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2020.08.14

column

上司をほめても大丈夫? コミュニケーションの肝となる「ほめのチカラ」

上司をほめても大丈夫? コミュニケーションの肝となる「ほめのチカラ」

ビジネスの現場で「ほめる」というと、どうしても「上司が部下をほめる」といったように「上から下に行うもの」というイメージがあります。しかし、朝日新聞メディアプロダクション校閲事業部長である前田安正先生いわく、「ほめるとは祝うことでもある。祝うときには敬意が生じる」。つまり、「ほめ」は使い方によって「年齢や立場の上下なく使えるコミュニケーションツール」にもなるわけです。

今回は、多数の書籍も刊行されている「文章のプロフェッショナル」である前田先生が、時代による「ほめ」の変遷とビジネスでの使い方について解説します。

本記事では、先生が著書『ほめ本 こころを通わすコミュニケーション』をベースにして行った授業の内容を抜粋して紹介します。

目次

  • 現代の「ほめ」はコミュニケーションの手段
  • 封建社会の「上下があるほめ」から相手を祝う「敬意を表するほめ」へ
  • 敬語は時代の空気に合わせて変化している
  • コミュニケーションをするときは、相手をまず受け入れる
  • 相手の話を聞いて、資源を引き出せ
  • 「ほめ」は相手への興味、敬意から生まれるもの

 

 


封建社会の「上下があるほめ」から相手を祝う「敬意を表するほめ」へ

 

「お上」という言葉があるように、日本人は昔から「上下関係」を重んじてきました。「ほめ」が生まれたのは上下関係からであり、いわば「立場が上の人間の気分を害さないように」との気遣いからできたのが、「ほめ」です。

 

しかし、現代は封建主義的な世界ではなくなりました。人生100年時代に突入し、年齢の高低に応じた役職で働くのではなく、シニアが見習いとしてベテラン若手の元で職に就くことも珍しくありません。また、海外の労働者に頼ることも多く、これまで守ってきた上下関係の常識を越えたケースが頻発しています。

 

そんな時代の流れに合うように、「ほめ」を上下間のものではなく、「相手に敬意を表するもの」として考え直してみてはどうか、というのが前田先生の主張です。

 

 


敬語は時代の空気に合わせて変化している

敬語は決して固定されたものではなく、その時々の世論に応じて使われ方が大きく変化してきました。

 

例えば明治20年の朝日新聞には、「家の中ではともかく、女性が外で夫のことを過剰に尊敬語で話すのはおかしいのではないか」という話がありました。また、昭和7年の新聞には、小学校の教科書について「敬語が過剰すぎて不自然ではないか」という議論がありました。自由が生まれつつある時代には「もっと敬語をフラットにしてはどうか」という考え方が生まれた一方、第二次大戦前夜の1938年の新聞には、「女は女らしく、敬語を忘れるな」という記事が載りました。軍隊の力が強まるとともに、軍隊の持つ上下関係の意識が敬語にも影響を与えるようになったわけです。

 

戦後になると、敬語はどんどん民主主義的なものになっていきました。現代でよく聞く「○○させていただきました」という言い方は、一説には「関西など商売人文化の中でお客を気遣うための言い方が全国に広まっていった」とされています。

 

その後、最近では「自分をガードするための敬語」も生まれているといいます。「敬語を使うことで一線を引いて本当の自分を出さないようにする」という使い方が生まれているようです。

 

 


コミュニケーションをするときは、相手をまず受け入れる

コミュニケーション手段としての「ほめ」に「相手に敬意を表する」という側面があるように、もしも他人と意見が対立したときは、「相手の立場を意識してみる」ことが大切です。

 

人にはそれぞれ立場があり、立場によって求めているものは千差万別です。例えば、「新聞」について考えてみても、新聞を作る人は「印刷をギリギリまで遅らせてでも、最新の情報をぎっしり詰め込みたい」と考えます。ですが、新聞を配る人からすれば、「新聞はできあがるのが早いほど配りやすくなるからうれしい。さらに、紙幅が薄ければ薄いほど一度にたくさん配れるからラク」と感じるわけです。

 

同じ目標を目指して仕事をしているとしても、置かれた立場によって人の目的は様々です。相手の目的を理解しないままコミュニケーションを取っていても、妥協点が見つからないまま議論がこじれてしまいます。

 

 


相手の話を聞いて、資源を引き出せ

意見が対立すると、「とにかく自分の意見を通して、相手に何も言わせなければ勝ち」とヒートアップしがちです。でも、力まかせにやりあっても、相手との溝が深くなっただけで終わってしまいます。

 

前田先生は、「意見が対立したときは、こちらの意見を言うよりも、むしろ相手の話をとことん聞き出すといい」と言います。時間を渡して、話を聞き出す中で「言語化されていない考え」を見つけて、それをお互いに確かめていくといいでしょう。

 

 


「ほめ」は相手への興味、敬意から生まれるもの

時代ごとの敬語の変遷からもわかるように、「ほめ言葉」は表面だけ・言葉だけのものではなく、「相手への興味や敬意から自然と生まれていくもの」です。

 

相手に興味を持って、相手の話を聞いて、話の中から見つけ出した資産を束ねていくことで、問題解決のための大きな力が生まれます。問題解決のために力をうまく束ねるには、コミュニケーションをとる際には、「話がわき道に逸れたな」と感じたら、すぐに本道に戻すことが重要です。

 

実際の授業では、現代の「ほめことば」についての詳しい話や、受講生からの具体的な質問に対する前田先生の応答もありました。本記事で興味が湧いた方は、そちらもぜひご確認ください。

 

『仕事の成果が上がる「ほめ」のチカラ』

http://schoo.jp/class/6869/room

 

文=加藤敦太

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