ!
  • 複業する前に、本業でスキルを磨こう
「次、あなたが働く会社はどこか」

転職を希望している方の中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとしたビジネス領域の大きな変化を意識し、より事業や自身の成長を優先する傾向があると言えるでしょう。

この変化が激しいいま、私達がつぎ働く会社をどのように選ぶべきなのでしょうか。

そこで、会社選びに深く関わりのある複業研究家の西村 創一朗先生と働き方改革総合研究所の代表、新田 龍先生にお越しいただき、これからの「会社選びのポイント」や「いい会社の条件」、AI時代の働き方などについてお話しいただきました。

西村 創一朗 先生

株式会社HARES CEO

新田 龍 先生

働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

田原 彩香

受講生代表

学びノート

SESSION会社選びの前に、まずは“自分のWill”を知る

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まずはじめに、「会社を選ぶとき、見ておくべき3つのポイント」です。

こちらは事前にお二人にポイントをフリップに書いていただきましたので、早速紹介していただきたいと思います。では最初に西村さん、お願いします。

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複業研究家の西村と申します。僕が考える3つのポイントはこちらです。

一つ目は「まずは自分の”will”を見る」です。

会社を見る前に、自分を見ようということです。職場選び・会社選びって、家選びと一緒だと思っています。

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例えば、東京に住むのと沖縄に住むのとどっちがいいか考えたときに、もちろん物件の見るべきポイントもあると思うんですけど、そもそも自分がどういう生活をしたいかによってどっちに住みたいかって全然違ってくると思うんですよね。

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そういうふうに考えたときに、自分は次の職場を選ぶときに成長できる環境を選びたいのか。

それとも、今の会社がブラックだから労働環境を改善してホワイトに働きたいのか。

自分がどうしたいかっていうことを、まずちゃんと言語化することが1点目の大事なポイントだと思います。

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続いて2点目は「”チーム”が魅力的か」です。

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もちろん、その会社の事業が魅力的かどうかとか成長性があるか、安定性があるかなど、そういったことも非常に大事なんです。

でもやっぱり僕が思うのは、「何をやるかよりも誰とやるか」。

ビジネス環境とか市場環境ってどんどん変わるので、その会社で働く仲間、人が魅力的かどうかっていうのがすごく重要かなと思います。

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特に見るべきポイントは、その会社で一緒に働くチームの関係性がいいかどうか。

一人一人もすごく大事なんですけど、チームワークがちゃんととれているかどうか。っていうところの方が大事です。

ドライなチームもあればウェットなチームもあって、自分に合ってるかどうかも大事ですが、「この人たちと一緒に働きたい!」と思える会社かどうかという意味で「”チーム”が魅力的か」を2点目にしました。

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3点目は「『複業』できる環境か」です。

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自分のキャリアを作っていく上でもちろん本業に100%集中するべきタイミングはあると思っていて、複業研究家としてもみんなが複業すべきだとは思いません。

しかし、自分のキャリアを考える上で、新しいことにチャレンジしたいと思ったときに、複業禁止の会社だと異動か転職かの二択しかないわけですよね。

今本業でやっていることがある程度安定してきてたときに。

どっちもまあまあ大変で、自分が行きたい部署にすっと行けるっていうわけでもないですしょうし。

転職してみた結果、自分のやりたいことが必ずしもできるとは限らないってなることもありますよね。

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なので、会社を辞めずに自分のキャリアの新しい可能性を模索できる「複業」っていう選択が取れることっていうのは、すごく重要なことだなと思っています。

また、会社の考え方として、社員を会社の所有物とせずに「プライベートの時間は自由に過ごしたら」って言えるオープンなカルチャーの会社の方がこれからの時代働きやすいのではないかと思います。

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なるほど。

西村さんは自分のやりたいこととかライフワークとか、「人」に焦点を当てているってことですよね。

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「会社がどうこう」ではなく「自分がどう生きたいか」っていう結構深い部分まで考えられているのかなと思いました。

