目次
- 「複業」で得られる高い学習効果
- 「興味のあること」×「できること」から始める
- 無理をしない。小さく始める
2022.12.21
これからのキャリア形成において専門性を身につけねばと焦りを覚えている……。何か新しい学びが得たい!そんな思いを持つ人に「複業」がヒントを与えてくれるかもしれません。
今回は「『専業』禁止」というユニークなポリシーを持つ企業(株)エンファクトリーに所属し、複数の複業に取り組んできた松岡永里子さんにお話を伺いました。
※この記事はSchooの授業「複業から学ぶ-ノウハウを転用する、刺激を得る、キャリアを広げる-」を再編集しています。
私自身、2016年に専業禁止の会社「エンファクトリー」に入社し、新規事業のセールス・企画マーケティング・広報を担当。複業として、ライターやWebデザイン、キャリアコンサルトなど個人事業主としても幅広く活動しています。
そのきっかけは、友人のお誘い、本業のもやもや解消のため、資格の活用などさまざまです。20代で転職を2回経験し、いわゆるキャリア迷子の状態だった私ですが、複業を通じて「職種や職歴にこだわりすぎなくていいのかな」と考えられるようになりました。
複業をはじめるにあたって、向いていること、やりたかったことなど、どんな切り口で考えればいいのでしょうか。
私自身の経験では、「なんとなくできそう」や「興味がある」という軸から複業をスタートさせたこともあり、「向いているか向いていないか」は、続けていくうちに分かってくるものだと思います。
なので、複業に興味がある方は、まずは「やってみたい!」と思う気持ちを大切に、始めてみてはいかがでしょうか。その際は自身の経験やスキルなど既に「できること」を生かせるものならば、手をつけやすいと思います。
例えば、ライティングスキルがあるのであれば「今までに書いたことのない分野だが、自分の興味のある分野のWebメディアのお手伝いをする」、「マーケティングのスキルを活かして新しいアパレルブランドを小さく始めてみる」「管理栄養士の資格を得た知見から栄養価の高い野菜をつくる」などです。
「スキルアップ・自己研鑽」「幅広い視野と経験の獲得」「新たな人脈の形成」など、複業で得られる学びは本当に大きいです。私の場合は、本業でWebサイトやメディアのディレクター業務の経験が長く、ライターさんやデザイナーさんに記事制作やデザイン業務をお願いする側でした。
しかし、自分の興味として「作り手」になりたいという思いから、複業ではライターとして取材に行って記事を書いたり、Webサイトやバナーのデザインを制作を行うようになりました。今ではキャリアアドバイザーやファシリテーションのお仕事をするなど、できることがじわじわと増えてきている実感があります。
また、本業では「依頼する側」、複業で「依頼される側」の双方を経験することで、視野が広がっただけでなく、複業先で得られた人脈で新たな仕事が生まれたり本業に活きてきたりと、様々な形でシナジーが生まれています。
実際に複業をはじめ、「いくつもの仕事を並行して行うためにどのようなタイムスケジュールで取り組んでいけばいいのだろう」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
私の時間のやりくりを紹介すると、平日はほとんどの時間を本業にあてており、朝活として複業に取り組んでいます。そして、土日休みの一日を使って、午前午後のどちらかで複業を進めるスケジュールを確保しています。
複業をはじめたての頃は平日のスキマ時間や休日のほとんどを複業に充ててい ました。しかし、眠る時間を削っての複業へののめり込みは「今思うとすごく無理していたな」と感じます。
なかでも、複業の大変なところを挙げると、「本業or複業でトラブルが起こると余白がなくなり追い詰められる」「計画的に進めないと、どちらかに迷惑が掛かってしまう」という点。やはり無理をしないことは大切です。
しかし、本業と複業の調整などに取り組むことでより、自律的な働き方を実現できたというメリットもあります。
タイムスケジュールを行う上で工夫すべきポイントをまとめると、以下の取り組みが挙げられます。
・本業と複業の人格を分ける(ツールも)
・休日の計画を立てる ・率先して自己開示
・「なぜやるか?」を意味づける
・楽しむ気持ちを忘れない
・無理をし続けない
本業と複業で気持ちをうまく切り替えるために、ツールの色などもすべて変えるようにしていました。また、接触頻度の少なくなる複業だからこそ、本業以上に自分がどんな人か知ってもらう努力をしています。
本業、複業でどのようにふるまうのかの自分なりのメソッドを確立することが、無理なく続けることに貢献してくれるでしょう。また、取り組む理由を定期的に棚卸しすることや、得られた成果や喜びを振り返り楽しむ気持ちを忘れないことも複業を続けるためには大切なことです。
もし無理があると感じられてきたら思い切って分量を減らしたり辞めたりすることも必要でしょう。複業には「向き・不向き」そして「タイミング」があるのです。
複業で様々な経験をすることで、あなたにしかできないオリジナルなキャリアを築くことができます。今は複(副)業マッチングサービスが多数あり、様々な仕事にライトに挑戦できる環境があります。
ぜひ、興味がある分野や獲得したいスキルがある人は、複業をはじめてみてはいかがでしょうか。
ペンシルからのプッシュ通知を設定しておくと、新着記事のお知らせなどをブラウザ上で受信できて便利です。
通知を受信しますか?
そもそも「複業」について、なぜ「副」業ではなく「複」業と表現するのか、みなさんはご存じですか?
それは複数の仕事を、どちらをメイン、どちらをサブと定義せず、いずれも本業と考えて取り組む姿勢があるからです。
今回は「新たな学びになる」という観点から複業について解説します。なお、経団連の資料に記載されている複業のメリットは以下の3つです。
1.スキルアップ・自己研鑽
2.幅広い視野と経験の獲得
3.新たな人脈形成
企業の中でも複業を学びと捉える動きがますます活発化しています。
人材開発を促進したり、自分のキャリアを自分で決められる人を育てたり、社内起業につなげたり……。複業に期待を寄せる企業の視線もだんだんと熱を帯びてきています。
学習定着率は、講義や読書といった情報を一方的に取り入れるだけのものよりも、グループ討論や自らの体験、人に教える経験(アクティブラーニング)を通じて習得することで、高まっていくといわれています。
リクルートワークス研究所の調査によると、日本人の約8割は「キャリア迷子」に該当すると言われています。複業が多くの人の注目を集める背景には、このような社会背景も関係しているのかもしれません。