2022.11.02
「お一人様も楽しめるテーマパーク」 業界の常識を覆したコンセプトデザイン
商品やサービスなどを企画する上でとても重要なのが、コンセプトです。「コンセプト」は商品の受け手となるユーザーに本質的な価値を伝えるのはもちろんのこと、商品を取り巻く作り手側にとっても共通認識として非常に重要な要素です。
今回は「コンセプト」のつくり方をコンセプターの吉田将英氏が解説します。
※この記事は、『選ばれるコンセプトデザインーー第2回コンセプトデザインの手法』を再編集しています。
乗り物の稼働率を向上させた優れたコンセプト
関連記事
今日の生放送
インサイトとバイアスにジレンマが発生していてそれを解決する事例をご紹介します。
本企画は「一人だからこそ思いっきり楽しめるテーマパーク体験」というコンセプトで「シングルライドサービス」を提供するという提案です。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、これは「東京ディズニーランド」などがやっていますよね。一人でアトラクションに乗りたい方が、あまり順番待ちをせずに乗り物に乗れる仕組みです。
乗り物の稼働でいうと、シングルライドサービスを提供することで、これまで端数になって、一人分だけ余っていた席にお一人様をはめこんでいくことができるようになります。
なので、実は稼働率向上にもつながり、ビジネスモデル上も回転率に寄与するっていう企画なのですが、これも「思い込み」ですよね。
もうちょっと具体化すると、テーマパーク業界の常識である「一人で遊園地に来る人はいないのでないか」という思い込みです。
最近では、「お一人様」が市民権を得てきましたが、以前はこういった実態に気づいている人はほとんどいなかったのではないかと思います。
そうすると、テーマパーク業界の常識を裏返すだけでなく、乗り物の稼働率をも向上させ、ビジネスに直結し、お金としても跳ね返ってくる非常に優れたアイデアでした。