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2021.06.18

interview

”将来マーケターは不要になる。”ーー情報銀行を利活用する未来を考えるために「社会とIT」を学ぶ

”将来マーケターは不要になる。”ーー情報銀行を利活用する未来を考えるために「社会とIT」を学ぶ

未来の社会人は、情報銀行でサービスを作るために「社会とIT」を学んでいそう by 小川 貴史

目次

  • なぜ社会とITを学ぶのか
  • マーケティングサイエンスで良い世界は訪れるのか
  • マーケティングサイエンスが普及した後の世界では何を学ぶべきか
『ちょっと未来の社会人は、何を学んでいそう?』シリーズです。今回は、データ分析を軸にしたコンサルティング支援をしている小川貴史先生にご登壇いただきました。

IoT機器の普及やAIの進化などにより、多種多様で大量なデータを収集することが可能になってきています。しかし、膨大な情報を効率的に活用することはまだまだ発展途上です。

小川貴史先生は「未来の社会人は情報銀行でサービスを作るために『社会とIT』を学んでいそう」と語ります。大量の情報を効率的に扱うために、私たちはこれから何を学べば良いのでしょうか?小川貴史先生自身が学んでいることと、先生が予測する未来の社会人が学んでいそうなことからヒントを得ていきましょう。

小川 貴史 先生

(株)秤 代表取締役社長

学びノート

SESSIONなぜ社会とITを学ぶのか

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データ分析を学ぶ際に、何から学べばいいのでしょうか?

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結論から言うと、僕は「学ぶためのベクトルをどこに置くか」が重要だと思っています。

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広告業界でマーケティングの効果検証がしっかり定量化するカルチャーが浸透していないことに問題意識を持った時に、僕は分析手法を知りました。その中でも僕が情報銀行に興味を持っている理由をお話しします。

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情報銀行とは、消費者から個人データを預かって、それを企業に提供することによってマーケティングなどで利活用し、個人に便益を与える事業です。その便益は主にお金と捉えられています。

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僕たちは「情報銀行はサービスデザインのためのもの」と捉えています。
僕もそうですが、個人データをどんなにお金を積まれても提供したくない人が一般的です。いくら厳重にデータを管理されていたとしても、自分の位置情報が他人にバレてしまうのは嫌ですよね。個人データと引き換えに、そういった形でお金を与えるというのは割に合うものではありません。

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一方で、例えばマイナンバー制度がありますが、マイナンバーの基盤とありとあらゆる企業で提供されるサービスが連携して独自のサービスがデザインできます。これは、日本独自のサービスデザインのモデルになり得ると僕は考えていて、今はここに注目しています。

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マイナンバー制度の活用に注目ですね。

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あとは、政治も学んでいます。今まで政治には全く興味がなかったのですが、日本のITを社会実装するには、内閣IT官房や経産省など、それぞれが管轄してやろうとしていることをキャッチアップすべきだと考えるようになりました。なので今は社会のITの動きも気にしています。具体的には、内閣官房IT推進室のマニュアル委員会の議事録がHPに載っていて、
そういうものを見ていますね。

SESSIONマーケティングサイエンスで良い世界は訪れるのか

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個人情報はどのように利活用されていくのでしょうか?

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情報銀行が目指すものは、個人データをその人の許可なく売買するものではなく、個人に利活用の仕方を共有し、納得してもらった上で成り立つものです。

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例えば、家にある冷蔵庫の中身をAIカメラで撮影して冷蔵庫の中のレタスがしおれかかっていることを認識し、レシピの提案をしてくれたら嬉しいですよね。そういう活用がされていくと思っています。

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マーケティングで対象の欲望を突き詰めて捉えれば、効率良くお金儲けはできますが、良い世界かどうかは不確かではないでしょうか?