ありがとうございます。

では、新田さんにも「会社を選ぶとき、見ておくべき3つのポイント」教えていただきたいと思います。

SESSION求人広告の「甘い言葉」には裏がある

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働き方改革総合研究所の代表、新田でございます。

ブラック企業を撲滅する仕事と、ブラック企業をホワイトにする仕事をしています。

私が考える3つのポイントはこちらです。

先ほど西村先生からポジティブな視点からポイントを教えていただきましたので、私はブラック企業に入らないようにするための、少しネガティブな視点からポイントをお伝えしようと思います。

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1つ目は「採用基準が低い」です。

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ブラック企業って大体採用基準がやたら低いです。

みなさんも求人広告で見たことがあると思いますが、「経験不問、国籍不問、年齢不問、資格なくてもいいです。書類選考もないです。誰でも活躍できます!」って書いてあるんです。

そういうところは、「そうでもしないと人が集まらない」とういことの裏返しですから、入っても続けていけないんじゃないかなということが想定されるわけです。

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2つ目は「強引ポジティブPR」です。

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企業が自分の会社をPRする時って、「人気ランキングで1位でした」とか「お客様満足度が98%です」などと、具体的な数字を出してアピールするものです。

でも、売りがない会社はどうするかというと「アットホームな社風です」とか「幹部候補募集します」などと、どうとでも捉えられる抽象的なPRをし、よく見たら社員募集だったとか、そういうことを言いがちなんですよね。

強引にポジティブな言葉を使いたがる。例えば営業でもそうですよね。

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単なる「営業」と言えばいいのに「コンサルティング営業」とか「セールスマーケティング」とか言っちゃうんです。

でもよくよく読んだら、単なる営業だったとかいろいろありますのでちゃんと見ておいてくださいねということをお伝えしたいです。

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そして3つ目は、「アッサリ内定」です。

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これはハマってしまう人が多いんですね。

特に人気企業だと面接回数が多いじゃないですか。

そういうのに受からなかった人は「あー自分ってだめなんだな」と自信をなくしてしまうんですけど、そういう時に併願で受けた会社で社長がいきなり出てきて10分くらい雑談して「内定!」とか言われちゃうんですね。

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そこで「自分を評価してくれる会社があった!」と嬉しくて入っちゃうんですけど、企業側は何も見ていないわけですよね。

本当は、頭数がそろえば誰でもいいわけです。

だからこういう企業に入ってしまうと、つぶされてしまいますよということですね。

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なるほど。

ということで、ポジティブな面とネガティブな面から教えていただきましたが、新田さんは入る前から自分で注意深く見ればわかるということですか。

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大体わかりますね。ダメな会社は中身がないですから、抽象的なことしか言えないので。

SESSION「いい会社」は、リクルートとワタミ!

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「いい会社」って調べても出てくるわけないんですよね。

なんでかというと、その人によって「いい」の意味が違うからです。

その会社で働く社員さんにとっての「いい」もあれば、投資家さんにとっての「いい」という意味もありますし。

その商品を扱うユーザーさんにとっての「いい」かもしれないですよね。

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これらはそれぞれ全く意味が違うので、何をもっていいとするかは、まさに自分の”will”ですよね。

そこを調べる前に、まずは自分が何を「いい」とするのかはっきりさせることが大切ですね。

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なるほど。

では、ここでお二人に一番いいと思いう会社を教えていただきたいと思います。

まずは新田さん、よろしくお願いします。

2166

はい。「労働条件がいい」という意味ではワタミなのですが、私が就活生だったら受けたいなと思うのはリクルートです。

リクルートって神話レベルの色んな噂があると思います。「社員が優秀」とか「市場価値が高まる」とか、いい会社っていうイメージがあると思います。

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私も色んなリクルート出身の方とお会いしていく中で、いいなと思う点があって、それは「視座が高い」ことなんですよね。

例えば、私は業界2位の会社にいたんですけど、業界2位の会社って「業界1位の会社を倒したい」と思っているんです。

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でも業界1位のリクルートさんは、この業界をいかに魅力的にしていくかっていうことを常に考えているんです。

