目次
- その疲れは「疲労」? それとも「疲労感」?
- 疲れは放置せず、肩の力は少し抜いて
- 私たちの身体を支える「気」
2022.03.04
いつも身体が重い、いくら寝ても倦怠感があるなど、日常的な疲れはいつの間にか溜まってしまうものです。疲れがさらに蓄積すると集中力や思考力がダウンしたり、仕事の効率が低下したりと、仕事に悪影響をもたらしてしまうこともあります。
授業「『疲れ』を取り、軽やかに過ごすための漢方学」では、中医学的な視点から心身ともに疲れを溜め込まず、日々健やかでいる方法について、漢方薬剤師の杉山 卓也(すぎやま・たくや)先生が解説します。本記事では、その一部内容をお届けします。
疲れを長期的に放置すると、生活習慣病やうつなどの原因になることがあります。心身は一旦壊れてしまうと、回復に膨大な時間がかかるものです。したがって、疲れを溜め込まないよう、肩の力を少し抜いて、頑張りすぎずに毎日を過ごすことが大切です。
とはいえ、ビジネスパーソンの皆さんは「頑張らなければ評価を下げられてしまう」と不安になることがあるでしょう。「何事にも全力で取り組まなければ」と考える人は多いようです。しかし、疲れを放置してまで必死に頑張ることが、必ずしもよいパフォーマンスにつながるわけではありません。
疲れをそのままにしておくと集中力や思考力が落ち、仕事の効率が悪くなります。その結果、残業せざるを得ないこともあるかもしれません。疲れたまま非効率的な仕事を続けていても、ベストパフォーマンスを生み出すのは難しいものです。「『まだやれる』は『もうやれない』」と念頭に置き、無理をせずに取り組むことが大切です。
中医学的な視座では、疲れは「気」と密接に関わっています。やる気や元気、陽気など、気を使った言葉は数多くあり、いずれもエネルギーにまつわるものが多く見受けられます。この「気」とは、私たちの身体や心を支えるエネルギーです。気が不足すると疲労を、停滞すると疲労感を引き起こす、と考えておくとよいでしょう。
例えば、疲労の原因のひとつの仕事や運動のしすぎは、気の消耗によるものです。このタイプの疲労を引き起こさないためには、物事に対して80%ほどの力で取り組みましょう。また、穀類やきのこ類、豆類などの補気食材を食べたり、補中益気湯や帰脾湯などの補気漢方薬を服用したりすることが有効です。
授業では、疲労と疲労感それぞれへの対策をさらに紹介し、受講生からの質疑にも答えていました。普段から疲れに悩まされ、効果的な対策を知りたいと考えている方は、ぜひ授業動画をチェックしてみてください。
文=宿木雪樹
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中医学的に、疲れは「疲労」と「疲労感」の2つに分けられます。それぞれの特徴と原因を解説します。まず、「疲労」とは肉体的な疲れのことです。原因は主に次の3つが挙げられます。
・仕事や運動のしすぎ
・加齢や運動不足などによる体力低下
・血の巡りが悪い
一方で、「疲労感」とは精神的な疲れのことを指し、主な原因として挙げられるのが次の2つです。
・メンタルストレス
・考えすぎ
自分の疲れは「疲労」と「疲労感」のどちらなのか見極め、さらにその原因は何なのか知った上でケアすることが肝心です。