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その通りですね。複雑な問題ですが、そう考えてしまうと思考がストップしてしまいます。

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なので僕はYesに持っていくにはどうしたらいいのかを考えています。よりイノベーティブな個人データ活用に必要な新たな倫理観を先んじて考え、No(=やってはいけないこと)を洗い出していくしかないと思っていて、そういうスタンスでいます。

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様々な問題は出てくるとは思いますが、問題の中でもクリアできる問題なのか、そもそも倫理的に外れる問題なのかというところは整理しながらコメントしています。

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日本は他の国に比べて情報分野ではかなり遅れていますよね。だからこそ、日本独自のイノベーションができるのではないかと思っていますし、僕は情報銀行をポジティブに捉えています。

SESSIONマーケティングサイエンスが普及した後の世界では何を学ぶべきか

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小川先生はどのように、何を学んでいますでしょうか?

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僕は「ある業界の中ですごく有名な人」ではなく、「実際に社会を動かそうとするプチ半沢直樹のような人」から学ぶ道筋を見定めます。

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それに付帯するものを書籍などからインプットしています。今は『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』(著:ピーター・ディアマンディス、スティーブン・コトラー)を読んでいますが、このように深堀りしながら自分の仕事に繋げていくのが僕の学びです。

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マーケティングサイエンスは7~8年前から使われていますが、未だ十分に浸透していません。なので、それをわかりやすく伝えていくことがこれからの僕のミッションだと思っています。一方で、そんな技術は早く陳腐化させてしまいたいという想いもあります。早く陳腐化させて、2030年に向けたイノベーションに関わりたいので、この2つに今の僕のベクトルが向かっています。

2

すでに負けているデジタルで追いつくことも大事ですが、若い世代にはポスト・デジタル産業を世界に掲げていくという考えもあるのではないでしょうか?

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そうですね。「若い世代」というところに着目すると、例えば日本の人口ピラミッドがこれからどうなっていくのかすでに予想が立てられているので、そのような視点から何かできることがあるかもしれないですね。

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マーケティングサイエンスの次は何を学びたいですか?

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世界に勝てる日本独自のITモデルを考えたいです。スマートシティや自動運転など、いかにテクノロジーを社会実装できるかがカギとなります。

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例えば、レベル4の自動運転で事故を起こしたときに責任はユーザーなのかメーカーなのか、法整備がまだ整っていません。社会実装するにはそのような法整備が必要になります。僕は世界と戦える仕組みを本気で作ろうする人でいたいし、そう思う仲間が増えれば良いと思っています。

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現在のマーケティングがあまりサイエンス的ではないとすると、今のマーケティングの正体は何でしょうか?

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僕はマーケティング「論」が好きではありません。具体論にしか興味がありません。「マーケティングとは何か」と考えるよりも、戦略を練る上での手法としてマーケティングをサイエンス的に使いたいです。情報銀行が社会実装されれば、マーケターという職業は僕はいらないと思っています。そういう世界を作りたいです。

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マーケティングとAIは近い未来でどのように絡み合うのでしょうか?

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先ほどご紹介した『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』には、ざっくり「マーケティングはいらない」と書いてあります。僕もそう思います。全てのデータが繋がれば、マーケティングはいりません。

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例えば対話型のAIがあったとして、「歯磨き粉何買おうかな」と言ったら、成分などを全て調べてAIが自動で選んでくれるというシステムが普及すればマーケティングは意味を成しません。

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そのさらに先には日用品はAIが全部買ってくれるという世界が次のフェーズとしてあります。アパレルであれば、SNSから本人の嗜好を解析して服も自動的にレコメンドしてもらえるという可能性もあります。そうすると、いよいよマーケティングという概念がなくなるのではないかということです。

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そうなると、自動運転を好まない人の町とサイバーエリアが分かれてくると思います。音楽でいうと、今はストリーミングが主流になってきていますが、CDやレコードはなくなっていません。なので「運転」というレガシーを楽しむという概念が生まれたり、全てのデータが繋がってはいるけれど買い物をAIに任せることを拒否する選択ができたりするのではないかと言われています。この本にもわかりやすく書いてあるので、みなさんもぜひ読んでみてください。

2021年06月18日 公開

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