もっと言えば、日本をどうしていくかっていうところまで考えているんですよね。

こんなふうに視座が高いので、集まっている社員さんのレベルや視座も自然と高くなります。

2166

集まっている社員さんのレベルが高いということは、たぶんマネージャーの人って大変だと思うんですよ。

一癖二癖ある社員をまとめなければならないですから。

そういうところでマネジメントをするということはスキルが高まることにもなります。

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あとは営業一つとっても、単に「商品を売る」というよりは、お客さんの課題にアプローチして、課題の根本原因を発見し、それを解決するというという「課題発見・解決型」ですよね。

どこをとってもレベルが高いんですよね。

それで鍛えられていくんじゃないかなと思います。あくまでイメージですが。

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なるほど。

実際にリクルートで働いていた西村さんはどうですか。

SESSION出身者が語る、リクルートの「入り時」

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そうですね。僕も一番いい会社にリクルートを挙げました。

僕ももし今就活生に戻って会社選びをするなら、もう一度リクルートを選ぶと思います。

当時の学生時代の僕は19歳で父親になったので、子供を抱えながら就活をしていたんですね。

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だから20代で圧倒的な成長がしたい、あるいは自分で事業がつくれる力を身につけられるような環境がいいっていうのが人生の優先度として大きかったんです。

サイバーエージェントさんとかDeNAさんとか、いわゆるメガベンチャーと言われる会社もありますけど、やっぱりリクルートは唯一無二の会社だなと思いますね。

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新卒の方にとってはいいですが、転職する方にとってもいいのでしょうか。

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いいと思います。むしろ中途で入る方がもっとおすすめです。

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理由は2つあって、1つは就活における倍率に比べると中途の方が入りやすいからです。ちゃんと結果を出していれば実力で採用してもらえます。

2つ目はどんなところで働くかある程度絞れるっていうのが大きいです。

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新卒のメリット・デメリットってあって、デメリットは「配属ガチャ問題」ってよく言うんですけど、総合職で採用されるとどこに配属されるかは、ぶっちゃけ運みたいなところがあるじゃないですか。

でも中途だと、この部門のこの職種での採用とか、ある程度分かった上で入社できるので、中途での入社はさらにおすすめですね。

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なるほど。いいことばかりですね。

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リクルートは、さぞみんな起業独立志向で、みんながみんな独立してくものだと思っていたんですけど、いざ入社してみたら全然そんなことはなくて。

起業独立を真剣に考えてる人は、100人いたら片手の指いるかどうかぐらいだなっていうのが僕の実際に入ってみた感覚でした。

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世の中の一般的な大手企業に比べればそれでも多い割合だと思いますが、少なくとも定年までリクルートで働こうと思って、安定を求めて入ってくる人はいないです。

みんな何らかの形で転職なりしていきますね。

僕の同期は14人いますけど、もう残ってるのは3人しかいないですからね。

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ちょっと補足してもいいですか。

内部の人間じゃないので完璧なことを言えないとは思いますが、これだけ聞くとリクルートってさぞかしいい会社なんだろうと思われると思います。

しかし、これが誰しも当てはまるというわけではないんです。

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私も「市場価値が高まるいい会社ランキング」作成に携わったことがありますが、労働条件の視点からつけたランキングだと、今紹介したリクルートとかサイバーエージェント、DeNAなどは「ブラック企業」扱いされることもあるんですね。

それは、確かに市場価値は高まる一方で、普段の仕事への要求水準とか成果へのプレッシャーが厳しく、決してラクではないからです。

何をいいとするかはその人によってちがうので、必ずしもみんなにとってリクルートがいいということではないです。

SESSIONワタミが「いい会社」だと思う理由

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ありがとうございます。先ほど新田さんがいい会社にワタミも挙げていましたが、その理由を聞かせていただいてもいいですか。

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はい。リクルートは市場価値が高まるという意味でいい会社として挙げましたが、ワタミは労働条件がいいという意味で挙げさせていただきました。

2013~14年くらいまではブラックだったのですが、有能なコンサルタントが介入して=私なんですけれども(笑)

