目次
- 仕事を進める上で大事なのは“全体像を意識すること”
- 柔軟な思考を持つための3要素
- 広い視野、高い視座、多様な視点を得るために何をすべき?
2022.01.24
得意なこと・やりたいことを仕事にして自分も周囲も幸せにする。
ほとんどの人が理想的だと感じられる生き方ではないでしょうか。しかし、現在実践できているという人はそう多くはないはずです。
Schooの授業シリーズ『自分の強みを引き出す4分割ノート術』では、東京大学経済学部を卒業し、日系メーカーに勤めたのち40歳でGAFA部長に転職した経験を持つ寺澤伸洋先生から、最新著書をもとに「自分の強みを引き出すノート術とそのための思考法」について教わる授業です。
第3回では、好き・かつ得意なことを仕事にできている「最高の仕事人」になるために身につけるべき物事の見方・考え方についてレクチャーされました。
利他的な思考で取り組んでいる人、漫然と仕事に取り組んでいる人を変えるためには、上司などが利他的な気持ちを持ち、全体像を意識するよう働きかけることが重要だと寺澤先生は語ります。
先生が部下や新人の教育において大切にしているのが、“何回聞いても良い”というルールを設け、粘り強く時間をかけてLEVEL.3の職人のような考え方を浸透させていくこと。あまりに理解が及んでいない様子が見受けられるとついついイライラしてしまうこともありますが、それでもあきらめず相手と向き合うことは不可欠なのでしょう。
仮に「言われたこと以外のことをやったとしても責任を取るのは上司だと思っています」と寺澤先生。「これをやったら怒られるんじゃないか」と委縮する気持ちは部下の思考のタガとなってしまいます。そのため、相手の仕事への向き合い方を変えるために、安心感を与えられる上司であることが重要であるということです。
そんな柔軟な思考を持ち、与えるために必要なのが以下の3つの要素。
1.視野を広げる
2.視座を高める
3.視点を増やす
「視野を広げる」とは、“情報を集める領域を意識的に広げること”です。例えば製造業の人が金融業の戦略を学ぶ、サッカー選手が野球選手の練習法を学ぶなどがその例として挙げられました。自分が属する業界や職種から、横に視野を広げてみることをまずは意識してみてください。
「視座を高める」とは、“役職や責任が大きい人の立場で見ること”です。自分だけでなく部門全体の負荷はどうなるのか、部門全体でかかるコストはどうなるのかなど一段上の視点から仕事の全体像を眺めましょう。もしかしたら今のあなたの視点だけでは、青々と森が生い茂っているにもかかわらず、一本の木の根元しか見えていない状態なのかもしれません。視座を高める最も手っ取り早い方法として先生がおすすめするのが「目上の方と話す」ということ。経営企画部門で働いていた期間、ハッとする機会が何度もあったと寺澤先生は話します。その驚きを積み重ねることで、どんどん見える景色は広がっていくはずです。
「視点を増やす」とは、“物事を見るときに、多面的に見ること”です。これはプライベートで無意識に行っている方も多いかもしれません。例えばステーキを買うときその味だけでなく産地や部位もチェックしたり、売り手の立場から考えてみたりしたことはありませんか。一か所だけ見て終わり、ではなく対象について“今までは考えが及んでいなかった範囲”について考えてみましょう。
ここで、寺澤先生からリアルタイム受講生に「視野、視座、視点の話を聞いて自分の中でこうしてみよう!と感じたことは何ですか?」と質問が。
しかし、「考えだしたら爆発しそう!」と悩む意見も上がります。先生が実践しているのは「書き出すこと」。だからこそ、ノートに書き出すことが重要なのです。「頭で考えているだけではなかなか結論にたどり着かない」と先生は主張します。普段自分が読まないようなジャンルの本を読んでみるのも良いでしょう。
また、「全体最適を考えて行動したら同僚のやっかみにあい『ええかっこしい』と言われてしまった」と吐露する受講生も。先生の回答はシンプルに「スルーしましょう」。表面的な部分とは裏腹に、うらやましさを感じているのかもしれません。「一緒にやろう」と声をかけて巻き込むことができれば理想的ですね!
上記で授業の半分ほどの内容をご紹介しました。ここから、話題は思考を深めるための具体的な手法にまで進みます。ここまで紹介した思考法を下敷きに、ノートを手に取って“実践編”に取り組んでみましょう。
文=宮田文机
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「仕事を進めるために最も大事なのは『全体像を意識しておくこと』」と寺澤先生。仕事は基本的には自分だけでは完結しないもの。最終的な目的を達成するためには目の前のタスクだけでなくゴールや、現在自分が携わっているフェーズ、誰から仕事を受け誰に仕事を渡すのかなどについて把握しておく必要があります。
それだけでなく、モチベーションを維持する・高めるためにも全体像を意識することは役立ちます。みなさんは、「3人のレンガ職人の話」をご存じでしょうか?
レンガを積んでいる職人たちに「何をされているんですか?」と尋ねたところ、以下の通り三者三様の答えが返ってきたという寓話です。
LEVEL.1:親方に言われてレンガを積んでいるんだ
LEVEL.2:給料がいいからレンガで壁を作っているんだ
LEVEL.3:レンガを積んで後世に残る大聖堂を造っているんだ
10年後、LEVEL.1の職人は変わらずレンガを積み続けており、LEVEL.2の職人はレンガ積みよりも給料がもらえる壁づくりを、LEVEL.3の職人は大勢の職人を束ね、巨大な大聖堂をつくる名士となっていました。
どの職人のモチベーションが高かったのかは一目瞭然ですね。仕事を“やらされている”と感じるか、“利己の気持ち”で携わるか、最終的にもたらされる成果を意識して“やりがい”を感じて働くかで仕事の成果は大きく変化します。
ここでリアルタイム受講生に「あなたや同僚は目的や全体像から考えていますか? 考えている人とそうでない人の行動の違いはどんな点でしょうか?」と問いが発せられました。この記事を読んでいるあなたや同僚はどうなのか、ぜひ自分ごととして考えてみてください。