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2020.04.16

interview

「かめはめ波を、サッカーを超える競技に」ーー eスポーツの実践者が語る新しいスポーツの形とは

「かめはめ波を、サッカーを超える競技に」ーー eスポーツの実践者が語る新しいスポーツの形とは

「当事者たる起業家が考える、2020年テックトレンド」(出演者:山下 智弘 / 水野 雄介 / 森 雄一郎 / 福田 浩士)

目次

  • かめはめ波を打ち合う? 新しいeスポーツの形「HADO」とは
  • スポーツテックは「観るスポーツ」に可能性がある
  • 「投げ銭」が変えるスポーツビジネス
  • 「元気玉」をサッカーを超える世界最強のスポーツ競技に
  • 技術革新から、新しいスポーツ産業が生まれる
  • 「eスポーツ」が新しいコミュニティをつくる
  • 「かめはめ波」で、スポーツ市場に革命を
当事者たる起業家が考える、2020年テックトレンド。

実際にそのトレンドの流れを利用しながら社会に新たな価値を生み出そうとしている起業家たちは、それらをどのように捉え、考え、日々に生かしているのでしょうか。

新進気鋭の起業家たちに集まって頂き、様々なメディアで取り上げられた2020年テックトレンドの中から、ご自身が事業に活かそうとしているものや深く考えていること、強い興味を持っているものを選んでいただき、解説いただきました。

ここでは、AR技術を用いたeスポーツ競技「HADO」を発明。「テクノスポーツで世界に夢と希望を与える」というビジョンを掲げ、サッカーを超えるスポーツ市場の創造を目指すmeleapの代表、福田 浩士さんが考える「これからのeスポーツ」の形についてご紹介します。

水野 雄介 先生

Life is Tech! 代表

森 雄一郎 先生

株式会社FABRIC TOKYO 代表取締役社長

山下 智弘 先生

リノベる株式会社 代表取締役

福田 浩士 先生

株式会社meleap CEO

田原 彩香

受講生代表

学びノート

SESSIONかめはめ波を打ち合う? 新しいeスポーツの形「HADO」とは

13

それでは、福田先生に聞きたいと思います。注目しているトレンドは何でしょうか、教えてください。

2834

僕が注目しているトレンドは、スポーツです。ちょっと最初に自己紹介させていただきます。

うちの会社は「meleap」という会社でして、AR(拡張現実)を使った“HADO”というスポーツをつくっています。

2834

わかりやすく言うと「かめはめ波」のような技を打ち合うというスポーツで、本来は見えないはずのエナジーボールを打ち合う、ドッジボールみたいなスポーツです。

それを今世界で展開しています。

2834

最近スポーツビジネスが結構注目されてきていると感じています。

僕もスポーツビジネスをまともにリサーチし始めてまだ間もないのですが、例えば電通さんがベンチャー企業と一緒に「SPORTS TECH TOKYO」というプログラムを始めました。

またVCの中でも、今スポーツビジネスに注目している方が増えているし、そういう動きが最近あるかなと思っています。

2834

あとは今年はオリンピックイヤーなので、間違いなくスポーツには注目が集まるだろうなと思っています。

去年行われたラグビーワールドカップなどもありましたし、どんどんスポーツビジネスが変わっていくんじゃないかなと思っていて、それが注目しているトレンドとして「スポーツ」を選んだ理由です。

