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2021.09.14

Interview

“合理的に家や車を買うことはアインシュタインでもできない”ーー著者:鹿毛康司さんが解説『「心」が分かるとモノが売れる』

“合理的に家や車を買うことはアインシュタインでもできない”ーー著者:鹿毛康司さんが解説『「心」が分かるとモノが売れる』

顧客の「心」に触れるためのノウハウを鹿毛康司さんが解説

目次

  • 人は論理ではなく、「心」で動く
  • 潜在意識を用いたペルソナの考え方
  • インサイトを探るなら自分の心の蓋を開ける

みなさんは愛用している商品や、よく通うお気に入りのお店はありますか?
では、なぜそれらを愛用するようになったのかご存知でしょうか?

今回は「消臭力」のCMを手掛けられた、エステー株式会社宣伝部長の鹿毛康司さんにご登壇いただき、人の心を動かすマーケティングの考え方について教えていただきます。

私たちの消費行動や意思決定は合理的にされていません。では、消費者の何に注目すればビジネスが成功するのでしょうか?早速学んでいきましょう。

鹿毛 康司 先生

かげこうじ事務所代表/マーケター/クリエイティブディレクター

加藤 智行 先生

動画プロデューサー

中田 有香

受講生代表

学びノート

SESSION人は論理ではなく、「心」で動く

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それでは早速ですが、書籍の内容についてお話ししていただきたいと思います。まず「人は論理ではなく、心で動く」ということに関して教えてください。

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世の中には再現性があるようなノウハウ本などがありますが、これらは全体の5%の話に過ぎません。生まれたときからDNAが勝手に作られていますよね。みなさん生まれたときから勝手に眠くなるし、勝手にジェラシーを起こすし、勝手に恋をしたくなるし、これらは全部自分で考えてやっていることではないですよね。では残りの95%は何なのかというと、潜在意識です。

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そうなんですか?

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はい。僕自身も驚きましたが、脳科学者の方に聞きました。これに関する数々の論文がすでに出ているみたいです。なので私たちは合理的に選ぶように意識しているかもしれませんが、その合理的にしたはずの選択も実は合理的ではないことがあります。例えば、家を建てたり車を買ったりするときって、絶対に合理的に選ぼうと思いますよね。

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そうですね。高額のものですし、一度購入したら長期間使いますからね。

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わかります。でも合理的に家や車を買うというのは、アインシュタインでもできないと専門家の方が仰っていました。私たちは必ずどこかで非合理的な選択をしてしまっています。

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そうなんですね。合理的に考えているつもりでも、実は潜在意識で意思決定しているということですね。

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そうです。よくお客様のニーズを考えて商品開発やプロモーションをしても上手くいかないのは、それが原因です。上辺だけでやってしまっているからです。

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例えば僕が中田さんにプロポーズするとしますよね。中田さん、何か欲しいものはありますか?

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え、なんだろう…スマホとかエアコンですかね。

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では僕がスマホやエアコンを買って中田さんにプレゼントしたとします。中田さんは僕のことをどう思いますか?

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優しい人だなと思います。

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そうです。「優しい人」で終わってしまうんです。では「スマホやエアコンがない島に何人かで遊びに行かない?」と言われたら中田さんはどうですか?

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「面白そう、行きたい」と思いますね。

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そうなんです。よっぽど嫌いな人ではない限り、そういう遊びを通してLOVEが生まれる可能性があります。なので、人に聞いて何かを差し上げる、ニーズ対応によってLOVEが生まれるかといえば生まれるわけがありません。

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プライベートではできるのに、仕事となると最もモテない男・女を演じているビジネスマンがいかに多いことか。

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確かにそうですね。どうしてもマーケティングの手法やデータを重視してしまいますよね。恋愛でも、恋愛テクニックを駆使されるとちょっと嫌ですよね。仕事も同じですね。

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その通りです。バレますよね。

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「この人テクニック使ってるな」と気づいてしまうと嫌ですよね。受講生の方から「同僚に『その企画モテませんよ』と伝えるためにはどうしたらいいですか?」とご質問が届いています。

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「やったらどう?どうせモテないけど」と言えばいいのではないでしょうか。痛い目に合わないと分からないと思います。

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やってみて失敗するしかないということですね。

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そうだと思います。僕みたいに。僕自身も40歳まで失敗ばかりしていましたから。

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鹿毛さんも海外でビジネスを学ばれましたが、それでも失敗ばかりだったということですね。

