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2020.06.24

interview

“アイディアを生み出すことは、新しいことを考えることではない”ーー元任天堂デザイナー、前田高志さんのアイディア創出法

“アイディアを生み出すことは、新しいことを考えることではない”ーー元任天堂デザイナー、前田高志さんのアイディア創出法

前田高志さんの「いまこそ読みたい書籍」

目次

  • 著書:「考具」はアイディアの出し方のベストアルバム
  • オンラインにでしかできないことを考える。アフターコロナにおける「アイディア合戦」とは
  • 求められているアイディアは突拍子もないものではなく「効果のある」もの
社会が目まぐるしく変化する昨今、そのスピードはより一層増していくばかり。そんなモノと情報にあふれた世の中で、さらに「今、現実にないものを新しく生み出す」ためにはどうしたら良いのか。

今回は任天堂企画部出身で、現在は株式会社NASUを設立しご活躍する前田高志先生にご登壇いただき、先生のアイディアの出し方の参考となる一冊の本を紹介していただきます。

前田さんがアイディアを生み出し続けられる理由は何なのか?「今だからこそアイディアが大事」とはどういうことなのか?その真意に迫ります。

前田 高志 先生

株式会社NASU 代表取締役/前田デザイン室主宰/デザイナー

花海 志帆

受講生代表

学びノート

SESSION著書:「考具」はアイディアの出し方のベストアルバム

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本日は前田先生の「いまこそ読みたい書籍」を教えていただきたいと思います。

では、よろしくお願いします。

2903

はい。

僕は任天堂企画部で15年間働いていて、その後独立してフリーランスのデザイナーとして活動。

2018年に株式会社NASUを設立し、「前田デザイン室」コミュニティーでも活動しています。

このように企画とアイディアとともに生きてきました。それが僕の武器だと思います。

それを支えてくれたのが今回ご紹介する本、『考具』です。2003年に初版が出されました。

23

2003年ということは今2020年なので17年前のものですね。

2903

はい。私が読んだのも17年前で、当時も売れていたのですが今でも売れています。

当時私が新卒2年目くらいのときでしたね。

2903

この本は何かというと、アイディアの出し方のベストアルバムみたいなものです。

著者である博報堂の加藤昌治さんは新人の頃、「アイディア欠乏症」というくらいアイディアの出し方に悩んでいました。

そこで加藤さんは「アイディア」という名のつく本は全てという程までに読み漁ったんです。

2903

これは自身の経験を元に、数々の名著から仕事に必要なツール(考える道具)を抽出してくれている本なんです。

だからベストアルバムみたいな本なんですよ。

アイディアの出し方なんて、会社に入って教えてもらえないじゃないですか。

学校でも教えてもらえないし。それを教えてくれるのがこの『考具』です。

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ここまでお話を聞いていると、遊び心あふれるデザインを世の中に生みだし続けてきた前田さんがなぜこの本を選んだのか不思議で仕方ないです。

2903

正直アイディアでそんなに苦労したことはないんですよ。

23

うらやましい(笑)

2903

例えば、小学生のころ「今、全校集会をしているところに飛んで行ったらどうなるか」とか、そういうことばかり考えていました。

そのまま大人になった感じなんで、妄想や発想するのが好きだったおかげか、苦労をしたことはないですね。

2903

でもデザインで悩んだことはありまして、任天堂2年目のころですね。

浮かぶアイディアがいいときと悪いときとのムラがあったんです。アイディアを生み出すにはすごく時間がかかるし、もがいていた時期があったんです。

そんなときにこの本の著者、加藤さんと一緒でデザインのいろんな本を読んだんです。

その中で、この本と出会いました。

2903

今回Schooさんにお話をいただいて本を選ぶときに、この『考具』って1回しか読んでいないなと思ったんです。

1回しか読んでいないけど、この本の内容はすごく自分がアイディアを生みだすときの参考になっていたんです。

僕はあまりにも当たり前に『考具』を使っていることに気が付いたんです。

もうだから読み直さなくていいんです。

知識だけ入れてしまえば、もう明日から使える、そういう本です。

SESSIONオンラインにでしかできないことを考える。アフターコロナにおける「アイディア合戦」とは

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では、なぜ今この本を読むのか、教えていただければと思います。

