目次
- 在宅勤務=効率が悪い。その理由を突き詰めれば、集中力が高まる
- 在宅勤務はなぜ集中できないか?
2021.03.23
テレワーク(リモートワーク)で在宅勤務をすることが当たり前になり、この1年で、私たちの労働環境はがらりと変化しました。遠隔でミーティングをしたり、場所を選ばずに仕事をしたり、自由な働き方ができるようになった一方、課題を感じている方もいるのでは。
Schooの授業『どこでも働ける私たちが考える「仕事と暮らし」』では、集中力を測定できるJINS MEME所属の井上一鷹さんを講師にお招きし、在宅勤務の課題でよく聞かれる「家で集中して仕事ができない」という悩みに対して、環境設計や集中できる仕事の取り組み方について解説していただきます。
「パートナーや子どもがいると集中できない」「一人だと怠けてしまう」そんな悩みがある方にとって、「集中できない理由」の気づきになること請け合い!講義の一部を深掘りした本記事を参考にしてみてください。
在宅勤務が集中できない理由を、井上先生は4つあると考えています。
①一人作業中の環境が整っておらず、没頭に伴う“達成感”が無い
テレワークにポジティブな人とネガティブな人の一番の差は「環境が整っているかどうか」にあります。特に、育児をされている方にとっては「絶望的に困っている」という意見があります。
データを採るとかなり顕著に差が現れます。単身で環境が整っている人はオフィスより集中できるというデータがある反面、パートナーや子どもがいる方は集中できないという回答に集中。没頭できるほどの達成感がないと、メンタルヘルスにも影響を及ぼす可能性があります。
②あらゆる社会空間が一つの物理空間に押し込まれゆとりがない
「人は6つの役割を持っている」と井上先生。図を参考にお話すると、上はオフィスでやること、下は家でやること。真ん中は完全に一人で行うことで、左はリアル、右はバーチャルでの役割を表しています。
「コロナ前なら『これはオフィスでやる』『家の中でもリラックスしたソファでやる』と棲み分けしていましたが、6つの相反する要件を1つの場所でやることに非常に苦労している」と井上先生は分析します。
③気持ちにスイッチ、ON→OFFへの切り替えが非常に困難
続けて井上先生は、「人の本質は、そこまで自制できるものではない。自分の役割を切り替えるために空間を移していたものが、空間を移さずにスイッチしなければならない」と示唆を述べます。
だらっとしていた空間から急にテレカンをしなければならない。急激なスイッチのオンオフに疲れを感じることは誰しもがあるのではないでしょうか。
「切り替えるための装置、機能を持たないといけない。自分の気持ちだけで切り替えると“心がやられる”ので、切り替えのルーティンを作らなければならない」と井上先生は警告を鳴らします。
また、自宅は限られた環境のため、同じ壁を見続けて仕事をしていることなども疲れの原因になります。
④“テレカン過多”コミュニケーションが聴覚情報に偏ることの疲れ
オフィスワーカーのビジネスマンは、目と耳で基本的に仕事をしています。目の研究者によると、87%の情報は目から入っているとのこと。残りの7%は耳からの情報だそうです。
耳は「この音だけ聞こう」とコントロールできないため、テレカンでは「この話は関係ないな」「この二人が話しているな」など、一旦耳に入れてからスキャンしなければいけません。そのため、耳からの情報は“認知”にリソースが取られます。
音声情報で仕事することが増えた今、認知・仕分けだけでかなり疲労が蓄積されます。テレカンベースの仕事スタイルが定着している上では残念ながら対策はありませんが、イヤホンにこだわるなど、少しでも音声環境を整えることがストレス軽減につながります。
さらに授業では、「集中力の高め方」をレクチャー。井上先生は、大きく3つあると言い、「できるだけ要素を満たす」「入りやすい構造を用意する」「入るための準備を整える」です。
具体的な方法は、授業のアーカイブで続きをご覧ください。在宅勤務の効率がアップするに違いありません!
文=田中ラン
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井上先生は、本題に入る前にテレワークに関するアンケートを提示。「アフターコロナもテレワークをしたいか」は大体65%くらいの方は「したい」と答える一方、「在宅勤務で仕事の効率は上がったか」の質問には、60%くらいの方が「効率が悪い」と答えています。
テレワークは通勤がなくなる分、効率的なはずなのに「効率的じゃない」と答えている人が多い実態があります。その理由は何でしょうか。