目次
- IoVの時代の起源──サトシ・ナカモトが2008年に発表した1本の論文
- アルトコイン、ブロックチェーンとは?
- ブロックチェーンの4つのすごい特徴
2021.02.09
ビットコイン、アルトコイン、ブロックチェーン……近年よく耳にするお金についてのこれらのキーワード。「知っておかないと」と思いつつ、勉強はまだできていないという人は世の中に多く存在するでしょう。
Schooの人気授業シリーズ『IoVの時代をどう生きるべきか』は、コインチェック株式会社の共同設立者で専門役員の大塚雄介先生から、現在お金に起こっている変化はどのようなものでこれから世の中はどうなっていくのか、そしてそんな状況で私たちはどう生きていくべきなのかについてレクチャーされる全7回の講義です。最終回の今回はこれまでの集大成となる総集編。人が生きていくために必ず必要なお金のことを知るために、その全貌を押さえておきましょう!
サトシ・ナカモトの構想を源流に、ウェブ上で通貨を扱う思想はどんどんアップデートされていきました。そんななかで、源流からもともとの定義自体を変えた通貨を「アルトコイン」といいます。アルトコインはビットコインから派生して、お金をより早く送ることを目指すものと大塚先生。
アルトコインは数多く生み出され、技術的には現在数千近く存在しています。しかし、そのなかで、2020年末時点で実際に使えるものとして日本国内で取り扱われているのは28種類に絞られるということです。
当初、ビットコイン以外はまとめてアルトコインと総称されていましたが、アルトコインそれぞれも特色が理解され始めた結果、XRP・イーサなど個別の名称で指し示されるようになりました。
ここで「技術が進んだからこそさまざまなコインが生まれたのでしょうか?」というリアルタイム受講生からの質問が。
大塚先生は科学全般において生じている“より良いものを生み出していこう”という思想がビットコインにも貫かれていると説明。サトシ・ナカモトの論文において革命的なのが“履歴を誰にも消したりコピーしたりすることができない”という点でした。
それまでのインターネットの勃興はコピーが容易というアドバンテージに裏打ちされていました。しかし、まさにその理由がインターネットの世界で「お金」が発展しない理由でもあったのです。
このように履歴を消したりコピーしたりせずやり取りの記録を保持するシステムを「ブロックチェーン」といいます。AさんからBさんへ送金、BさんからCさんへ送金……という記録をチェーンのようにつなげていくのがブロックチェーンの思想です。
ここで、「ブロックチェーンのすごい点について」という導入から、以下の4つの特徴がスライドにてピックアップされました。
・みんなで運営している
・改竄や不正が起きにくい
・透明性のある合意形成ができる
・効率化できる
先ほどのデータの鎖、送ったという履歴のつながりが残るということは、言い換えると「みんなでシステムを運営している」ということです。個人ではなくみんなによって管理され、バージョンアップされるところが一つ目のビットコインの特色です。
さらに、「暗号鍵」「電子署名」「ハッシュ関数」といった情報の改ざんを防ぐための技術も革新的でした。ビットコインのシステム上では、誰が誰にお金を送金したかということはインターネット上ですべて透明化されることになります。
この結果、既存の金融のクローズドされた状況で起こりかねない不正や隠ぺいを防ぎうるというメリットもあるのです。さらにアルゴリズムによっていろいろな契約を自動化する「スマートコントラクト」も実現できるということです。「間に人の手を介さずに済むことで、これまでのサービスの効率がぐっと改ざんされることが期待できる」と大塚先生は話します。
まさにインターネットが人を介さないことで実現したさまざまな革命を、ビットコインやアルトコインはお金の領域で実現しているのです。
「ではこれをどう実世界の経済に浸透させていくか」ということに多くの人が注目しているのが現在の状況です。言い換えれば、世界はIoVの時代に向かっていると表現することができるでしょう。
ここでリアルタイム受講生のコメントをもとに「ブロックチェーン以外の分散型の考え方は進んできている?」という質問が投げかけられました。
先生は「これはたぶん『文明レベル』の話になると思うんですか……」と前置きし、国の仕組みも独裁からより分散した形へ向かおうという機運が感じられると分析。また、SNSの誕生により情報拡散の手段がマスコミから一般人にも広がったことに触れ、技術によりさまざまな領域で透明性が高まってきている状況に言及しました。
この記事で紹介する内容はここまで。
これだけでもビットコインやブロックチェーンといったキーワードのイメージをはっきりさせることに役立ったのではないでしょうか。
実際の授業動画ではさらにビットコインと金(ゴールド)との比較や2021年のキーワードの紹介により、IoVの時代に向けて持っておくべき知識を知ることができます。気になる方はぜひ録画授業をご視聴ください。
文=宮田文机
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IoVとは「Internet of Value」のこと。価値のインターネットの時代を意味する言葉です。その起源はやはりビットコインにあると大塚先生。
ビットコインは物理的な形を持つものではなく、サトシ・ナカモトと名乗る人物によって2008年10月31日発表された論文をもとにつくられた、暗号技術によってインターネット上でメールのように送ることができる決済網及び暗号資産の総称のです。
ビットコインは現実のお金からイメージするコインだけではなく、インターネット上の記録・システムのことも意味します。そのため、両者のどちらを指しているかわからず混乱してしまう方が生まれてしまうという事情があるそうです。
ちなみに、いまだにサトシ・ナカモトなる人物の正体は判明していません。ビットコインは、一人の人間にシステムが依存することをやめようという思想に基づいて構築されています。だからこそ、サトシ・ナカモト氏はあえて表舞台から姿を消したとも考えられます。
「非常にウェブ的な思想だ」とこの状態を大塚先生は評価しています。人を信じる以上にアルゴリズムを信じるのがビットコインの思想なのです。その思想に多くの人が同調した結果、2008年時点では無価値だったビットコインは、10年以上のときを経て1ビットコイン当たり200万円近い価値を持つようになりました。