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当時の離職率は全体で3割弱、新卒1年目で55%とかなりひどい状況だったのですが、今や8.5%です。

残業時間は月45時間以内におさまっている方がほぼ100%になりました。

非常に労働環境は良くなっています。店舗に関しましても、営業時間を短縮したり、いろいろ見直して非常に働きやすい環境になっています。

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結構変わったということですよね。大変じゃなかったですか。

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そうですね。

でもこの場合、ブラックだったというのがかえって良かったのだと思います。

ワンマンだったので、上が「こうするぞ!」と言ったらみんなついてくるので、アクションに移るのが早かったです。

「ホワイト企業大賞」の特別賞も受賞していますから、今はホワイト企業ですよ。

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業績とかは変わらないんですか。

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たしかに業績は一時犠牲にしましたが、今は黒字になっています。

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なるほど。

「いい会社」っていうのは時とともに変わっていくものなんですか。

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そうですね。1965年の「就職人気ランキング」1位は東レでした。

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というのは、当時日本で繊維産業が盛んだったからですよね。

70年代の石油化学業や鉄鋼業など、就職人気ランキングの上位に来るのは「その当時の花形産業」なんです。

私は98年に就活生だったのですが、当時は出版業界と銀行が人気でした。

しかし今はどれもランキングに入っていないですよね。時代とともに人気の企業は変わっていきます。

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ランキング自体も「就職人気」だけではなく、先ほどの「市場価値が高まるいい会社」や「財務健全企業」、そして「働きやすい会社」など様々な判断基準がありますし、その基準次第でランクインする会社も全然違います。

自分自身の価値観と照らし合わせて調べることが重要です。

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そうですね。ありがとうございます。

そのやりたいことって、大学生とかって見つけられるものなんでしょうか。

SESSION「やりたいこと」より「できること」を仕事に

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見つかっている人はそのままでいいです。

一方で見つかっていない人はたしかに多いですよね。

そういう時に私がよく言っているのは、「やりたいことを探すよりもできることに注力しろ」ということなんですね。

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分かりやすい例でいうと、よくテレビに出ている林修先生ですね。

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「今でしょ」の方。あの方今ではすごく活躍されていますが、タレントとしてブレイクされる前も今も、本業は一応「予備校講師」なわけです。

でも先生は予備校講師を「ずっと大嫌いな仕事だった」と言うんですね。

じゃあなぜ続けているかというと、それは「勝てるから」だと。

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先生は東大卒業後、日本長期信用銀行に就職するというエリートコースを歩むものの、すぐに辞めて家庭教師をしたり、起業して失敗して借金を抱えたりします。

その借金返済のために、経験のあった塾講師になるんですが、選んだ科目は自分の得意な数学ではなくて現代文なんですね。

その理由は「自分がトップに立てそうだったから」。

そうやって、「やりたいことより、できることで勝負する」「勝てる場所で誰よりも努力する」ことを継続してきた結果、今の活躍があるわけですね。

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できることって、自分の嫌なこととも限らないですよね。

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嫌なことかもしれないですよね。

最初はやりたいこととのせめぎ合いがあるかもしれませんが、「他の人よりも効率的に早くできる」といった点が評価されるかもしれない。

そうやって長期的にやりたいことに繋がればいいですね。

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なるほど。西村さんはどうでしょうか。

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そうですね。

僕は複業支援をはじめ、キャリア支援仕事をしているので「やりたいことがないんです」っていう相談をよく受けるんですけど、「やりたいことがない」っていう悩みほど贅沢なことはないし、それで悩んでいる時間ほど不毛な時間はないんですよ。

僕も「できることをやっていくこと」が大切かなと思いますね。理由は3つあります。

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1つは、今はやりたいことがないかもしれないけど、将来やりたいことが出てきたときにそれができる自分であった方がいいので、金銭的な意味でも技術的な意味でもできることをやっていく方がいいんじゃないかなと思います。

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2つ目としては、できることをやっていると「できることの幅」が広がって、色んな仕事の依頼が来るようになります。