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そうですね。やるべきことはやらなければなりません。例えば柔道をするときに、柔道着を着て受け身をするということはやるべきですよね。ただ、テクニックの部分はその程度だということです。それ以上するには、本人も気が付いていない潜在意識を見つけてそこにボールを投げることが大切です。

SESSION潜在意識を用いたペルソナの考え方

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受講生の方からご質問が来ています。「サプライズが好きという方が多いのですが、その情報収集を相手に気づかれないようにする方法はありますか?」とのことです。

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そもそも本当に相手のことが好きだったら「情報収集」という言葉は出てこないと思います。お客さんのことを「お金を払う人」と認識していると「情報収集」になりますが、例えば僕が本当に中田さんのことを愛していてサプライズするとしたら「情報収集」にはならないですよね。

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なるほど、そうですね。「好きだから知りたい」と思いますね。

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そうですよね。なので「情報収集」をしようと思っている間はサプライズできません。お客さんを好きでいたら、「調査」という言葉も出てきません。お客さんの声を「へ~そうなんだ、なるほどね!」と本気で思って、それを一か月も二か月も、一年も二年も寝かせた後に、脳の中でひらめきが起こります。そこまでやらないと人の心は動かせないと思いますね。

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確かにそうですね。恋愛に例えるとすごくわかりやすいですね。
受講生の方からのコメントです。「好きになると与えたくて与えたくてたまらない人間になります。見返りはそのはるか先で、もしかしたら見返りはないかも…というのがドキドキします」とのことです。

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見返りは絶対にあります。ビジネスの場合はボランティアではないので、お客さんが消臭力を使っていい思いをしなければいけませんし、お金を払っていただかなくてはいけません。ただこれは、対価の交換であり、もっと言えば「ありがとう」の交換です。「ありがとう」の気持ちがなければ詐欺です。

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売上というのは「ありがとう」の総量であると考えた場合、見返りはありますよね。この授業を見てくださっている人も、視聴率も、全てが「ありがとう」の総量です。これには見返りが来ます。見返りだけを考えると詐欺になります。

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なるほど。やはりお客様も人なので、結局ビジネスも人と人との関わり合いなのですね。「お客様を好きになれなかったらどうしたらいいでしょうか?」というご質問が来ていますが、いかがでしょうか?

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好きになる努力をしましょう。その業界の中で好きな人と、どうしても嫌いな人っているじゃないですか。その嫌いな人を、自分の中でお客さんから外しましょう。

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我々プライベート企業は、お客さんを選ぶことができます。逆にお客さんを選べない組織があります。それは政府であり、県であり、市です。行政はお客さんを選ぶことはできません。どんな嫌いな人でも同じサービスを提供しなければなりません。

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しかしプライベート企業はお客さんを選ぶことができます。お客さんを選んで、その人にもっと好きになってもらえることをすればいいです。それでも好きになれないのならその業界から去るべきです。そうでないと自分が不幸になります。

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自分勝手ではなく、「この人に愛してもらいたい」というものをつくる。これはブランドですね。愛してくれる人はどんな人なのか追究する。追究しきったときに見つけられたものがペルソナです。

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なるほど。ペルソナとはそういうふうに考えればいいということですね。

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ペルソナはよく、ある一人の消費者を中心に具体論を出すことが求められますがそれは違います。「自分がどうなりたいか」「どういう人に愛してもらいたいか」ということを想定して考えます。なので、ターゲットではありません。

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また、「こういう人に愛してもらいたい」と力を尽くしているうちに、その人に好かれなくても、その姿を見て他の人に愛される可能性があります。この人たちがターゲットです。

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例えば、僕は元モー娘。の田中れいなさんが好きです。田中れいなさんに好かれるように、努力しますよね。でも、田中れいなさんはアイドルなので、本当に付き合うとかそういう話ではありません。田中れいなさんに好かれるように努力した結果、それを見て違う人が僕のことを好いてくれる。田中れいなさんはターゲットではなくペルソナで、他に僕のことを好いてくれた人がターゲットということです。

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わかりやすいですね。ペルソナはこういう人に好きになってもらいたいという想定したものだったということすね。

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そうです。なのでお客さんを愛せないということは、ペルソナも作れないわけですし、マーケティングもできないわけです。お客さんは愛するしかありません。

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理想のタイプを考えるということですよね。

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そうですね。しかもお客さんは、どうしたらもっと好きになってくれるのか教えてくれますよね。

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面白いですね。受講生の方からご質問が来ています。「もうニーズ対応は辞めます。潜在意識に気づけるかどうかがポイントだと思うのですが、それは好きになりまくることでひらめくものなのでしょうか?それとも何か潜在意識に気づく手法があるのでしょうか?」とのことです。

