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2021.06.23

Interview

”自分の体について知っていますか?性の話はタブーではない”ーー性教育YouTuberシオリーヌ先生が考えるエンタメの力で自分の体を大切にできる社会

”自分の体について知っていますか?性の話はタブーではない”ーー性教育YouTuberシオリーヌ先生が考えるエンタメの力で自分の体を大切にできる社会

未来の社会人は、多様性のある社会で働くためにコミュ力を鍛えてそう by シオリーヌ

目次

  • 自分の体について知らない人が多い
  • エンタメの力で性教育を広める
  • 性の話をタブーとする固定概念の難しさ
『未来の社会人は何を学んでいそう?』シリーズより、今回はYoutubeで性教育を広めるシオリーヌ先生にご登壇いただきました。

性教育の必要性が語られるようになった昨今、私たちは性に対してどのような姿勢を取るべきなのでしょうか?また、性教育が広まった後の世界では、私たちの持つ従来の価値観をどのように対処していけばいいのでしょうか?

シオリーヌ先生が性教育を学び直そうと思った経緯や、誰もが住みよい社会をつくるために必要な学びを知って、性について今一度考え直してみましょう。

シオリーヌ 先生

助産師/性教育YouTube

学びノート

SESSION自分の体について知らない人が多い

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私が性教育の発信活動をしたいと思ったきっかけは、助産師になって3年目のことでした。なぜそう思ったかというと、産婦人科で「妊娠」や「出産」というイベントを通じて「自分の体のことをよく知らなかった」ということに気づく方がすごく多いことを知ったからです。

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性に関する情報は、自分の人生を自分の意思で決めていくために非常に大切な情報です。にもかかわらず、大人になっても性に関する情報をよく知らないのは、問題だと感じました。
この問題を解決するためには、思春期の時から性に関する情報に触れられるようにしていくことがすごく大切だと思い、性教育に関心を持ちました。

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私自身も助産師の資格取得のための勉強の中で、性教育に関してあまり習ったことがありませんでした。学校にもよるかもしれませんが、助産学校の中でも「妊娠をして出産する」と決めた女性に対するケアに関しては充実した勉強をしていました。しかし一方で、思春期の方のケアに関してはあまり習ったことがなく、新たに研修を受けて改めて学び直しました。

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あとは性教育にかかわらず、みなさんの前で話すスキルを今まで学んできたと思います。実は私、高校生のときにアマチュアでお笑いをやっていたことがあります。「ハイスクール漫才」という、吉本興業が主催していた高校生版のM-1みたいなものがあったのですが、それに友達とコンビを組んで出ていました。

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その時の経験は今の私の活動にすごく役立っています。大勢の前でお話をすること、決まった時間の中で話すこと、ある程度プレッシャーのある状況でおしゃべりをすることは、お笑いで鍛えられ、非常に今の自分に大きな影響を与えていると思っています。

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大人も改めて学び直す分野だと思います。思い込みで過ごしている人が多いですよね。

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そうですよね。子供たちに性の話を伝える大人たちもやはり学び直していくことは本当に大切ですよね。今大人の方々が思春期に過ごしてきた時代と今の思春期の子供が過ごしている時代は、大きく異なると思いますので、今の時代に求められている性教育を考えていかなければいけません。

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性教育を学ぶときに一番難しかったことは何ですか?

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性の話は、個人の価値観が反映される話が多いと思います。例えば難しいお話ですが、「中絶」という選択肢に関して、同じ助産師の医療者であっても「命を奪うことだから絶対にダメだ」「そういう選択はすべきでない」という価値観を持っていう人もいます。

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私は女性の生活や命を守るために必要な選択肢だと考えているので、そういう選択肢がありながらも、妊娠を予定していないときには前もって確実に避妊ができる方法を合わせてお伝えしなければいけないという思いはあります。それでも中絶する方はより安全な方法でできるようにしなければならないと考えています。