その中で「これいいかも」と思える仕事や機会が向こうからやってくるんですね。

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3つ目は、例えばやりたいことをやっている人に協力してほしいと頼まれて協力しているうちにそれが自分のやりたいことに変わっていくというケースも結構あります。

これら3つの理由から、やりたいことを見つけるよりも、まずはできることをやっていく方がいいと思いますね。

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いざというときのために準備万端にしておくということですよね。

ありがとうございます。

SESSION働き方改革に複業。AI普及が「これからの生き方」にもたらす影響とは

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ではここからはディスカッションに入っていきたいと思います。

せっかくお二人に来ていただいているので、お互いに聞きたいこともあるかと思います。

では、まず西村さんからお願いします。

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はい。

ここ2~3年で働き方改革が叫ばれてきましたが、働き方改革の関してはブラック企業は減っているのか、ぜひお聞かせいただければと思います。

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なるほど。

結論からいうと、「労働環境が悪化した」という意味では一時的に増えてはいます。

ただ、その多くは働き方改革の意味を取り違えているところです。

そういった会社では、「残業するな」「もっと休みをとれ」「でも生産性は上げろ」「ノルマはそのまま」という指令をしてるんですが、それでは意味がないです。

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本来の働き方改革とは、利益の出るビジネスをやり、企業の中にあるムダな作業や不効率な手順も根本から見直して改善しよう、その結果として残業時間も減らせたらいいよね、という取組なんです。

カン違いしてブラック化した会社には、そういうことではないと説いて回っているところです。

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なるほど。そうですね。

13

働き方改革ってもう政府が出していますから、どの企業も絶対に守らなきゃいけないですもんね。

2043

法律の抜け穴を上手く悪用する企業とかもあるんですか。

まだ「残業するな」とか言う企業はましなんですか。

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そうです。ましな方ですね。詳しくは言えませんが。

13

新田さんはいかがですか。

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はい。

複業の専門家である西村さんにお聞きしたいのですが、私も「複業を解禁しようかどうしようか」と企業さんから相談を受けることが多くて。

そもそも本業と競合したらどうしようとかネガティブなことを考えて踏み切れない会社が多いです。

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そういう会社はどうしたらいいのかっていうことが一つ。

あともう一つは、個人でいうと複業するんだったら本業を頑張ったほうがいいんじゃないのとか、そもそもどうするのが正解か分からに人も多いと思います。

だから西村さんから、複業の概論をご説明いただければなと思います。

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ありがとうございます。複業を解禁するかどうか迷っている企業って、僕は「開国前夜の江戸幕府状態」と呼んでいて。

複業解禁って、言ってみれば鎖国していた国が開国するみたいなものじゃないですか。

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開国する前って日本が欧米列強から侵略されてしまうのではないかとか、外国の製品や文化が入ってきて、日本製品が駆逐されてしまうんじゃないかとかいろいろ心配されていたじゃないですか。

でも実際はそうはならず、むしろ文明開化が起こって、日本は一気に国として発展していったじゃないですか。

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それと同じだと思っていて、複業を解禁した企業の中で、情報漏洩が多発したとか、人材流出が起きたとかそういうことはほとんどないです。

複業を禁止している三大理由として、「働きすぎて本業や健康に支障をきたすのではないか」「情報漏洩が起きるんじゃないか」「人材流出につながってしまうんじゃないか」ということが挙げられます。

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考えてみると全部誤解なんですね。きちんと対策さえすれば、事前に防ぐことができます。

だからそれをしっかりした上で複業解禁をしていけば心配はいらないということですね。

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雇用する側になにかメリットはあるんですか。

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はい、一番のメリットは採用です。

ある調査でビジネスパーソンに「複業を禁止している会社に行きたくないですか」ときいたところ「行きたくない」と答えた人が90%だったんですね。

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つまり、優秀な人は複業をしたい人が多いので、採用の面で優秀な人を取りこぼさなくなります。

また、新しいことにチャレンジしたいと思った社員の方に「複業」という選択肢を与えることができるので転職して辞められるリスクも防ぐことができます。

SESSION複業する前に、本業でスキルを磨こう

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複業や転職をするには自分の市場価値が高くないとできないと思いますが、市場価値を高めるにはどうしたらいいですか。

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はい。※「わらしべ長者」って知っていますか?

