目次
- 「価値のインターネット時代」とは?インターネットの変容
- ビットコインとは?誕生の物語と特徴
- 価値のインターネット時代が私たちにもたらすもの
2020.07.21
情報のインターネット時代から、価値のインターネット時代へ。目まぐるしく変化していく時代の潮流をあらわす一つのキーワードとして挙げられるのが、「IoV(Internet of Value)」です。
今回はコインチェック株式会社専門役員の大塚雄介先生を講師に、これから普及していくであろうお金の価値の変化とインターネットの関係性について学びます。
これまでお金のやりとりを電子化することが難しかった最大の要因は、複製できてしまっては意味がなくなることです。例えば誰かが送金した1万円が複製されては、その価値が変動してしまいます。この問題を解決するために、当時は暗号化をはじめさまざまな手法が検討されていました。
そんななか、11年前にサトシ・ナカモトという方が論文を発表します。そこには双方の信頼を前提としなくても電子化されたお金が回るシステムが提案されており、その内容は実現可能性の高いものでした。
その論文に書かれた内容を実現したのが、ビットコインです。プログラムを書いたのはサトシ・ナカモト本人ではなく、実現を目指したコミュニティです。
これもビットコインの特徴の一つです。本来であればお金は誰かが一元管理をするのが一般的ですが、コミュニティがアップデートしながら管理していく手段を選んだことで、ガバナンス的にもすぐれたシステムが構築されました。
ビットコインが生まれた当初は、理解しがたい、あやしいと感じる人もいたでしょう。しかし10年経った今、多くの解説書も登場し、貨幣価値のデジタル化は珍しいものではなくなりつつあります。
ですから、今後さらに新しい技術や仮想通貨のアップデートが進んでいくとき、率先して新しいものを学び、実践していく姿勢は大切です。大金を投資する必要はありません。自分事として受け入れるために、新時代の価値やシステムを取り入れることが、それ自体を学ぶモチベーションになるはずです。
では、「価値のインターネット時代」とは具体的にどういうものなのでしょうか?
まず、送金の規格としてブロックチェーンなどの価値移転プロトコルが登場していることが挙げられます。これにより、私たちは支払いをより早く、低コストで済ませることができるようになりました。そしてこれからは、こうしたやりとりを誰でも簡単に、スマートフォンなどでできるプラットフォームが登場するでしょう。
仮想通貨に対して価値変動の不安を思い浮かべる方も多いようですが、それよりも送金を簡単にできる規格として理解していただくほうが良いでしょう。この規格を利用することで、今まで難しかった海外とのお金のやりとりを簡便化させる利点もあります。
通貨には3つの機能があると言われています。価値の交換手段として、価値を媒介するものとして、そして価値の尺度を示すものとして。これらの機能をすべて担っていたのが従来の通貨ですが、今後は機能によって通貨が分かれていく時代になるでしょう。送金するのであればこの方法を、貯蓄するのであればあの方法を……といった風に手段に応じて仮想通貨を使い分けていくことができるわけです。そのため貨幣の定義は今後大きく変化していくでしょう。
ただし仮想通貨は、経済や社会そのものを激変させるものではありません。例えば、仮想通貨の登場によって不必要となる職業はありません。あくまで消費行動を補完し、より便利にお金をやりとりするための手段として普及していくものです。
IoVをテーマにお金の価値や仮想通貨について学んでいく本シリーズでは、このほか『ゼロからでもわかる「暗号資産」』というテーマで行われた授業もあります。より深くデジタル化された貨幣価値の変容について学びたい方は、そちらの授業もチェックしてみてください。
『IoVの時代に私たちはどう生きるべきか〜 お金の価値の変化についてあらためて考えよう 〜 第一回 今起きている“お金の価値の変化”』http://schoo.jp/class/6993/room
『第二回 ゼロからでもわかる「暗号資産」』http://schoo.jp/class/7067/room
文=宿木雪樹
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1960年以降、インターネットの登場によってさまざまな情報のやりとりが簡易かつ効率的に行えるようになってきました。例えば手紙はメールへ移行したことで、実質的な距離を越えたコミュニケーション手段となりました。電話や動画コンテンツ配信なども同様です。
そして個人のパソコン所持が一般的になり、インターネットを誰でも使えるようになったのが「情報のインターネット時代」です。さらにSNSが普及し、双方向かつ自由なコミュニケーションが浸透したのが、2010年以降の変化でした。
私たちは「情報のインターネット時代」を経て便利な生活を享受していますが、インターネット上で複製できるものの価値は下がり続けました。一方、お金や不動産のような複製不可能なものの価値は維持され、普遍的なものとして語られてきました。
そこにビットコインが生まれたことで、インターネット上での価値の移転が可能になりました。これまでインターネット上で扱うことのできなかった株式、債権、お金といったものがデジタル化されつつある時代が、今後普及していく「価値のインターネット時代」です。
コロナ禍も一つの要因となり、キャッシュレス化を急ぐ動きが増えています。これから政府主導でデジタル化への大々的な施策が設けられれば、仮想通貨は一層一般的なものとなっていくでしょう。