SESSIONスポーツテックは「観るスポーツ」に可能性がある

2834

スポーツビジネスって大きく分けて「するスポーツ」と「観るスポーツ」の2つに分かれると思っています。特にその中で僕が注目しているのが「観るスポーツ」です。

例えば、ワールドカップやオリンピック、プロ野球って観戦する人がいるからこそ収益が生まれてビジネスになると考えています。

2834

やっぱりそこが盛り上がらないとトップの人たちが稼げない。

稼げないとスポーツをやる人たちも育たないっていう問題が発生します。

だから、まずは観るスポーツの方のビジネスで稼げる仕組みができたらいいんじゃないかなと思っています。

2834

日本のスポーツビジネスの話をすると、10年前、20年前からそんなに成長していないと思っています。

最近スポーツ庁が国策としてスポーツに力を入れてるんですけど、アメリカと比べると全然大したことないんですよ。

2834

アメリカの10年前、20年前と比べると、各競技がどんどん成長してきているって言うんですけど日本ってやっぱり過小評価されているなと。

まだまだ成長できる部分があるなというのが、日本のスポーツマーケットの印象としてあります。

2834

最近のスポーツテックで、例えば「観るスポーツ」だと、テレビじゃなくて、スマホとかアプリで観るというのはもちろん、当然の流れかなと思っています。

2834

先ほどお話しした通り、スポーツ中継を観るとかAbemaTVで観るとか、最近ではYouTubeで観る人も多いし、Twitterで観る人もいるし、いろんなアプリでスポーツを観るようになってきているんですね。

そういうメディアの進化は結構大きいかなとは思ってます。

他にも例えばPlayer!さんとかまさにそうなんですけど、テレビでは流さないような小規模な大会もリアルタイムで状況が分かるような観戦アプリを使ている人もいます。

SESSION「投げ銭」が変えるスポーツビジネス

514

映像は流れないけど、タイムラインで観られるんですよね。

2834

そうです。

そのタイムラインを使って観る人は観る人同士でコミュニケーションをとっていくなどして、観戦の仕方がどんどん変わってくるかなと思っているんですよ。

2834

あとは最近のスタートアップでもちょこちょこありますけど、投げ銭(=ギフティング)を観客が投げるっていうシステムがあります。

今までの商流としては、観る人が多いからスポンサーがつきますとか放映権を高く売りますっていう、基本的にはチケットやグッズの販売の他に、BtoBでスポーツビジネスは稼いでいたんです。

2834

日本ってテレビの目の前にいる人がお金を払って視聴するってあんまりないんですよね。

投げ銭が出てくると圧倒的多数の視聴者からマネタイズができるかもしれない、そのポジションは大きいかなと思っています。

514

投げ銭モデルが成功してる国とかはあるんですか?

2834

投げ銭モデルは、アジアの方が大きくて、中国とかスポーツはまだまだですが、マーケットはすごいですよね。

そのモデル自体は、SHOWROOMとか17Liveのようなところからマーケットが始まっているんですよ。

それが徐々にスポーツにも浸透してきているという感じです。

514

たしかに投げ銭が浸透すれば、スポーツでも「今のナイスボレーシュート!」みたいな感じで、リアルタイムでギフティングするとかあり得るかもしれないですよね。

そもそもスポーツって賭け事でしたもんね。

2834

そうですね、「賭け」ってすごい大事じゃないですか。

日本は一部の競技、競馬とか競艇とかしか合法化されていないんですけど、ベッティングってすごく自分ごとにさせる非常に大きいツールじゃないですか。

イギリスとかオーストラリアではベッティングが普通にできますし。

SESSION「元気玉」をサッカーを超える世界最強のスポーツ競技に

390

テニスとかゴルフとかもできますもんね。

2834

そうですね。あともう一個最近僕らがつくってるのがあって。

観戦者が応援すればするほど「リアルタイムで競技者が強くなる」っていうシステムをつくっているんですよ。分かりやすく言うと元気玉みたいな感じです。

2834

世界中のファンから応援エネルギーを集めて、巨大な必殺技を打つっていう技をつくったんですよ。

514

めちゃくちゃ面白いですね。

たしかにインターネットならできますよね。

390

元気玉はどれくらい強いのですか。

2834

その競技は自分たちで新しく作った球技で、その元気玉で相手を倒した後に、シュートを打つというものです。

514

競技も作ってシステムも作って、大変ですね。

2834

そうなんですよ(笑)

僕は10年後にサッカーを超える世界最強のスポーツををつくりたいんですけど、サッカーの壁って分厚いんですよ。なかなか超えられなくて(笑)