最初はワラしか持っていなかった貧しい青年が物々交換を繰り返していき、最後は長者になるという話です。

何から始まっているかというと、手に持っていたワラに、飛んでいたアブをくくりつけて泣いていた子供におもちゃとしてあげて泣き止ませたんです。

そのお礼にみかんをもらって、そこから物々交換が始まっていくんですね。

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このわらしべ長者みたいに、自分は何を持っているのか、スキルや持ち味などを棚卸して持っているワラを磨きこむっていうのが重要だと思います。

もう一つは、ワラにくくりつけたアブみたいに自分が持っているものに何を組み合わせればいいのか考えることも重要だと思います。

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僕もリクルートキャリアにいたとき、入社してから3年目までは法人営業でしたが、複業で事業開発に繋がることをしようと思ってマイクロメディアを立ち上げて。

自分なりに収益化してみるみたいなことをやったらそれがフックになって、結果的に本業で新規事業開発の部門に異動することができたんです。

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それで新規事業で得た経験を元に、ベンチャー新規事業のコンサルを複業でしたりとか、そうするとベンチャースタートアップの情報が入ってきて、今に至ります。

長者にはまだまだ遠いですが、ワラしか持っていなかった時代に比べると、だいぶレベルアップできたなと。

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ワラがどんどん価値あるものに変わっていくんですね。

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そうですね。

あとは何を組み合わせたらいいのかっていうことが考えられるといいと思います。

ただ一つ注意してほしいのは、ワラがない状態でアブを探しても意味がないので、まずはワラを掴むまで、本業をしっかりやってほしいですね。

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なるほど。ちょっと私から質問なんですけど、AIが最近普及してきているじゃないですか。

AIに取って代わられる仕事が増えてくる懸念がありますが、その対策ってなにかありますか。

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僕は、人間にあってAIにないものって「偏愛」だと思っています。

一つのことにどれだけこだわりを持てるか、ある種オタク性ですね。

AIに仕事を取って代わられる前に自分が何に対して偏愛を持てるのか、それを見つけられればいいと思います。

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新田先生はいかがでしょうか?

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市場価値を高めるとか転職しやすいという視点で考えると、資格を取るとかスキルを高めるという方向に行きがちじゃないですか。

2166

それはそれで一つの戦略かもしれないですけど、もっと根源的なところで、多くの企業から欲しがられる人材パターンがあるんですよ。

それが何かというと、ちょっとブラック企業っぽいのですが(笑)、まさに姿勢とマインドなんです。

「絶対やりきるんだ」という強い姿勢なんですね。あとは「自分が属した組織は絶対成長させてやるんだ」という強いマインドなんですよ。

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なるほど。

2166

それを持っていれば、そういう人ってどこでも欲しがられるわけですよね。

成長させてくれる人ってどの企業も欲しいじゃないですか。

そのマインドさえあれば、スキルとか知識は後付けでなんとかなるので、やりきることを意識すればいいと思います。

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まだまだ聞きたいところもあるのですが、とても参考になりました。

西村先生、新田先生、ありがとうございました!

SESSION次回も一緒にギャップを埋めていきましょう!Bridge the Gap!

EDITOR'S NOTE

※わらしべ長者の話について詳しくは、西村先生のnoteに書かれていらっしゃいます!
http://ow.ly/zecM50ySAPp

・複業研究家の西村創一朗先生のTwitterアカウントはこちら!
https://twitter.com/souta6954

・働き方改革総合研究所の新田龍先生のTwitterアカウントはこちら!
https://twitter.com/nittaryo

2020年03月23日 公開

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2020年03月09日 放送分
次、あなたが働く会社はどこか(出演者:西村 創一朗 / 新田 龍)

次、あなたが働く会社はどこか(出演者:西村 創一朗 / 新田 龍)

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