目次
- 名づけは生命力を与える
- ネーミングの5つの法則論
- 月曜日に名前をつけよう!
2020.08.19
名前というのは人や製品、サービスに対する印象に大きくかかわります。
多くの時間をかけた仕事に対し、最後の最後に与えた名前が結果を左右することもあるでしょう。
そのようなとき、あなたは自信を持って名前をつけることができるでしょうか?
「ネーミングはやればできます!」と断言するのはこの授業「記憶に残る「名前」のつけ方」の講師、阿倍広太郎先生。
株式会社電通でコピーライターとして10年以上従事し「いつやるの? 今でしょ!」などの名コピーを生み出してきた先生はこの3月、『コピーライターじゃなくても知っておきたい心をつかむ超言葉術』を刊行しました。
この授業では書籍の第五章「名付けの力」を題材に、名前をつけるということはどういうことか、そのために何を意識すればいいのかといった知見がレクチャーされました。そのハイライトをまずは本記事でチェックしてみてください!
それでは、実際に名づけのテクニックを押さえていきましょう。
先生はネーミングの法則論として以下の5つをレクチャーしてくれました。
1、「A×B」単語の組み合わせ
「感想文」と「文庫」を組み合わせた「感想文庫」のように単語同士を組み合わせるテクニック。単語にのりしろを付けることですっと入ってきやすくなる。
2、強い文脈(歴史・故事成語)をずらす。
「飛んでジム行く夏の女子(飛んで火に入る夏の虫)」「飲み狭間の戦い(桶狭間の戦い)」のように歴史的な言葉や故事成語を語感の似た言葉で入れ替えるテクニック。
3、見立てて名前をつける。
「しつもんニョッキ」「電車内狛犬」のように世の中のまだ名前がついていないものをほかのものに見立てるテクニック。
4、すでにある名前に違う響きを持たせる。
「ワイファーイ」「Gショック」のようにすでにある概念や商品の名前を別の事象に当てはめるテクニック。
5、真逆の言葉を同居させる
「進撃の老人」「優しい衝撃」のように一見真逆の意味を持つ言葉を組み合わせるテクニック。「どういうことなんだろう?」と興味を抱かせる引力のある言葉にすることができる。
名前を考える際大事なのが「意思をもとにいろんな言葉を探し続ける姿勢」。先生自身一案だけでネーミングがすんなり決まったことはないといいます。
授業の後半では実際に名づけを行ってみる体験型の企画が行われました。 そのお題は、「仕事はじまりの月曜日に名前を付けよう」。
月曜日には、金曜日の「華金」のようなニックネームが特になく、仕事始まりということで憂鬱な気持ちになる人が多いです。そこで気持ちが上がるような名前を付けよう、というのが今回のお題の目的。10分間の制限時間が設けられ、コメント欄でリアルタイム受講生の皆さんからの回答が大量に寄せられました。
授業で取り上げられた例には、以下のようなものがあります。
・ニューMON(ニューモン)
・グイグイマンデー
・華金4日前
・アフターサンデー
・月に代わってお仕事よ!
それぞれの回答が先生によってピックアップされるとともに、どういった点がいいのかといった感想が紡がれます。
また、同時に受講から寄せられた質問への回答がなされました。
例えば「コピーライティングにも名付け親の価値観が反映されるのでしょうか?」という趣旨の質問の回答は「価値観は大事だと思っています。学校にもあだ名があり、その中には読んでほしいものも読んでほしくないものもありますよね。なので愛と敬意を大事にしています」というもの。
さらに「クライアントと先生の名づけにおける価値観が異なるときはどうしますか?」という質問には「価値観がぴったり重なることはむしろ少ないと思います。そんな時は対話を徹底してこういう風に思っていますという土台を共有することにしています」と回答されました。
このように、授業内で思い浮かんだ疑問に対して率直な感想が得られるのもスクーでオンライン授業を受ける意義のひとつといえます。
授業ではほかにも「SNSのユーザーネームを考えるときのコツは?」「ほかの人のアイディアに影響されないためにはどうすればいい?」「通勤途中の電車などでコピーを考えるときなど書き留めるためのツールでおすすめものは?」などここでは紹介しきれないほどの質疑応答が行われました。
阿部先生いわく、「この授業のコメントが載せられたタイムラインは貴重なアイディアの塊」ということです。ぜひ一度覗いてみてはいかがでしょうか。
この授業は『心をつかむ超言葉術』シリーズの第三回。次回「「伝わる企画書」の贈り方」は、いよいよ最終回です。ぜひ、生放送をお見逃しなく!
『心をつかむ超言葉術 第三回 記憶に残る「名前」のつけ方』http://schoo.jp/class/6873/room
『心をつかむ超言葉術 第四回 「伝わる企画書」の贈り方』 http://schoo.jp/class/6874/room
文=宮田文机
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「そもそも名づけとは?」という根本的なテーマから授業は本格的に始められました。先生は「名づけることで生命力を与える」というイメージを持ってネーミングの仕事に取り組まれているそうです。
その際、思い浮かべているのが以下の画像のイメージ。
陶芸のろくろを回している様子が映っていますね。ここで重要なのが、手が触れている部分ではなく、器を支える土台の部分。
「『大量生産・大量消費の時代』である現代、『モノ』があふれているだけでなく『言葉』すらも溢れかえっている」と阿部先生はいいます。
そこで重要なのが「意思」という土台をしっかりと持つこと。ネーミングを考える前に以下のような疑問を思い浮かべ、土台をしっかりと固めたうえで言葉選びに取り組むことが求められるのです。
・なぜつくるのか?
・なぜそれが必要なのか?
先生が例として挙げるのが過去自身で手掛けた恵比寿の「こども食堂」の案件。貧困対策のイメージが強いこども食堂ですが、本来の目的は「21世紀型のご近所付き合い」をつくることです。
そこで先生が考えた名前が「恵比寿じもと食堂」。
子供やお母さんや、地元の人々が交流する場という意思を「じもと」という3文字に込めたのです。また「地元」でなく「じもと」とあえてひらがなで表記することで丸みのある親しみやすい印象が与えられています。
「名づけによって意思の部分まで伝わるのが大事」だと先生はいいます。