ワールドカップの最高視聴率から計算すると、35億人が同時に観てるみたいらしいです。

514

え、もう全世界の人口の半分ですね。

2834

そうなんですよ、35億人を超えるってなかなか凄いことをしないと実現できないなと思って。

どうしたら35億人以上の人に観てもらえるかなとずっと考えているんです。

1898

今どんな人が競技をやっているんですか。

2834

僕は「サッカーを超えるスポーツにする」と宣言してやっているので、スポーツや体操、ダンスなどをやっている人とか、次世代のスターになりたいと言う20代の人とかいろんな人がやっています。

SESSION技術革新から、新しいスポーツ産業が生まれる

514

過去に、元々存在しなくて結構人気になったスポーツってあるんですか。

2834

F1とかモータースポーツってまさにそうなんですよ。

自動車が生まれて、自動車メーカーたちが競い合うためにつくったスポーツがF1だったんです。

2834

あれは非常にいい例で、技術が革新すると必ずスポーツ産業が新しく生まれるんですね。

今も技術が革新して、eスポーツとかが出てきているので、別にサッカーや野球だけじゃなくて、新しいスポーツももっと伸びてくるんだろうなと思っています。

514

今展開しているのは25カ国でしたっけ?

2834

今26カ国に展開しています。

「スポーツをつくる」ってゲームをつくるのとちょっとちがって、言語がいらないんですよ。

ゲームだとやっぱりその中に言語が出てきてしまうんですけど。

514

そうですよね。いきなりできますもんね。

1898

プライオリティーはどうやってつくるんですか。人口ですか。

2834

ターゲットにする人口は結構大事にしています。

例えば中国とかアメリカは非常に重要なマーケットなので、そこはしっかり現地のパートナーと一緒に市場開拓をしています。

514

F1ってなんで流行ったんですかね。

390

車を売るためなんですか。

2834

自動車メーカーが自分たちの力を磨くためとか、誇示するために力を入れるっていうのはそもそもあるんですけど。

あとはスピードへの根本的な興味、関心はありましたよね。

514

いま、人気なスポーツの共通点を一個見つけたかもしれないです。

F1だとメルセデスとかルノーとか会社がチームを出しているじゃないですか。

サッカーもバルセロナやレアル・マドリードとかの裏側にはスポンサーがいる。

そこから結構、お金が出ると流行るきっかけになるかもなと思いました。

SESSION「eスポーツ」が新しいコミュニティをつくる

2834

そうですね。

あとはスポーツって言わば代理戦争なので、いかにそのコミュニティの帰属意識を刺激するかとか自分事にさせるかってすごい大事なんです。

スポーツで一番盛り上がるのは、やっぱりオリンピックとかパラリンピックみたいな国際大会。

全然知らない競技でも、日本代表が出るなら観ますよね。

514

確かに確かに。普段全然テコンドーとか観ないけど、オリンピックのときは観ますね。

2834

普段は観ないですよね。

でもオリンピックだと観ちゃう、ちょっと気になっちゃう。だったら毎日オリンピックをやればみんな観るのかなと思いました。

2834

リアルなスポーツだと毎日オリンピックは難しいですが、eスポーツなどの遠隔対戦できるスポーツは、場所が離れていても毎日対戦できますよね。

このようにリアルなスポーツではできない仕組みを使うと、今までのスポーツという概念を変えられるかなと思っています。

514

なるほど、面白いですね。

インターネット時代において属しているコミュニティって何なんですかね。

もともとインターネットが無かったころは、国とか街とか企業だったりしたわけじゃないですか。

514

今って例えば、アメリカの人とフランスの人と中国の人と僕と4人が共通して所属しているコミュニティーがあるんですけど、その中の代表が試合に出るとなると応援したくなりますね。

