目次
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
- SASが体にもたらす悪影響
- SAS予防に効果的な生活習慣
2020.12.28
眠りが浅い、日中眠くなってしまう。生活リズムが狂いやすい私たちは、睡眠不足関連の多くの悩みを抱えています。その要因の一つとして挙げられる睡眠時無呼吸症候群。メディアでその名が取り上げられることも多い病気ですが、実際にどんな病気か知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は株式会社ねむログで睡眠メディア「フミナーズ」を運営していた大谷修一先生に、睡眠時無呼吸症候群の基礎知識を聞きます。本記事では、睡眠時無呼吸症候群の定義と予防法について詳しく解説します。
SASの症状がもたらすのは、ガス交換不足です。体はなんとか呼吸しようと換気努力を続けるため、血中酸素と血中二酸化炭素のバランスが崩れます。すると命に危険性を感じた脳が覚醒反応を起こします。勢いよく息を吸ったり吐いたりすることで起こるのが、いびきです。この反応によって呼吸が戻ると再び睡眠できますが、このサイクルを繰り返すことで脳は休むことができません。本人の自覚なく睡眠不足になってしまうことが、SASが引き起こす副次的なデメリットです。
SASはあらゆる成人病とも関係性があります。健康な人と比べて高血圧になる可能性が約3倍、心疾患は1.2~6.9倍と、高い確率で合併症を引き起こすのです。また、睡眠不足は自動車の運転能力の低下などにもつながります。SAS患者が起こした交通事故の発生率は、健常者よりも高いというデータもあります。つまり、SASは直接的な死因ではありませんが、そこから引き起こされる病気や事故は命の危険を伴う病気といえるでしょう。
SASは自分で気づくのがとても難しい病気です。日中眠くなってしまう、いびきをかく、眠りが浅いといった自覚症状は、SASによるものである可能性が高いので、日ごろ悩みを抱えている方は一度専門医の診断を受けることをおすすめします。
日常を脅かすSASに不安を感じる人もいるかもしれませんが、日ごろの生活習慣の改善でSASを予防することはできます。まず、肥満体型の方は減量を心がけましょう。喉まわりに脂肪がつきすぎると、上気道が狭くなってしまいます。また、お酒は無呼吸を悪化させる要因となりますので、避けたほうが効果的です。お酒を飲むと眠りやすいという方もいますが、アルコール摂取時は喉まわりの筋肉がゆるんで舌が落ちやすくなり、無呼吸を誘引してしまいます。同様の理由で睡眠薬を服用している方も、医師との相談が必要です。さらに、たばこは喉を腫れさせてしまうので、同じく気道を狭めてしまいます。
文=宿木雪樹
今回はシリーズ「明日も一日頑張りたいあなたに贈る睡眠学」から第2回「[睡眠学 #2]潜在患者数は300万人? 21世紀の現代病、睡眠時無呼吸症候群を解説」の内容をお届けしました。もっと睡眠について学びたいと思った方は、「[睡眠学 #1]今日から実践できる明日のための快眠術」も併せてご覧ください。
『明日も一日頑張りたいあなたに贈る睡眠学 第2回 [睡眠学 #2]潜在患者数は300万人? 21世紀の現代病、睡眠時無呼吸症候群を解説 』
http://schoo.jp/class/4939/room
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睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome、以下SAS)とは、気道の閉塞などが原因で睡眠中に何回も呼吸が止まってしまう病気です。また、睡眠時のため症状を自覚できないことが多いのがSASの特徴です。国内の潜在患者数は250万人以上といわれ、現代病としても恐れられています。
次に、SASの診断基準を解説します。SASの診断基準は無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index、以下AHI)に基づきます。ここで定義される無呼吸とは「10秒以上の気流の停止」を指し、低呼吸とは「気道が狭くなり、換気量が少なくなった状態」のことです。これらが1時間以内で何回あったかによって、SASの症状は分類されています。1時間に5回以内の場合は正常、15回以内の場合は軽症、15~30回の場合は中等症、30回以上は重症です。