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2022.08.31

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投資を「自動化」。 Python(パイソン)を使った投資術

投資を「自動化」。 Python(パイソン)を使った投資術

投資にもプログラミングにも興味がある、という方は多いのではないでしょうか。
近年では投資にも機械学習・データ分析を取り入れる傾向が強くなってきており、そのふたつを同時に学んでおいて損はありません。

ブログ『Investment Tech Hack』で投資とプログラミングについての情報を発信しているトレーダーの髙橋雄也氏がPythonを用いて仮説を立て、相場を読むための力やデータ分析のためのプログラミングの始め方について解説します。

※この記事は「Pythonで投資シミュレーション」を再編集しています。

Python×投資の成果物とは?

成果物の一例が以下のスライドです。

 

 

上から順にProfit、DrawDown、LongShot、Symbolsと並んでいます。

 

順に投資の損益、保有資産の下落率、ロング・ポジション(買い建て)とショート・ポジション(売り建て)の取引、銘柄の取引を意味します。

 

これらの指標を、Pythonを使ってわかりやすく可視化しているというわけです。 また、以下のような値動きのグラフもPythonによって構築されたものです。

 

 

そもそもなぜPythonか

なぜ、数あるプログラミング言語からPythonを利用するのでしょうか。 その理由は「流行」「導入コストが安い」「応用が利く」「自由」の4つからです。

 

 

AIや機械学習、ディープラ―ニングと親和性の高いPythonは現在大きく注目を集め、そのユーザー数を日に日に増加しています。

 

『Python ユーザー数』で検索するとそのことは一目瞭然。 また、Google Colaboratoryなど無料のツールが充実しており、さらにInstagramの構築に利用されているようにできることはさまざまです。

 

何かと制限がかかりがちな既存のツールに対し、制限のないPythonは自由度が高いのです。

 

 

 

投資のロジック「ドンチアン・トレンドシステム」

投資において最も大切なポイントとはなんでしょうか。

 

それは、「ロジック」と「資金管理」です。 「ロジック」は投資におけてある根拠に基づいた自分のスタイルのこと。

 

「資金管理」はリスクを管理することとも言い換えられます。 世間的に投資というと「勝率」や「値上がりする銘柄の見分け方」など、ロジック重視の意見が上がりがちですが、資金管理も同様に重要になるのです。

 

そして、実際の仮説・検証を行う上で参考するのは、巨額の運用実績を誇るトレーダー集団タートルズが2006年時点で勝てていた手法を紹介する書籍『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』で紹介されていた以下の6つのロジック。

 

 

 

・ATR CBO(1年間の平均利益率:49.5%)

・ボリンジャーCBO(1年間の平均利益率:51.8%)

・ドンチアン・トレンドシステム(1年間の平均利益率:29.4%)

・時限付ドンチアン(1年間の平均利益率:57.2%) ・ダブル移動平均(1年間の平均利益率:57.8%)

・トリプル移動平均(1年間の平均利益率:48.1%)

 

書籍には、最も1年間の平均利益率が低いドンチアン・トレンドシステムであっても10年で約13倍になるとあり、その効果の高さがうかがえます。

 

「それほど有効なロジックであれば、その後も利益が上がるのではないか」という仮説を立てることができます。

 

 

その仮説に基づいて「ドンチアン・トレンドシステムの2007年1月以降の損益」を検証できます。

 

 

ドンチアン・トレンドシステムで重要な要素となるのは以下の2要素。

 

・市場:何を買い、何を売るか

・取引量:金額ベースのリスク調整、アカウントの調整

 

 

市場ですが、対象となるのは貴金属、燃料、農畜産物などの27銘柄。それらを安く買って高く売ることで利益を得ることになります。

 

「金額ベースのリスク調整」におけるリスクとは、投資金を失うリスクのこと。ドンチアン・トレンドシステムではエントリー時にリスクを何%にするかを決めて投資します。

 

こうすることでリスクは、ある金融商品にいくら投資するかを決めるための指標となります。 なお、リスクとは、以下のローソク足におけるAとDの間の幅のことを指します。

 

 

また、アカウントとは元手となる金額のこと。ドンチアン・トレンドシステムではドローダウンの幅を2倍に換算することで最大でも損失が50%程度に収まるようにリスク調整をすることができます。

 

 

投資参入・決済のロジック

ドンチアン・トレンドシステムでは参入と決済のそれぞれにもロジックが設定されています。

 

・参入:シグナルによるエントリー、追加エントリー

・決済:損切り、利益確定

 

 

こちらについては「EMA25>EMA350、High>Highest20」など細かい条件を設定し、実際の値動きのグラフをつくることが可能です。

 

 

まずは、土台となる「Python」や「投資」の知識を頭に入れつつ、実際に分析を始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
Pythonで投資シミュレーション

 

 

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