2834

そうですね。コミュニティーの定義の仕方っていろいろあると思っていて。

例えば、ジャニーズで言うと「嵐派!」とか「SMAP派!」とか、そういうわかりやすい顔を掲げて戦うっていうのはあるかもしれないですよね。

あとは社内で議論しているんですが、というか、大反対されているんですけど、キリスト教vsイスラム教とか。

514

なるほど、スポーツで代理戦争にできれば宗教戦争がなくなるかもしれないですね。

すごいマイナーな宗教が勝つなんてこともあるかもしれないですし。

2834

人のコミュニティーの定義の仕方っていろいろあると思うので、この切り口で切ると、興味、関心を惹けるよねとか、自分事にさせられるよねっていうのはあるんじゃないかなと思いますよね。

390

普段からそういうことを考えているんですね。

2834

「どうしたらサッカーを超えられるんだろう」ってずっと考えているんです。

514

35億人に観させなきゃいけないですもんね。

2834

僕もともとスポーツに興味がないんですよ。

やる側としてはやるんですけど、観る側としては全く興味がないんです。

そういう人たちって結構多いんじゃないかなと思って、スポーツってせっかく夢と希望を与える力があるのに、こんなやつがいるっていう(笑)

そういうやつを救ってあげたいなと思ったのがきっかけなんです。

514

じゃあ、サッカーを観ている人とターゲットはちょっと違うかもしれないですね。

2834

たまたま親が巨人ファンだから巨人好きになりましたとか、そういう理由で好きになる人もいるし、スポーツって変じゃないですか。

でも色んな興味の持ち方とか熱狂の仕方があるので、変っていうだけで切り捨てたくないなと思っています。

SESSION「かめはめ波」で、スポーツ市場に革命を

390

でもそこからなんでHADOというスポーツをやろうと思ったんですか。

2834

元々は本当に「かめはめ波」が打ちたいっていうところから始まったんです。

新しい競技を作って、かめはめ波を打ち合う試合をしている間に、そこにドラマが生まれたんですよ。

出場して勝っても負けても涙するようなドラマがあって、それがすごいなと思いました。

「これがスポーツか!」と、そのとき思ったんです。

390

じゃあ「かめはめ波」っていう技術から始まったんですね。

2834

そうです。そこからスポーツ市場を革新しようと思ってやっています。

514

どうやってHADOを練習するんですか。

2834

今は家ではできません。HADOができる店舗があって、フットサル場とかそういう形でボーリング場みたいな感じでお金払って練習することができます。

390

友達に「ドラゴンボールZドッカンバトル」に課金してるやつがいるんですよ。

だから色んな技を打てるとかだったら課金するのかなと思いました。元気玉の話もあったので。

2834

「もっとこういう技を打ちたいのに」と感じる人はいると思うし、それに課金をしていくっていうのはありだと思います。

ゲームの世界でもそういう課金のモチベートの仕方がありますし、あとは自分がここでお金出したらあの選手が技を打てるみたいなのもありかもしれないです。

514

ちょっとやったことないのでやってみたくなりました。

1898

店舗は東京にいくつかあるんですか?

2834

東京だと両国にあって、あとは横浜の方にあります。

あとうちのオフィスでアカデミーというスクールをやってまして、HADOのアカデミーを開いています。

1898

新しいね。それってパッといきなりできるもんですか。

2834

できます。5回のコースになっていまして、それを終えると卒業できます。

1898

結構しっかりやるんですね。

514

腕の伸ばし方とかを学ぶのですか?

2834

はい、打ち方やフットワークを練習します。

390

チーム戦とかもできるんですよね。

2834

そうです。ちゃんと戦略を練る練習もしたら卒業できます。

1898

めっちゃやりたくなってきた。

13

はい、ということでお時間になりました。

福田先生の斬新なプランに「面白い」というコメントがたくさん来ておりました。

盛り上がりましたね!先生方、本当にありがとうございました。

514

「かめはめ波を打ちたい」で起業できるんですね。

13

夢がありますよね。

2834

世界中の人がかめはめ波を打ち合っている光景が見えたんですよ。

これで起業すれば間違いないと思いました。

13

ワクワクしますね!皆さん、ありがとうございました!

SESSION来週も一緒にギャップを埋めていきましょう。それではみなさん Bridge the GAP!

2020年04月16日 公開

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