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手法はあります。ただし再現性のない手法です。それは自分の人間力を使うということです。僕の場合は人間力を磨くのに20年も30年もかかりました。そのきっかけを作るにはこの『「心」が分かるとモノが売れる』(著者:鹿毛康司)ttps://www.amazon.co.jp/dp/4296109553を本当に読んでほしいです。

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せっかく生きてきたわけですから、自分の心を使って自分の心の底にある潜在意識を自分で発見できるようなトレーニングをすることが大切です。

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自分でも自分の心がわかっていません。自分の心がわかるトレーニングして初めて人の心がわかるようになるということです。

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自分のことがわからないと、相手のこともわからないですよね。

SESSIONインサイトを探るなら自分の心の蓋を開ける

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では本の内容に話を戻していきますが、本の中に「心のパンツを脱ぐことでお客様の心が見えてくる」とありました。そこについてご解説いただきたいです。

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はい。基本的に人は自分のことを見たくありません。それはドロドロしているからです。人間は完璧ではなく、弱いしネガティブで汚いものがいっぱいあります。だからこそモノが欲しかったり、レジャー施設に行きたかったりするわけです。つまりポジティブなものを欲しがります。

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自分の心の中が真っ白だったら、何もいりません。どこか病んでいるからモノを欲しがったり、楽しい思いをしたくなります。それが人間の本性ですよね。

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例えば、僕は今こうやってみなさんの前で偉そうにお話ししていますが、ふと一人で明治の板チョコをパクっと食べることがあります。この僕の行動はどういう心理からくるのか、かなり考えました。

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自分の中をどんどん掘り下げていくうちに、本当は僕はすごく弱い男なのに、役員の顔をしなければいけない、著者の顔をしなければならない。そのギャップに悩まされて、子どもの気弱な僕が出てきました。その子どもの僕に大人の僕が「これ食べなさい」とチョコをあげている。そういう構図が浮かんできました。

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そこでこういう安い板チョコの消費者は50代男性が多いのではないかと考えました。お菓子メーカーの方に聞いてみると、やはり消費者の半分は50代男性だそうです。このように掘り下げていくと、インサイトが当たります。

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ただ、本人は気づいていないわけですから、「あなたの中にこういう潜在意識ありません?」と言ってはいけません。怒り出します。なのでインサイトがどれかというのは調査できません。インサイトを探るために、まずは自分の心の蓋を開けてみましょう。ただし注意してほしいのは、自分の心の蓋は一日10分以上開けてはいけません。

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え、せっかく開いたのに!

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蓋を開けすぎると鬱になります。僕はこの本を書いたときに、半年間自分の心の蓋を開けっ放しで過ごしてみましたが体調が悪くなりました。病院に行って薬をもらって、一か月本を書くのを辞めました。

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なので徐々にやってください。よく文豪に自殺者が多いのは、執筆中に心の蓋を開けすぎているからです。それもあって僕はこの本に自分の考える全てを書きませんでした。

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蓋を開けないと分からないけど、開けすぎはよくないということですね。

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はい、ほどほどにしましょう。そして練習しましょう。

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10分以上開けてしまうと鬱になってしまうほどのものと考えると、今まで自分と向き合ったつもりだったことって全然向き合えていないのかもしれないですね。

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向き合っていないと思います。2、3ヵ月ほどかかります。僕は他の場所で若手に教えていますが、なんで教えているのかよく聞かれました。「鹿毛さん出たがりだね」「そんなにお金欲しいの?」「そんなに本売りたいの?」と。

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僕自身もわからなかったので1年くらい考えました。すると、MBA取ったときの鼻高々だった自分に言い聞かせていることがわかりました。だから僕は若手にこんなに一生懸命教えているということが自分でわかりました。自分でもそう簡単にはわからないわけですね。

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少しずつ長い時間をかけて練習をしていくと、自分の心も相手の心もわかるようになります。ぜひ皆さんやってみてください。

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少しずつ自分の潜在意識にアクセスしていきましょう。
鹿毛先生、本日はありがとうこざいました!

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今回ご紹介した書籍はこちらです。ぜひチェックしてみてください。
『「心」が分かるとモノが売れる』(著者:鹿毛康司さん)https://www.amazon.co.jp/dp/4296109553

2021年09月14日 公開

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2021年08月11日 放送分
顧客の「心」に触れるためのノウハウを鹿毛康司さんが解説

顧客の「心」に触れるためのノウハウを鹿毛康司さんが解説

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