“学びたい”を刺激するメディア。

2021.07.24

Column

大塚家具、三越伊勢丹、丸井……実際の決算書から学ぶ企業の実態の見抜き方

大塚家具、三越伊勢丹、丸井……実際の決算書から学ぶ企業の実態の見抜き方

企業が毎年発表する決算書。「読めるようになったら何かと便利そうだけど、難しそう……」と敬遠してはいませんか?

決算書は株式投資だけでなく企業のビジネスモデルや事業活動を知ることで、ビジネスに生かせる可能性も秘めています。

公認会計士の吉田有輝先生が著した『決算書の読み方 最強の教科書 決算情報からファクトを掴む技術』(ソシム)は、わかりやすく決算書を読み解く方法を解説する実践書。本記事では、同書籍を下敷きに先生が登壇したSchooの授業シリーズ『ビジネストレンドがわかる決算書超解説』の第二回「決算書からビジネスストーリーを読み解く〜BASE・大塚家具 etc..編〜」の内容を一部お届けします。

目次

  • 決算書からわかることとその4つのメリット
  • 大塚家具の決算書に見る財務状況
  • コロナ禍で百貨店の経営状況はどうなった?

 

 

決算書からわかることとその4つのメリット

 

 

「みなさんは決算書で何がわかると思いますか?」というリアルタイム受講生への質問に対し、タイムラインには以下のような回答が並びました。

 

・会社の未来
・会社の健康状態
・今現在の会社の状態
・会社の伸びしろ

 

「正解がでちゃったな…」といいつつ、先生が「決算書からわかること」として提示したのが以下の4項目です。

 

1.ビジネスモデル
2.収益性と成長性
3.ファイナンス戦略(資金調達、株主還元等)
4.危険度

 

 

 

今回はその中でも「1.ビジネスモデル」と「4.危険度」に焦点があてられるとのこと。ここで、決算書が読めるようになることで得られるメリットも4ポイント箇条書きで提示されました。

 

1.株式投資における勝率が上がる
2.経営者・投資家としての視点が身につく
3.世の中のニュースをファクトベースで理解できる
4.就職・転職時に役立つ

 

特に中長期の投資では決算書を必ず見た方がいいと先生は語ります。また、世の中の出来事と自分の目で見た情報をリンクさせられるのも大きなメリット。転職や起業を考えている人にとっても決算書を読めることは力強い武器となるはずです。

 


大塚家具の決算書に見る財務状況

ここからはいよいよ身近な会社の例を用いての解説に入ります。

 

先日オフィスチェアを新調するため大塚家具へ足を運んだという吉田先生。そこで高級チェアとして有名なアーロンチェアを見ていたところ、店員さんから「アーロンチェアは大人気で、購入から自宅に届くまで2~3カ月かかることもある」といわれたそうです。

 

そこで大塚家具の財務状況に興味を持った先生は早速、決算書にアクセスしてみました。

 

 

 

授業当時の財務表では「前受金」が10億円規模から20億円規模に増加しています。先ほどのアーロンチェアの例のように、お金を先に受け取って商品を期間が相手から届ける場合に発生するのが前受金。すなわち、「前受金が増加しているということはアーロンチェアのような出荷までに時間を要する商品の注文が増えているのではないか?」と推測することができます。それはつまり、次の決算で次の売上が良くなっていると予想されることにつながります。

 

大塚家具といえば一時期「お家騒動」などがスキャンダラスに放送されました。経営が悪化しているのではないかというイメージを持つ方もいるでしょう。実際のところを営業利益と現預金残高の推移をもとにチェックしてみます。

 

 

 

上記の図で青色のバーで表示されている営業利益は、2016年からどんどん下落しています。しかし、黒いバーの現預金残高は17年から19年にかけて右肩上がり。これはどういったわけなのでしょうか?

 

そこで貸借対照表を見てみると“資本金と資本剰余金がかなり大きくなっている”ということがわかります。借入もしくは増資が考えられますが、大塚家具の貸借対照表に、借入金は全体で見て大きくありません。ということは、外部の投資家から大型の資金調達をしていると考えられます。実際、大塚家具は2019年3月にEastmoreなどから26億円、19年12月にヤマダ電機から43億円調達しました。

 

 

 

その結果、大塚家具の家電コーナーにヤマダ電機の商品が多く並ぶようになったという、現実の売り場への影響もあります。

 

また、現預金は30億円。もちろん断言することはできませんが、この状態で50億円規模の赤字が発生してしまえば経営状況が危ぶまれる事態になるかもしれません。

 

ここで受講生代表の徳田さんから「赤字だけど資金調達できたのはそれだけ大塚家具に期待している会社が多いってことですよね?」と質問が。先生はそれを受けて、株価が落ち込んでいるタイミングで投資をし、うまく再建までもっていくことで利益につなげたいという投資元企業の意図があることを語りました。

 


コロナ禍で百貨店の経営状況はどうなった?

続いての事例は「コロナの影響をすごく受けてそう」と感じられる百貨店。そこで先生が調査対象に選んだのが三越伊勢丹ホールディングスです。緊急事態宣言等の影響が大きかったと考えられる同企業の損益計算書のサマリーは、以下の通り。

 

 

 

黒字続きだった営業利益が2021年3月期に約209億円の赤字に転落しています。しかし、「営業活動によるキャッシュ・フロー」を見ると11億円のプラス。大赤字なのになぜ、本業によって生じるお金は増えているのでしょうか?

 

キャッシュ・フロー計算書の内訳をみると、税金等調整前当期純損失にいろいろと調整を加えてプラスに持って行っていることがわかります。

 

 

 

減価償却費や減損損失、在庫の販売によって生じる「たな卸資産の増減額」などがその調整に大きく寄与しています。これらで判明したのが、ニュースなどで推察されるよりも三越伊勢丹ホールディングスの経営状況は危険な状態ではないということ。まさに、決算書を使った企業の健康診断ですね。

 

ここで「OIOIを展開している丸井グループの財務状況がどうなっていると思いますか?」と先生。

 

「売上が減少している」「ECが伸びているのでは?」などさまざまな意見が集まります。そこで、先生が提示したのが2020年3月期、2021年3月期の損益計算書です。

 

 

 

まずわかるのが、売り上げ収益がそこまで減少してはいないということ。営業利益はかなり減少しているように見えますが、そこに大きく影響しているのは利息返還損失引当金繰越額であり、一時的なものだと考えられます。そのため、丸井グループはそこまで業績が悪くなっていないと予想されるのです。

 

さらに事業ごとの営業利益や企業の広報をつぶさに観察しても、テナントへの特例措置により売り上げ収益が減少したといった背景があることがわかり、やはり丸井グループはコロナの影響をほとんど受けていないといってもいいと考えられるということです。

 

 

 

企業のイメージではない実態が見えてくる決算書。みなさんも読めるようになりたいと感じたのではないでしょうか? まずは本授業シリーズをSchooでご覧になってみてください。財務三表の読み方やベンチャー企業BASEの分析など、まだまだ内容は盛りだくさんです!

 

文=宮田文机

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
『決算書からビジネスストーリーを読み解く〜BASE・大塚家具 etc..編〜』

 

おすすめ記事

本日の生放送

ペンシルからのプッシュ通知を設定しておくと、新着記事のお知らせなどをブラウザ上で受信できて便利です。

通知を受信しますか?