目次
- 「ビッグデータ」を定義づける3つの要素
- メリットは、解像度の高いデータが得られること
- 「ビッグデータ」を活用して見えること
2022.03.08
皆さんは「ビッグデータ」という言葉から何を思い浮かべますか? 日々、めまぐるしいスピードで生み出されるビジネス用語の中で「名前は知っているけど、具体的にはわからない」といったものは少なくないはず、「ビッグデータ」もその1つではないでしょうか。
『今さら聞けない「ビッグデータ」とは何か-基本から「明日から始める活用法」まで-』は、「ビッグデータって何?」といった部分から具体的な活用方法までを学ぶ授業です。講師を務めるのは、博報堂生活総合研究所・上席研究員の酒井崇匡先生。
これまでさまざまなビッグデータを活用し分析してきた酒井先生の解説は、「ビッグデータは知っているけど説明や活用はできない」と感じる人にこそおすすめです。
そんな「ビッグデータ」は、データ分析においてどんなメリットをもたらすのでしょうか。先生は以下の3つを挙げます。
「多量」からもたらされるのは、「細部がクリアになる」というメリット。具体的には、いままで10代、20代と年代別で表していた部分を、19歳、20歳、21歳と年齢別で細かく表せられるようになるとのこと。
また「視点が立体的になる」には、多角的に情報分析が可能になる、「動きが滑らかになる」には、更新頻度があがることでいままで気付くことができなかった動きを捉えられるようになるといった意味が含まれているそうです。
先生は「こうしたメリットによって、従来よりも解像度の高いデータが取得できる」と語ります。
授業中盤からは、ビッグデータの活用で見えることについて、具体例を用いながら触れられます。酒井先生は、受講生にこんな問いを出しました。
上のスライドは、20代女性が使用するアプリについてデータを集め、東京版と東北版に分けてランキング化したものが載っています。一見、どちらも大きな違いはないように思えますが、先生は「あるアプリの使用率が、東京版と東北版の違いを如実に表している」と語ります。
また他にも、以下のような問いが出題されました。
これらはすべてビッグデータを活用して導き出されたものであり、分析をしていくと現代日本の情報収集する際の特徴や、他国とのSNS発信目的の違いなどが見えてくるのだそう。紹介した3つの問いの正解は? また分析した結果から見えることとは?答えは実際の授業で確かめてみてください。
授業後半では、実際にビッグデータを取得できるツールとその活用方法が紹介されます。無償のツールもあるので、ぜひこれを機会に活用してみましょう!
文=トヤカン
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授業の冒頭で触れられたのは、ビジネスに活用されるデータの種類について。1981年に発足され、酒井先生が所属する生活総合研究所では、「LONG Data」と「THICK Data」の2種類をデータ分析の柱として活用してきたそうです。
「LONG Data」とは、名前の通り長期時系列で集められたもの。具体例としては国勢調査で得られたデータがこれに当てはまり、情報量が多いのが特徴です。一方「THICK Data」は、観察調査や訪問調査で取れるデータで、「LONG Data」よりも中身が濃く、重層的な点が特徴とのこと。
そして近年、さまざまなビジネスに浸透し始めたのが「ビッグデータ」です。酒井先生曰く、「このデータは『Volume(多量)』『Variety(多様)』『Velocity(多更新)』の3つの要素を兼ね備えている」とのこと。
ここで疑問なのが、国勢調査や訪問調査が「ビッグデータ」に当てはまらない理由。先生は、以下のように説明します。
「国勢調査は全国民を対象に行うため『多量』の要素は満たします。ただ情報内容は画一的で、更新頻度も5年に1回なので『多様』や『多更新』には当てはまりません。また、訪問調査も重層感のあるデータが得られるので『多様』ではあるものの、調査頻度や対象者の数が少ないため、ビッグデータとは言えないんです」
ちなみにTwitterは情報量が多く、内容も多角的で、多くの利用者によって常に更新されているため、ビッグデータの1つとなるのだそう。