目次
- コンテンツビジネスの今はどうなっている?
- 日本でこれから起こること、起こらないこと
- 日本と韓国・中国の違いは?
2020.08.28
今、世界は大きく変わりつつあります。新型コロナウイルスの影響で大きくダメージを受けたエンタメ業界も例外ではありません。
特に現在盛り上がっているのがSNSやライブECといった領域。先を行く中国などの国ではすでにインフルエンサー、タレントがデジタルコンテンツ業界でしのぎを削りあっており、日本もその流れに参入しつつあります。
そんな現在の状況をその先頭で地平を開こうとしている専門家から聞けるのが Schooの授業『世界で流行るSNS/ライブECから考える、コンテンツトレンドの法則は?』です。
この授業はTikTokを生み出したByteDance社で昨年まで勤務していた中国トレンドマーケター黄未来先生と、株式会社ホリプロデジタルエンターテインメント代表取締役社長鈴木秀先生の対談形式で行われました。
コンテンツビジネスの今とこれからを知りたい人に向けて、その内容を抜粋してお届けします。
続いての話題は、“今後コンテンツビジネスはどう変化するか”です。一つ目のポイントはIPコンテンツの未来。IPコンテンツとは、ドラえもんやサンリオキャラのように知的財産権を伴うコンテンツのことです。
黄先生は中国のトレンドとして、“ゲーム×高級化粧品”“ビール×口紅”など異色な組み合わせを紹介しました。鈴木先生はその流れは日本では今のところ起こらなさそうだと返答します。
それは日本ではブランドのロイヤリティーと価値観がしっかりと根付いているからではないかと黄先生。中国ではブランドのイメージが浸透しきっていないからこそ奇抜な組み合わせが好反応を得ているのかもしれません。
また、日本では消費者のボリューム層が40~50代なのに対し、中国では20~30代の若い層なのも影響しているようです。
鈴木先生自身が自身の会社経営において掲げているビジョンは“脱クライアント”。所属するタレント「景井ひな」さんがゲーム配信者として人気を博していることを例に挙げ、例えば1,000万フォロワーに到達したら“景井ひなプロデュース”のゲームを作るなどタレントと一緒にサービスを提供する側になりたいといいます。
それを受けて黄先生が紹介するのが中国のインフルエンサーのライブコマース事業。中国のトップインフルエンサーはもはや商品の紹介依頼を受けて支払われる広告料ではなく、実際に商品が売れた個数に応じて支払われるインセンティブをメインの収入源にしているといいます。そうすることでタレントはクライアントと同等の立場に立つことが可能になり、より自己表現もしやすくなるのです。
「日本もそっちにシフトするはず」と鈴木先生は、事務所とタレントのパワーバランスがタレント側に徐々に傾いている日本の現状に触れました。
最後のトークテーマは“日本と韓国・中国といった他国との事例比較”です。
韓国の企業と仕事をする中で、最初から世界に向けられた韓国のコンテンツ設計に驚いたという鈴木先生。黄先生も韓国人、日本人、台湾人の多国籍で構成されたアイドルTwiceの例を挙げ、そのすごさに同意します。
ハイクオリティーなプロモーションビデオをYouTubeで公開し、曲やダンス、ステージ設計までタレント自身がプロデュースする韓国アイドル。自身でハードもソフトも生み出し、高いエンゲージメントを持って演者・客の両方が向き合うその姿勢は米Apple社のようだと鈴木先生は感嘆をもらします。
また、中国はプラットフォームを生み出す能力がすごいと鈴木先生。TikTokや小紅書など、新しいビジネスモデルを生み出し続けていると指摘します。日本は著作権の厳しさもあり、世界の流れに取り残されたガラパゴス状態にあるとのこと。流れを変える存在が現れなければ衰退してしまうかもしれません。
授業の最後には、「今世の中で求められているコンテンツにはどんな特徴があると、あなたは考えますか?」と問いかけがなされました。あなたなら、どう考えるでしょうか。
授業ではほかにも鈴木先生がタレント採用時に定める「やらないことリスト」など興味深い話が聞かれました。ぜひ実際の動画をフルで視聴して知識を仕入れてください。
この授業は“あなたのギャップを埋めるビジネス・テクノロジー番組『Bridge the GAP』”の第24回として放送されました。
次回「ファンに愛され事業を伸ばす、アンバサダーマーケティングってどうすればいいの?」などシリーズを視聴することは、世界・日本の今、これからを知ることに役立ちます。興味のある方はチェックしてみましょう!
『Bridge the GAP -あなたのギャップを埋めるビジネス・テクノロジー番組- 第24回 世界で流行るSNS/ライブECから考える、コンテンツトレンドの法則は?』
http://schoo.jp/class/7047/room
『第25回 ファンに愛され事業を伸ばす、アンバサダーマーケティングってどうすればいいの?』
http://schoo.jp/class/7049/room
文=宮田文机
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最初のトピックは、「コンテンツビジネスの今」です。「あなたが今ハマっているコンテンツは何ですか?」との問いかけにリアルタイム受講生からはSchoo、note、Netflix、YouTubeなど多様な回答が寄せられました。
現在のコンテンツビジネスにおいて重要なポイントとして鈴木先生が強調するのが「SNSとコンテンツフォーマットの使い分け」です。数え切れないほど存在するコンテンツプラットフォーム、そこで多くの支持を集めるには適切な使い分けを意識しなければなりません。
雑誌の表紙と特集記事で役割が違うように、例えばTikTokは興味を持ってもらう導入として使い、YouTubeでより深く中身を知ってもらう、またインスタグラムのストーリーで“隣のクラスの有名人”のように身近に感じてもらうといった使い分けが大事になります。
黄先生が挙げるのが、デジタルコンテンツビジネス先進国の中国と日本の違い。日本はYouTubeなど比較的長めの動画がコンテンツの中心なのに対し、中国では1分などのショートコンテンツがメインとなっているそうです。「その理由は2つある」と黄先生。
ひとつはせっかちな中国の国民性、もう一つはYouTubeが日本ほど普及していなかったことです。「日本は今後ショート、ロングのどちらが王道となるんでしょう?」という黄先生。
鈴木先生は中国のように「ショートムービーが主流になる」と予想します。なぜなら、コンテンツビジネスとはようするに、LT(ライフタイム)の奪い合いだから。対象は同じエンタメにとどまらず、食品など人の時間を奪うものすべてに及ぶと鈴木先生は考えているそうです。時間の奪い合いが本質ならば、なるべく時間を使わず情報を得られるコンテンツの方が勝つのは間違いない、と鈴木先生はいいます。