2022.11.15
「うま味調味料」から「貧困層の栄養補給」。商品の"意味"を変え、売れた味の素
商品を売る時、場所を変えたり切り口や目線を変えてみることで、全く新たな価値を見出せることがあります。
今回は、商品のサイズを小さくしたことで海外での販売拡大に成功した味の素のマーケティングについて、経営学者の中川功一氏が解説します。
※この記事は、『競合分析とブルーオーシャン戦略を理解する』を再編集しています。
2022.11.15
商品を売る時、場所を変えたり切り口や目線を変えてみることで、全く新たな価値を見出せることがあります。
今回は、商品のサイズを小さくしたことで海外での販売拡大に成功した味の素のマーケティングについて、経営学者の中川功一氏が解説します。
※この記事は、『競合分析とブルーオーシャン戦略を理解する』を再編集しています。
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商品に新しい意味を与えることで成功したのが、“世界の味の素”です。
日本では基本的に大きいパックで売られている味の素。海外の子会社がきっかけとなり、コーヒーシュガーサイズで新興国に売り出しました。
コーヒーシュガーサイズで販売することで、容量は少なくても低価格の商品が生まれます。すると、所得水準が低い人にも売れるようになりました。
しかし、新興国の人々はうま味調味料が欲しかったのでしょうか?
実は、ここで注目されたのは味の素の栄養面だったのです。
味の素は、アミノ酸が多く含まれていることから抜群に栄養価が高い。それを新興国などに売り出す。つまり市場が変わった。そして、サイズを変えた。これらの変化を加えたことにより、味の素はこれまでの「うま味調味料」から「栄養補給・栄養補助のための決定打」になる商品に生まれ変わることができたわけです。
商品の「意味」が変わったのです。
今では、アフリカやナイジェリア、東南アジア、ラテンアメリカなどへも、このパッケージサイズで展開。世界中の至るところで、味の素が売られています。
量を減らしたことはあくまできっかけに過ぎません。「減らすこと」がポイントではなく、きっかけが与えられたことで、その結果として商品に新しい価値、新しい意味が与えられた。 これもまた、新しい軸の発見の仕方なのです。