目標を達成できないメンバーの成長を促す、マネジャーが持つべき提案力- Schoo PENCIL

2023.05.02

目標を達成できないメンバーの成長を促す、マネジャーが持つべき提案力

組織マネジメントに携わる人にとって、目標を達成できないメンバーに対する接し方は悩ましい問題のひとつでしょう。プレッシャーをかけたり、励ましたりするだけでは解決が難しいものです。

Schooの授業「質問力×提案力 -相手に気持ちよく動いてもらう力-」シリーズでは、TORiX株式会社代表取締役の高橋浩一（たかはし・こういち）先生を迎え、質問を通して自分と相手の「ズレ」に気づき、課題を引き出して解決に導くためメソッドを解説していただきます。

第4回のテーマは「成果が上がらないメンバーとの面談をどうすすめる？」です。本記事では、授業の一部内容を抜粋します。

元エースだからこそ陥りやすい悪循環

まず、先生はメンバーの成長を促すポイントについて解説しました。優秀さを評価され、昇格してマネジャーになった人には、ある悩みが生じやすいと言います。

「元エースのマネジャーは、優秀であるがゆえに、周囲とのズレに悩まされることが多くあります。メンバーに対して『どうしてできないんだ？』というもどかしさを感じることも少なくありません」と先生は指摘します。

さらに、「メンバーに対してさまざまな指示を出しますが、周囲はついていけず、チームとして結果が出ないという悪循環に陥ってしまいがちです」と付け加えます。それでは、うまく回るチームにするためには、どうすれば良いのでしょうか。先生は次のように話します。

「順調なチームのマネジャーは、相手を自分と同じように扱いません。例えば、やる気はあるが能力が追いつかないメンバーに対しては、その人に合わせた易しいレベルの内容から指導します。また、やる気も能力もあまりないメンバーの場合は、まずモチベーションを上げることろからスタートするなど、相手に合わせた対応を心がけています」

具体的なアクションの提案で、お互いの「ズレ」を埋める

一方、元エースではない管理職の場合、苦戦の原因は抽象的なコミュニケーションにあると先生は解説します。

「例えば営業マネジャーであれば、『お客様との関係性を築きなさい』、『行動量を増やしなさい』など、漠然とした指導をしがちです。それを受けてメンバーは頑張りますが、やることや目指す方向性が次第にバラバラになり、PDCAも回らなくなってしまいます」

かたや順調なチームでは、マネジャーの指導や提案が具体的だと先生は言います。

「うまくいっているチームのマネジャーは、『今のタイミングならば、こんな情報を先方に提供しよう』など、具体的なアクションを提案します。すると、提供した結果や、喜ばれる情報のフィードバックが生まれ、それらを軸にPDCAも回せるようになります」

つまり、マネジャーにとっての壁は、自分と前提が異なるメンバーに対して具体的な指導ができるかどうかだ、と先生はまとめます。

ロールプレイで学ぶ、効果的な介入のポイント

ここからは、先生がマネジャーに、パーソナリティの徳田さんが若手メンバーに扮し、次の3つのパターンで面談のロールプレイングを行いました。

1.やる気はあるがスキルが低い
2.スキルは高いがやる気が低い
3.やる気もスキルも低い

先生はロールプレイングを通して、マネジャーがどのようにコミュニケーションを取るべきか提示します。例えば、1の「やる気はあるがスキルが低い」メンバーに扮した徳田さんが、「頑張って試行錯誤しているけれど、成果がついてこない」と相談。それに対して先生扮するマネジャーは叱責せず、具体的なやり方を提案し、一緒に頑張ろうと言葉をかけました。

「本人が頑張っているのにできない場合、重ねて厳しく言ってもうまくいきません」と先生。効果的なやり方を一緒に探り、具体的に示してあげることが効果的だと言います。

授業では2や3のパターンのロールプレイングも行われ、それぞれに合わせた具体的なアプローチの仕方を解説しました。メンバー全員で成果を上げていきたいと考えるマネジャーや管理職の方は、ぜひ授業動画をチェックしてみてください。

文＝宿木雪樹