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2020.07.23

column

コロナ禍時代の「アンガーマネジメント」。怒りを飼い慣らす“魔法の呪文”とは

コロナ禍時代の「アンガーマネジメント」。怒りを飼い慣らす“魔法の呪文”とは

新型コロナウイルス感染拡大を受け、テレワークに切り替わった人も多くいるはず。けれど、新しいツールの導入やオンラインでの業務など、慣れない仕事による“リモート疲れ”でストレスを溜めてはいるのでは?

いつもは穏やかな人でも、知らず知らず溜まったストレスによって怒りっぽくなっているのが、昨今の世の中です。怒りの感情に振り回されて大失敗する前に「アンガーマネジメント(怒りを飼い慣らす技術)」を学んでみませんか。

Schooの授業『いま必要とされるアンガーマネジメント』で、怒りと向きあうスキルを身につけ、コロナ後の世界にうまく順応していきましょう。

今回の講師は、一般社団法人株式会社日本リーダーズ学会代表理事、リーダーズアカデミー代表で『怒らない技術』の著者である、嶋津良智(しまづ・よりのり)先生です。本記事では、Schooでの授業から抜粋して紹介します。

目次

  • 不必要な感情の乱れをなくそう
  • 「べき」を減らして心をおだやかに
  • 魔法の呪文「きっと何か理由があるはずだ」

 

 

不必要な感情の乱れをなくそう

 

怒りについて最初に憶えておいてほしいのは、「怒りの感情に良いも悪いもない」ということです。怒らない技術とは、「けっして怒ってはいけない」ということではありません。「喜怒哀楽」という言葉があるとおり、怒りも人間にとって必要な感情なのです。

 

嶋津先生は、怒らない技術の目的は「感情のダイエットである」と言います。

 

感情のコントロールは成果のコントロールであり、いわば人生の舵を取る行為だと言っても過言ではありません。人間が持つ感情の中でも、特にマイナスな結果を引き起こしがちな「怒り」に正しく対処することは、健全な人間関係を築く上でとても大切になります。

 

では、そもそも怒りとは何なのでしょうか。先生は怒りのことを「感情が乱されること」と定義しました。その上で、「人はマイルールを犯されると感情が乱れる」と言います。

 

 

例えば、「海外では家の中に靴のままあがる」生活習慣があります。でも、この習慣は「家の中では靴を脱ぐもの」という日本人からしたら気になりますよね。この「気になったという心の動き」が感情の乱れであり、これがエスカレートすると「家の中では靴を脱ぐのが常識でしょ!」と怒りに変わります。しかし、この怒りの出所はというと、「あなたの中のマイルール(家の中では靴を脱ぐのが常識)」なわけです。

 

怒りを生む原因はマイルールであるため、「自分の中のマイルールを知る」ことが怒りに対処するためのいちばんの方法になります。自分が持っている「当たり前でしょ」「常識だろう」「普通はやってくれるはず」を見つけて、きちんと認知することが大切です。

 


「べき」を減らして心をおだやかに

マイルール、自分の中の常識は、言葉にすると「~べき」で表すことができます。

 

「常識として、家の中では靴を脱ぐべき」
「普通、会議には5分前から来て準備もしておくべき」
「人や車がめったに通らないところでも、信号は必ず守るべき」

 

この「べき」は人としての考え方の根っこになるので、全て捨ててはいけないものです。しかし、「べき」から外れた出来事に出会ったときに人間は感情を乱されます。不必要な「べき」が多ければ、それだけ多く怒りを覚えることになりますし、その「べき」が強ければ強いほど、怒りの強さも大きくなるでしょう。

 

マイルールと「べき」の話であったとおり、「怒り」の感情は、実は自分の内から生まれるものです。怒っているときは、まるでその悪感情は「相手から与えられたものだ」と思いがちですが、もとをたどれば、相手の行為や言葉に対して、自分自身が「悩んだ」り、「怒った」り、「落ち込む」といった意味づけをして発生させている感情なのです。

 

先生は、「出来事そのもの意味はありません。出来事に意味づけをしているのは自分自身なんです」と言いました。

 

自分自身の意味づけによって生まれた内なる怒りを相手にぶつけても、相手を変えることはできないでしょう。すると、思った反応が得られないためにストレスが募りますし、怒りをぶつけた相手との関係も悪くなります。人生をプラスに持って行くためには、心の引っかかりになりうる「不必要なべき」を減らしていくことが重要といえます。

 

 

喜怒哀楽とあるように、私たちの人生は心の持ちように大きく左右されます。出来事そのものには意味はないと知った上で、日々の出来事に対して自分から、どんな意味づけをしていくか。それによって今日一日が決定し、その積み重ねが人生になるのです。

 


魔法の呪文「きっと何か理由があるはずだ」

怒りに惑わされないテクニックとして、先生は「間を置く」ことを挙げました。

 

 

科学的な事実として、「人間は約10秒の間を置くと、気持ちを感情系から思考系に移すことができる」と言います。

 

条件反射で怒りを表明するのではなく、頭を一度冷やして、「怒っている自分、相手のことを客観視する」ことで失敗を避けることができます。あくまでも怒りは感情の動きであって、あなたには「こうしたい」という目的があるはずです。

 

例えば、朝の通勤時。電車に乗る際に突き飛ばされたとします。ここで条件反射的に怒ってしまい、さらには相手にケガをさせたりしたら、警察沙汰になってしまうかもしれません。その場合、怒りの表出が下手だったせいで「電車に乗る」という目的から遠のいてしまいます。そこですぐカッとならず、少し間を置くことで頭を冷やし、「自分は電車に乗りたかったはずだ。相手に文句を言うことは重要じゃない」と、真の目的に立ち戻る。この「怒っている自分の客観視」ができれば、アンガーマネジメントはほぼ成功したと言えます。

 

最後に、「怒りをクールダウンさせるための、いつでも、誰でも、どこでも使える魔法の呪文」として、先生はこんな言葉を教えてくれました。

 

 

「きっと何か理由があるはずだ」

 

どんな悪いことをする人にも、何かするからにはその人なりの理由があるはずです。されたことにカチンと来ても、「それをした理由があるはず」と考えて、いったん頭をクールダウンさせる。どうしても理由が思い浮かばなかったら、当事者に聞いてみる。

 

怒りをコントロールするのは難しいですが、アンガーマネジメントはスポーツと同じで、反復練習していくことで身につくものだと先生は言います。たとえ、今日すぐにうまくできなかったとしても、少しずつでも、まずは「条件反射で怒らない」ということを大切にして、怒りとの付き合いかたを練習していってはいかがでしょうか。

 

実際の授業では、他にも受講生から怒りについての具体的な質問もありました。そちらはぜひ実際の授業でご確認ください。

 

『いま改めて読み返したい入門書 第二回 いま必要とされるアンガーマネジメント』http://schoo.jp/class/6965/room

 

生放送『いま改めて読み返したい入門書』では、さまざまな入門書を介して、「先行きが見えづらい世の中だからこそ学びたいこと」をテーマに提供しています。

 

『いま改めて読み返したい入門書 全五回』 https://schoo.jp/class/6964

 

文=加藤敦太

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