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2023.01.20

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考え方や価値観が違っても上手くいく集団、バラバラで終わる集団

考え方や価値観が違っても上手くいく集団、バラバラで終わる集団

チーム力がビジネスで大事なのは、誰もがうなずくところでしょう。しかし、立場も能力も違う人々が共同作業するのは、本来簡単なことではありません。そこで学びたいのが、協働的思考「コレクティブ・インパクト」。2011年に米スタンフォード大学で生まれた概念です。

地域・企業・行政など多様な社会課題解決型事業を行う株式会社エンパブリック代表の広石拓司さんにコレクティブ・インパクト思考と、考え方の異なる人と協働するためのマインドセットについて伺いました。

※この記事はSchooの授業『協働的思考「コレクティブ・インパクト」-立場を超えて未来をつくる協働の方法』を再編集しています。

目次

  • 「苦手が多い人」が成功する
  • 「同じであってほしい」という期待を捨てる
  • 「目的志向」の集団は強い

「苦手が多い人」が成功する

皆さんは、起業家として成功するのは以下のどちらのタイプの人だと思いますか?

A)一人で何でもできてしまう人

 

B)思いはあるけど、できないことが多い人

・事業計画を書いたことがない

・熱く語るが、まとまっていない

・世界に発信したいが、webの技術がない

 

私は数多くの起業家の支援に携わってきましたが、実は、企業後3~5年経過してみると後者の人の事業が成長している場合も多いのです。

 

それはなぜなのでしょうか? ひとりで何でもできる人は、裏を返せば何でも一人でやってしまいがちということです。そうすると事業は自分一人で完結しがち。一方、できないことや苦手なことが多い人は、ほかの人の助けを借りる必要があります。

 

 

新しい仕事は、関係性から生まれます。事業を始めるとなるとお金(money capital)が最優先のように考えてしまいますが、実はそれ以上に必要になるのが社会関係資本(social capital)です。 社会関係資本とは、企業・行政、地域内外の仲間、協働パートナー、顧客、ともに働く仲間など、さまざまな形で存在するものです。

 

みなさんは「ちっぽけな自分は、社会を変えるようなことはできない」と考えてはいませんか?実際はそうではなく「自分にできること」をしている人が、ともに関係し合った結果、社会を変えるような効果が生まれているのです。そして、そのためにカギとなるのが、「コレクティブ・インパクト」なのです。

 

 

 

「同じであってほしい」という期待を捨てる

「そうはいっても人間関係は難しい」と感じている方も多いでしょう。実際、人が集まれば考えの食い違いや争い、“船頭多くして船山に上る”ような事態が起こる可能性は生じます。

 

人が他者に対して怒るのはどんなときなのか考えてみましょう。

 

・あのときこう言っただろう

・約束したのと違うだろう

・普通、そうはしないだろう

 

こうしたとき、気持ちは「自分の前提との違い」に向いています。

 

すなわち、「相手も同じであってほしい」という期待です。 同じコップの水を見ても「水が3割しか入っていない」と感じる人もいれば、「水が3割も入っている」と捉える人もいます。経験、期待、理想(文脈)の違いによって、同じものを見ても違った意見・認識が生まれるということです。

 

自分(たち)とは異なった文脈を持つ人を社会学ではStranger(ストレンジャー)と呼びます。

 

もちろん、同じ集団で長く一緒に過ごしてきた人は文脈の共有度が高く、分かり合える可能性も高いです。話が通じ、心地よく過ごせるでしょう。しかし、「似たもの同士」が集まるだけでは、組織は同質化し、化学反応が起きづらく、イノベーションは期待できません。人は自分の手の届く(=理解できる)情報を選びがちで、そんな時ほど間違いに気付けないものです。

 

だからこそ、ストレンジャー同士の協働が物事を良くしていくために不可欠です。協働を促進するための大前提は、「みんな違う人」だと認めること。 「一つの思いで動く」「わかってもらえる」といった理想の実現は基本的には無理と割り切り、かといって各々が勝手気ままにバラバラに行動するのではなくともに働けている──これが“コレクティブ(Collective)に協働できている”状態なのです。

 

 

「目的志向」の集団は強い

経験や背景がバラバラな人が、一つの組織やコミュニティで協働できているのは、同じ方向を向いているときです。 そのような状態を「目的志向」といいます。

 

人が他者の様子や感情を気にしている「関係志向」と対比される関係でもあります。 ライバル意識を持ち、他者と争ってしまうのも、関係志向の考え方にとらわれているから。「相手も同じ目的を共有している」と考え方を変えれば、ライバルも仲間になるのです。

 

ここで改めてコレクティブ(Collective)という言葉の意味を考えてみましょう。コレクティブはコレクション(Collection)の形容詞系。コレクションには、以下のような特徴があります。

 

・複数の種類が集まっている

・共通テーマがある

・全部同じではつまらない

 

コレクティブとは、個々で違うものが共通のテーマを持って集められた状態であり、それぞれ個性を持ちながら、全体としても意味が生まれます。コレクションが充実すればその価値が高まるように、コレクティブなチームもパワーを発揮します。

 

コレクティブ・インパクトはまた、Individual(自立・自律)だけど、isolated(孤立)ではない関係性とも言い換えられます。 ぜひ、今日からの仕事や社会活動で考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
協働的思考「コレクティブ・インパクト」-立場を超えて未来をつくる協働の方法

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