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このように個々人で価値観が大きく違う部分があるということは、学んでいる中で難しいと感じましたし、自分の性に対する意見や考え方にしっかり向き合わなければいけないと思いました。

SESSIONエンタメの力で性教育を広める

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性教育の勉強を始めて4年ほど経つのですが、ここ1~2年くらいの間で性教育に関心を持つ方がとにかく増えたと感じます。SNSで発信する方がすごく増えましたし、雑誌やテレビ番組の中で性教育を特集されるような機会もすごく増えていて、世の中が変わってきていると思います。

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性教育を変えていこうと思っている仲間が増えてきたので、これからはどう性教育を広げていくか考えなければならないと思っています。イベントや講演会をして、来てくださる方は初めからアンテナを張っている方だと思います。

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性教育は大事だと思っており、情報を取りに行こうとしてくれているからこそ、そういうイベントに来てくださっているのでアンテナを張っていない方、今現在興味がないと思っている方に対してどういうふうに性教育の大切さや必要性を理解してもらえばいいのかというのは、性教育をしている人の共通の悩みだと思います。

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そのためには、性教育に出会う入り口を広げなければいけません。私のYoutubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UC4bwpeycg4Nr2wcrV9yC8LQを見てくださっている方はご存じかもしれませんが、性に関する知識を歌にしてMVをつくっています。

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私がゴリゴリのメイクで歌って踊っているのですが、なぜそういうことをしているかというと、アンテナを張っていない方に対して、何か引っかかってもらえたらいいな思っているからです。

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私は過去にお笑いや歌、ゴスペル、バンド、よさこいなどの経験があり、エンタメの力はすごいと思っています。その中で私は『ヘアスプレー』という映画が好きです。

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『ヘアスプレー』はポップなミュージカルなのですが、このミュージカル映画の中で、人種差別に関する話題や外見で人を評価するルッキズムの話題をわかりやすく取り上げられています。映画を楽しんで観ているだけで、一見難しそうな話題も理解することができます。

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性教育に関してもエンタメの力をお借りして、少しでも興味を持ってくれる方が増えればいいなと思っています。なので今私は、性教育に関心のない方の関心を広げるための方法を学んでいます。

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アンテナを張っていない人に届けることは重要ですね。教育に限らず、お金の教育、情報教育にも通じますよね。

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本当にそう思います。SNSの使い方もそうですよね。「これを学校で教えてほしいのに」と思うことはいっぱいあります。そういうことを気軽に伝えていけるようになるにはどうしたらいいか、日々模索しています。

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性教育をエンタメで広めることは勇気のいることだと思います。これから何か啓蒙したい人にアドバイスをください。

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性の話をエンタメにするのは下ネタと表裏一体だと思っています。一歩間違えれば人を傷つける発信になり得るということは常に私も注意しなければならないと思っています。

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性の話をエンタメにするときは誰を、何を笑いの対象にしているのかというのはすごく大切だと思っています。私は性の話が ”interesting” の方で面白いと思っています。人の体ってすごく面白くないですか?

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妊娠のプロセスなんかも、どうしてこんなに上手くできているのだろうと思うことが多くて、そういう面白さはエンタメとして伝えたいと思っています。

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ただ、それが誰かのセクシュアリティをバカにしたり、お笑いのジャンルにあるように誰かの容姿をバカにしたり、誰かの経験を見下したり、そういう誰かの地位を下げることによって笑いを生み出すようなことは私はしたくないです。

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それによって自分の権利が傷つけられたと感じられる方が少なからずいるので、何を笑いの対象にするのかは慎重に考えないといけないと思います。

SESSION性の話をタブーとする固定概念の難しさ

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先ほどもお話ししたように、最近では性教育を変えていこうとする仲間が増えてきましたが、一方で、性に関する情報を発信する企業やセクシャルマイノリティーの方にとって働きやすい職場作りをしている企業など、そういったところにアクションを起こす企業は「意識高い系」というイメージがまだまだあると思います。

