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Sep.

2017年12月06日 公開

月刊:マジ文章書けないんだけど -朝日新聞ベテラン校閲記者が毎月教える一生モノの文章術#1-

“ことばの記憶を探る旅” 「マジ文」前田先生と考える、 「ことば」が持つ意味とは?

小学校から高校まで12年も国語の授業を受けているのに、出来ているようで出来ていない人が多い文章作成。出来ているつもりでも、読み手に伝えること、自分の伝えたいことを強調した表現に整えるには、かなりの苦戦が強いられる。文章力をさらに強化するために、前回授業で習った範囲を連載授業としてより詳しく教えていただきます。

今回は、本連載からスタートした前田先生のコラム「そもそも“ことば”とは何か?」について、受講生のコメントと共に考えていきます。

前田 安正 先生

朝日新聞メディアプロダクション 校閲事業部長

江川 みどり

受講生代表

学びノート

SESSIONことばって、何?

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「前田先生の考える言葉とは何でしょうか?」

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私の考えを述べる前に、まずは先人の考えを覗いてみましょう。「詩という仕事について」というアルゼンチンの詩人、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの著書があります。ここに、ことばとは、「”共有する記憶を表す記号”である」と述べられています。

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「”共有する記憶を表す記号”とはどういうことでしょう?」

2000

私たちはことばで何かを表現しようとするとき、「表現しようとするもの」をまず頭の中でイメージします。

それはモヤモヤして形になっていなかったり、遠くに置き忘れてしまった何かのようであったりします。それを探っていく先にポツリとことばがこぼれてくるのではないかな、と思うのです。

2000

これは、「掘り起こされていないことばの記憶を探る旅」と言い換えられるかもしれません。

その旅の記録が文章です。記憶は必ずしも過去のなか(history)に収まっているものではなく、むしろ、未来のあるべき姿(story)のなかに横たわっているのではないか、と思うのです。

SESSIONエントリーシートから考える、ことばの役割

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「私は来年就職活動を控えているのですが、そこでもことばが重要になってくる気がします」

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そうですね。就職活動のときに書くエントリーシート(ES)について考えてみましょう。

ほとんどの場合、「中学生から大学生までの10年間でこんなことをやってきました」など、自分の長所や部活、自分が力を入れて取り組んできた活動などを書きますよね。

2000

言ってみれば、社会の扉をこじ開けるために過去の話を見せるわけです。

しかし、就職は未来に向かっての活動です。それまでの学生生活でやってきたこと(history)を書くというより、むしろ目指す企業において自らがあるべき姿(story)を思い描いて、学生時代のいまを記していく作業をすべきなのです。

これまでの自分はこうだったからというhistoryからstoryをつくるのではなく、これから先の自分はこうありたいというstoryを描く中にhistoryが含まれているはずです。

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なるほど、storyの中にhistoryが含まれるのかあ

SESSIONいい企画は、いいことばから生まれる?

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私は商品企画をしているのですが、企画をするうえでも、『storyを描く中にhistoryが含まれている』という考え方が大きなヒントになるかと思いました。

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そうですね。「storyを描く中にhistoryが含まれている」という考え方は、新たな商品やサービスなどの企画をつくるときにも有効だと思います。

商品やサービスを企画するときに例えば、5年、10年先の未来を想像する。最初はうまく言葉にできずに、モヤモヤするはずです。

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しかし、そのモヤモヤから言葉を拾い出せれば、つまりそこに至るstoryを描ければhistoryも同時に描けるはずです。

そうすれば視界が広がり一気に企画書を書き進められるのではないでしょうか。

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数式も”科学における言葉”とも言われていますよね。これはまさに記号で成立しているものという意味もあるかと思います。

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マーケティングの部署で数字を扱われている方もいらっしゃるかと思います。数字というもの自体は単なる記号です。

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しかし、その数字を読み込んで、その奥にあるストーリーを描ければ、数字は単なる記号から意味を持つ〝ことば〟として立ち上がり、文章が生まれます。ここにこそ未来を探るカギがあるのではないでしょうか。

EDITOR'S NOTE

前田先生の授業は大変学びの多い授業です。

2017年12月06日 公開

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