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2022.02.03

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普通の人々が天才を超えるためのカギ、「集合知性」のヒミツ

普通の人々が天才を超えるためのカギ、「集合知性」のヒミツ

日々の仕事の成果は、とても個人では実現できないようなことばかりです。一人の知性では難しいことも、「強いチーム」ならば達成できるということは、これまでのキャリアを振り返ってみれば実感できるのではないでしょうか。

京都大学卒業後、米ウィスコンシン大学大学院で医学博士号(Ph.D)取得。その後、旧通産省の主任研究官や米ノースウェスタン大学医学部脳神経科学研究所の准教授を歴任し、現在は「国際コミュニケーション・トレーニング株式会社」代表取締役を務める岩崎一郎先生は、200社以上の企業で集団知性を発揮できる組織作りを支援しています。

Schooの授業シリーズ『成果を引き上げる「脳の使い方」習慣』では、岩崎先生により脳科学の視点からビジネスやプライベートで成果を上げる方法についてレクチャーがなされています。

本記事では、第1回『「集合知性」がチームでの成果をつくる鍵』の内容の一部を文章の形でお届けします。

目次

  • ふつうの知性の人たちが天才を超えることを可能にする”「集合知性」
  • 「集合知性」を発揮するための3つの要素
  • 自分のチームの集合知性を採点してみよう

 

 

ふつうの知性の人たちが天才を超えることを可能にする”「集合知性」

 

 

華々しい経歴を持ちながら実は非常に大きな悩みを抱えていたという岩崎先生。幼いころ、父のDV(家庭内暴力)で対人恐怖を覚えるようになり、無口・口下手に。44歳まで恋愛経験はなく結婚相談所へ登録するも玉砕が続いたといいます。

 

そんな先生の人生が変わるきっかけとなったのがシカゴの街角で3,000人に声をかけるという荒行です。さらに、岩崎先生は現在の妻、クレアさんと京セラ創業者稲盛和夫氏の著書『生き方』という2つの大切なものに出会うことに。

 

28人の町工場から売上1兆5千億円を超える企業(京セラ)を立ち上げ、さらに現在のKDDI(当時は第二電電)を創業し、世界一高かった日本の電話料金引き下げに貢献、破綻した日本航空(JAL)を再生し2年半で再上場させるなど、“経営の神様”と称されるにふさわしい成果を上げた稲盛和夫氏。その生きざまに感動した岩崎先生は、稲盛氏の経営塾、盛和塾に入塾しました。

 

 

 

そこでわかったのが稲盛和夫氏の経営哲学は「脳科学的に非常に理にかなっている」ということ。そこでポイントとなるのが“ふつうの知性の人たちが天才を超えることを可能にする”「集合知性」の力。

 

そんな集合知性を発揮する脳の使い方を身につけるトレーニング「脳磨き」の方法を、伝授するのが『成果を引き上げる「脳の使い方」習慣』です。

 

ここで「脳をリラックスさせる伸びをしてみましょう!」と岩崎先生。それができたら、本格的な授業、スタートです。

 


「集合知性」を発揮するための3つの要素

「これまでの脳を鍛えるとか、能力開発では個々人の脳を個別に鍛えることが主流でした」と岩崎先生は語ります。それとはまったく違った知性のあり方が「集合知性」です。例えば野球やサッカーなどの団体スポーツで「全員の気持ちが一つになっている場合」と「各人が『個人タイトル』に目を向けている」場合では、成果に違いが出ることはなんとなく予想がつきますよね? 心が一つになることで、1+1が10にも100にもなるのが集合知性の奇跡です。そして、「そんな奇跡は知性の場合でも同様に起こりうる」と岩崎先生は述べます。

 

 

 

第23回平昌オリンピック、女子パシュート団体決勝。メダリストを多く擁する強豪国オランダと、メダリストは銀メダリスト1人のみという日本がぶつかった結果、生じたのが「日本の勝利、そして金メダル獲得」という奇跡です。

 

知性においてそんな大番狂わせが起こったのが米国カーネギーメロン大学で120人を対象に行われた実験の現場において。IQテスト、脳機能テストなどで個人の能力を測り、その後3人組の40チームで「デザイン」「発想力」「事務処理能力」などをテストしました。その結果、ぶっちぎりで成果を上げたのは「個人知性は普通」と判断されたチームだったのです。

 

 

 

そこで発揮されていたのが集合知性の相乗効果でした。

 

集合知性を発揮するためには3つの要素を満たす必要があると岩崎先生は語ります。

 

ひとつ目が、「共感性」。これは、チームがお互いの気持ちや視点を受け入れ、お互いの立場に立てているということです。

 

ふたつ目が、「対等性」。全員が対等に発言できる平等な組織であることを意味します。

 

みっつ目が、「一体感」。全員が共感できる共通の目的に向かっており、心が一つになっているということです。

 

注意しておきたいのが、これら3要素の「順番も大切」ということ。例えばひとつ目の「共感性」をスキップしてしまうと、単に序列がなくお互いに不満をぶつけあうだけのチームになってしまうかもしれません。

 


自分のチームの集合知性を採点してみよう

「あなたのコミュニティ(職場、学校、家族など)において、集合知性を発揮する3つの要素はどれくらい入っていますか?」と岩崎先生。

 

0~10までの11段階で評価することが促されました。主観で問題ありませんので、皆さんもぜひ採点してみてください。

 

受講生代表の徳田さんは今働く企業は「共感性:8、対等性:8、一体感:9」とほぼ完ぺきに近い点がつけられると語りました。しかし、タイムラインにリアルタイム受講生から寄せられた回答には、「共感性:5、対等性:9、一体感:4」「共感性:3、対等性:3、一体感:3」など当然ながらばらつきが見られます。

 

 

 

よく「全員が同じ脳の使い方ができるようになれば集合知性が発揮できるんですよね?」と聞かれると岩崎先生。しかし、「それは違う」と語ります。ひとりひとり異なる脳の使い方を生かすからこそ発揮できるのが集合知性です。「個々人の視点を包含しているからこそ、高い次元からのソリューションが生まれる」と岩崎先生は解説しました。

 

ここで、集合知性の発揮には3要素を満たす順番が大切という点に着目した受講生から「職場ではなかなか意図的に順番を守って条件を満たすのが難しそう」という考えのもと「何か良い方法はありますか?」と解決策を尋ねる質問が。

 

そんなときは、「自分と心理的に近い状況にある職場の仲間との「共感性」を高めることから始めるとよい」と先生。自身が起点となって、そこからチームプレイの輪を広げていくのがミソとなるそうです。

 

文=宮田文机

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
『「集合知性」がチームでの成果をつくる鍵』

 

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