目次
- データ分析の状況6パターン 貴社はどれに当てはまる?
- データ活用で押さえるべき“情報価値”の違い
- データの取り扱い3レベル 重要なのは「目的」と「仮説」
2021.08.05
データはDXの起点となる“21世紀の石油”です。
企業のDX推進やデジタル化が加速している今。社内に蓄積された膨大なデータを活用してビジネスの生産性向上や効率化をはかるため、「データ活用人材育成を強化していきたい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、「自社がどの程度データ活用をできているか分からない、そもそもデータ活用人材の具体的なイメージが湧かない」という方も多いでしょう。「データ分析を活かすための『仮説』アプローチ」は、そんな人たちに向けてデータ分析の基盤となる現状の把握・分析の手法をわかりやすくレクチャーしどんな人材を育成していくべきか、その概要を掴める授業です。
講師は日立製作所でキャリアをスタートさせ、経営課題の解決や社内変革プロジェクトをリードし、現在はデータ分析・ロジカルシンキングを武器としてコンサル・研修を行うデータ&ストーリーLLC代表/多摩大大学院客員教授の柏木吉基先生。“仮説を立ててデータ分析を活かす”というゴールに向けて、授業の内容を押さえていきましょう!
「そもそも『データ分析が活用できている』ということにどういうイメージを持っていますか?」と柏木先生。多くの人々は分析手法やツールを通してデータを見ると、あれよあれよといろいろな事実が見えてくるというイメージを持っていると先生は語ります。
しかし、「こんなことが起こったことって私、一度も見たことがないです」と先生は語ります。ここで、さらにもう一つ問題が出されました。
【質問】あなたがマネージャだとして、分析者の部下からの報告でより価値の高いのはどちら?
(A)売上実績データを分析したら、8月の結果が昨年より大きく下落していることがわかりました (B)売上実績に影響していると思われる複数の要因をデータで検証したところ、ネット上の商品情報の更新頻度が特定されました。ここを改善することで売上下落を回復できると思われます。
(A)と(B)にあるのは“情報価値の違い”です。(A)ではデータから得られた事実が語られ、(B)では主観に基づいた仮説を裏付けるために客観的なデータを用いた結果とその考察が報告されています。
「データ分析ってどこから手をつければいいの?」基礎から学べる研修プラン
言うまでもなく、より価値が高いのは(B)の報告。このような報告ができるデータ活用人材を育てることが結果を求める企業には必要だといえるでしょう。
データの取り扱いを先生は3つのレベルに分類しました。
レベル1は「グラフありき」。グラフや表を作成し、そこに現れた事実をそのまま報告するというものです。先生は、これはデータ活用じゃないと指摘します。
レベル2は「データありき」。社内の数字を加工してグラフ・表を作成しますが、そこからの手順はレベル1と変わりません。これも、データ活用というには不十分ですが、みなさんも「やったことがある……!」と思い当たる節があるのではないでしょうか。
レベル3は「目的ありき」。目的(知りたいこと)を明確にし、それを確かめるためのデータと方法を考える方法です。いきなりグラフやデータを用いるのではなく、まずゴールを設定するのがこのポイント。
レベル1やレベル2の段階でデータ活用に取り組むと、目の前のデータから適当につじつまが合うような結論を考案するという流れになりがちです。一方、レベル3の場合は、知りたいことに対して有効なデータを選別し、そこから結論を導き出します。
効率の面でも合理性の面でも後者がベターだと柏木先生は話します。つまり、誰もがレベル3を目指してデータ分析人材を育成するべきなのです。
例えば以下のように「71歳以上免許保有率の推移」のデータがあるとします。ここから読み取れる事実は以下のようにさまざま。
・男性の保有率は下降傾向
・女性の保有率は徐々に増加
・男性女性で保有率に大きな違い
・全体として約70%の保有率
これだけではただの事実に過ぎませんが、「今後免許を手放す高齢者が欲しい」という仮説が先に立っていたとしたらどうでしょうか? 上のグラフで着目すべき情報は「全体の保有率はやや下降気味」というものに絞られます。また仮説は「人口推移予測など別のデータを取得する必要があるな」という発想にもつながるでしょう。
このように目的ありきであることがデータを“活用”するためには不可欠なのです。
「よく仮説は精度が低くちゃダメなんですか?」と柏木先生は聞かれるそうです。しかし、その答えは「確かめていない段階ではわからないし精度も何もわからない」というもの。仮説にも質はありますが、たとえ間違っていると証明されても、その事実が得られたということが価値となります。恐れず仮説を立てて良いという前提もデータ活用人材育成の際には押さえておきたいポイントですね。
ここで上司から「売上報告よろしく」など単にデータが欲しい意図で指示が出された場合にどうすれば良いのかについて、リアルタイム受講生から質問が。それに対し、「私だったら先生にこう聞いちゃいます。『それ聞いてどうするんですか?』」と柏木先生。目的なしに言われるがまま現状を把握してもおそらく時間は無駄になってしまいます。だからこそ、上司からの指示であっても「意図」を確認することが不可欠と先生は考えているのです。
授業はここからより深く「データに必要な仮説とは何か」という話題に踏み込みました。データ分析人材を育てるにあたってより具体的な手法を知りたい方は、ぜひ実際の動画を視聴してみてください!
文=宮田文机
『Schoo for Business』について
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授業を始めるにあたって柏木先生からひとつクエスチョンが出されました。ひとつは「今現在仕事により組んでいる状況は以下の(A)~(F)のどれに近いか」もうひとつは「現在目指している状況は以下の(A)~(F)のどれに近いか」という質問です。
(A)グラフや表で生データを可視化し、把握しやすくできている
(B)指標を使い生データを集約し、把握しやすくできている
(C)予算比・昨年同期比など、データで現状把握・評価ができている
(D)さまざまな分析手法で、データから情報を読み出せている
(E)データに基づいた結論や問題解決に導けている
(F)その他
リアルタイム受講生からタイムラインに寄せられた回答はばらけているものの、目指したいゴールとしては(E)が多く見られました。
先生も(E)が目指すべきゴールだと考えています。大勢と一致する答えです。しかし、同時にどうすれば(E)に近づけるか、その方法はわからないという方も多いでしょう。