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2020.10.05

column

DX時代のマーケターは10年後を見据え、どんなスキルを身につけるべき?

DX時代のマーケターは10年後を見据え、どんなスキルを身につけるべき?

データ活用、DX、AI……。マーケティングの世界は技術の進歩とともに大きな変革期を迎えています。「その流れの速さについていけているだろうか……」と不安を覚えているマーケ―ターのみなさんも少なくないのではないでしょうか。

毎週月曜よる9時から“理想の自分と現実の自分を埋める”というテーマでお送りしているSchooの人気授業シリーズ『Bridge the GAP』。今回のタイトルは『10年後も活躍するマーケターは今なにをすべき? -ユーザー理解を前提としないDXの世界-』です。

講師は、株式会社DATAFLUCTエバンジェリスト、株式会社秤代表、パナソニックD-Locators HUBアドバイザリーメンバーなど複数の肩書を持ち、デジタルマーケティングの現場・事例にさまざまな視点から触れている小川貴史先生。

10年後も活躍するマーケターになるために持つべき視点を本記事で押さえてしておきましょう。

目次

  • データドリブン・マーケティングの3タイプ
  • “顧客理解を前提としない“デジタルトランスフォーメーションとは
  • マーケターが学ぶべき3項目

 

 

データドリブン・マーケティングの3タイプ

 

 

授業で最初に行われた問いかけが「あなたは10年後のマーケティングの変化を見据えてキャリア設計をしていますか?」。

 

リアルタイム受講生の皆さんから「まだ見据えられていません」「1~2年後なら何となく見えているけど……」といったコメントが寄せられます。

 

やはり、10年後について具体的にイメージを持てている方はそう多くない様子。先生も変化の大きい現代において未来予測は難しいと認めつつ、「でも逃げちゃいけない」「将来につながらない時間の使い方はしない」と語ります。

 

未来予測の前段としてまず行われたのが、マーケティングが現在まで歩んできた歴史の振り返り。

 

2010年1月~2020年7月までのGoogle検索トレンドを概観して、マーケティングトレンドはデジタルマーケティングが勃興した「デジタルアド対等期」からオムニチャネル・カスタマージャーニーへの注目が高まった「顧客中心主義期」を経て、現在「デジタルトランスフォーメーション(DX)期」にあると小川先生。

 

 

その3分類を踏まえて、データドリブン・マーケティングを以下の3タイプに分類します。

 

1.トラディショナルなデータドリブン・マーケティング
2.カスタマーセントリックなデジタルトランスフォーメーション
3.顧客理解を前提としないデジタルトランスフォーメーション

 

それぞれについて象徴的な事例が挙げられました。

 

1の事例として挙げられたのが確立思考に基づいたUSJの改革。旧来の調査データ・時系列データをもとに、USJの入場者数を大きく伸ばした戦略が策定されました。

 

2の事例として挙げられたのは中国のECの倉庫でありレストランでもあるスーパーマーケット「フーマーフレッシュ」。この事例についてはこの授業の1週前に開講された『リアルとデジタルが融合する時代、顧客体験はどう変わるか(出演者:藤井保文)』でも取り上げられています。小売りでありながらエンターティメント性も提供する新たな場として構築されたフーマーフレッシュ。その背景には7億人以上のオンライン購買データに裏打ちされたアリババグループのデータドリブンな出店計画があります。

 

そもそもGAFAやアリババグループのような企業はデータが集まるサービスデザインを設けていることに先生は言及します。

 


“顧客理解を前提としない“デジタルトランスフォーメーションとは

新しいマーケティングのあり方として先生が提示する「3.顧客理解を前提としないデジタルトランスフォーメーション」。

 

一体“顧客理解を前提としない”とはどういうことなのでしょうか……?

 

ここで重要な概念として先生が説明するのが「データレイク」です。データレイクとは、データの種類にかかわらずすべてのデータをそのままの形で一元的に保存できる場所のこと。ビッグデータ処理やリアルタイム処理、AI研究分野など様々なシーンで活用できる状態にデータを維持する目的で使われます。

 

現代では、データレイクに蓄えられたデータを観察・パターン化したり機械学習に利用したりすることで、帰納的に打ち手を策定するボトムアップ型のデータ活用アプローチが実現できるようになりました。

 

 

この結果、例えば「全国のサッカースタジアムの最寄り駅前に出店している飲食店チェーン」が過去の試合開催日の天気や過去の試合の勝敗といったデータをもとに来客数を予測し、過不足ない食材調達や最適な人員配置を実現するといったマーケティングが可能になります。

 

ほかにも自然災害などの衛星データから野菜の仕入れ価格を予測するシステムが実現されている例も。

 

このように“顧客理解を前提としない”データドリブンな意思決定で数億円規模の効果が得られることも見込まれています。

 


マーケターが学ぶべき3項目

授業最後のテーマは「10年後のマーケターは何をし、今から何を学ぶべきか」。

 

先生がこれからのマーケターに提案するのが「マーケター(人間)の業務を否定する柔軟性が必要ではないか?」ということです。

 

具体的に必要なこととして挙げられたのが以下の3項目。

 

【1】DX事例収集
【2】分析リテラシー向上(欲を言えば、データエンジニアリング知識も)
【3】IT社会実装の動向把握

 

その中でも【2】の分析リテラシーをもっと世のマーケターは磨くべきだと小川先生。収集したDX事例を使えるもの・使えないものに目利きするためにも分析リテラシーは必要だからです。データから事象を予測・推定することはこれからのマーケターの基礎リテラシーになります。

 

また、例えば音声合成や自動運転、パーソナルデータ活用といったIT社会実装の動向にも常にキャッチアップしていかなければなりません。

 

日本ではパーソナルデータ活用で欧米や中国に追いつくべく、情報銀行プロジェクトやトヨタとNTTによるスマートシティの実現に向けた資本提携などの取り組みが行われています。

 

 

より世の中のデータ活用の重要性が高まる中で、マーケターに対するある種エンジニア的なデータ活用スキルの需要が高まっています。

 

実際の授業では「Amazonがリアル店舗に進出したのはなぜ?」「VUCA時代にどれだけ予測が通用する?」といったリアルタイム受講生の疑問への回答もなされました。気になる方はぜひ実際にご覧になってみてください。
また本授業以外の『Bridge the GAP』の授業も必見です!

 

『Bridge the GAP -あなたのギャップを埋めるビジネス・テクノロジー番組- 第31回 10年後も活躍するマーケターは今なにをすべき? -ユーザー理解を前提としないDXの世界-』http://schoo.jp/class/7238/room

 

文=宮田文机

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