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「余力があって、力があり、かつ思いやりがあるからやっている」「意識が高くて、そういうアンテナを張っている人がいるからできる企業なのだ」という印象がありませんか?多様な人が暮らしている社会では、誰も傷つけず、色んな人の権利を守りながら仕事をする環境作りをしていくことは、誰しも当然やっていくべきことだと思います。

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様々なバックグラウンドやルーツを持つ人が、権利を傷つけられることなく、自分らしく安心して暮らしていける社会をつくるというのは意識が高い人がやればいいことではなく、また優しくて思いやりのある人がやればいいということでもなく、みんなが当たり前にやらなくてはいけないことだと考えています。

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ただ、長らく続いてきた従来の価値観、ジェンダー観や「性の話はタブーだ」という価値観をなかなか手放せないということも理解できます。世の中には様々な人がいて、長年それが当たり前とされている価値観の中で生きてきた人は、今までの固定概念を手放すのは非常に難しいことだと思います。

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ではまず何をすれば良いかというと、人のソフト面を変えることは難しいのでハード面を変えていかなければいけないと思います。性教育でいえば、義務教育で具体的・包括的な性教育を教育指導要領に定められる、セクシャルマイノリティーに関する差別を明確に禁止するという法律ができるなど、そういったハード面が整うことがとても大切です。

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今セクハラが禁止なのはみんなの共通認識ですよね。かつては当たり前でしたが今はセクハラに当たる行為も、それがハラスメントだと言われることを分かっているから、心の中で自分の気持ちが変わっていなくても「気を付けなくてはいけない」という意識が出てくると思います。

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なので、制度や法律を定めてから気持ちがついてくる人が大勢いると考えています。そのハードを固めるには、制度を決める人たちにまで声を届ける方法をこれから学ばなくてはいけないと思っています。

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基本施策は大切だと思いますが、同時に難しさも感じます。

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そうなんです。多様性が大事だと私自身も思っているのですが、自分の中に無意識のうちに、固定概念が染みついていませんか?私も日頃から慎重に言葉を選ぶようにしています。

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例えば「イケメン」など人の容姿を褒めるような言い方になってしまうときもありますし、「男たるもの~」「女たるもの~」という価値観は手放している方だとは思っていても、無意識に出てきてしまうときがあります。

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固定概念を手放すには、自分の無意識から出てくる思いや言葉を一旦客観視して、考え直す姿勢をトレーニングしていくしかないと思っています。そういう視点を養っていくことも大切ですよね。

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先生は性の話をオープンにされている印象ですが、元々オープンだったのでしょうか?

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私は割と子供のころから母親が性の話をしてくれていたので、そういう話がタブーだと思っていませんでした。助産師になって、いろんな話を聞いていく中で、性の話を私はタブー視していないのだということに気づきました。

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私自身も子供のころから性の話に興味があって、宇宙の話や命の神秘など、自分の力が及ばないところに関心がありました。なので色んな人の話を聞いていく中で、そういう話を家族でできない家庭の人もいれば、カップルで話すのが難しいという人もいることを知りました。

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性の話をするときは、最終的に「コミュニケーション」が大切だというところに行きつきます。「親子の間で性に関する話をどういうふうにすべきか」「パートナーとの間で避妊の相談をどうすればいいのか」「多様性を認めた職場づくりをするには?」「自分の生徒ににセクシャルマイノリティーだと打ち明けられたら?」など、どんな悩みも最終的にはコミュニケーションだなと思っています。

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なので、未来の社会人は、多様性のある社会で働くためにコミュ力を鍛えていそうだと考えています。今多様性が認められるようになり、自分の持っている枠組みで相手を理解するのは難しいということが少しずつ分かってきました。目の前の人と丁寧に対話をすることでしか理解し合うことはできません。

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今それに気づき始めている段階なので、これからの未来の社会人はコミュ力を鍛えるのではないかと考えています。

2021年06月23日 公開

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