2903

これからアフターコロナの時代が来ますよね。

今までの常識がガラッと変わって、今後は通用しなくなります。

もうすでに新しいことを始めている人がいますよね。例えば劇団の人たちがZoomを使って劇をしたり。

そういう、より柔軟な発想を数多くできるかというアイディア合戦が今、始まっています。

だからアイディアが今、必要だと思います。

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たしかに、今朝の情報番組でリモートで漫才をする人たちを見かけました。

あれは新しいですよね。映像だけではなくて、写真を使ったりとか。

2903

そうですね。

ただオンラインにするというだけでは、いい企画にならないと思います。オンラインだからこそできることを考えていくといいですね。

ポカリスエットのCMとかも全部家で撮ったりしているじゃないですか。

オンラインだからこそできる表現というのは良いと思います。

2903

それともう一つありまして、デザインのコモディティ化です。

圧倒的にデザインが平均的に良くなってきているんです。

今ってあらゆるところにいいものがあって、デザインが良くなってきていると思います。

デザインの進化ですね。

2903

それとテクノロジーの進化です。

手書きでロゴを作ったらきれいにしてくれる技術が発表されましたよね。

そうすると何で差を出していくか、どこで差を出していくのかというのが課題になってきます。

それによって問題に対する考え方の質を上げていき、アイディアの総量を増やしていくことがアウトプットの効果に繋がっていくんですよ。

23

なるほど、ありがとうございます!

SESSION求められているアイディアは突拍子もないものではなく「効果のある」もの

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この本はアイディアを出すハウツー本かと思うのですが、先生はどのようなところに影響を受けましたか?

2903

「アイディアは新しいものじゃなくていい」と価値観を変えてくれたというところと、アイディアの出す具体的な考え方に影響を受けました。

そもそも仕事をする上で、いいアイディアを出そうと思っていないんですよ。

「いいアイディア」というのは突拍子もないアイディアを求めているわけではなくて、効果があるものを求めているんです。

2903

なので、見たことがあっても効果があって機能すればいいんです。

みんな新しいアイディアとか突拍子もないアイディアとか求めがちなんですけど、実は違っていて、一番機能するアイディアがいいアイディアだと思います。

2903

問題を解決するためのアイディアなら、別に面白いアイディアでなくてもいいし、壮大なアイディアではなくてもいいですよね。

アイディアを出すことが目的になってはいけないと思います。

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確かに。どうしてもアイディアを出すことが目的になってしまいますよね。

2903

僕が尊敬するアートディレクターさんで大貫卓也さんという方がいらっしゃるのですが、この人が仕事の中で出しているアイディアって、普通なんですよ。

直球で誰でも思いつくようなものです。

もちろん、たくさんのアイデアからそこにたどり着いたんだと思います。

でも、それを誰にも真似できないくらいのクオリティーで作るんです。

2903

大貫卓也さんは1980年代にカップヌードルのCMを作られました。

「hungry?」と聞かれて原始人はワーッと出てくるCMですね。

23

なつかしい!

2903

あれも「お腹が空いている人にはこれでしょ」と言っているだけなんです。

別に突拍子なアイディアじゃないじゃないですか。

面白いアイディアを出すために考えたのではなく、「カップラーメンをいかに食べたくなるか」ということを考えた結果出てきたアイディアだと思うんです。

目的は見失わないようにした方がいいですね。

2903

既存の要素があっても効果があるなら、それはアイディアなんです。

まさしくこれが、アイディアの考え方なんです。

アイディアとは新しさのプレッシャーからの解放とも言えます。

少しだけ新しくしても新しいんです。

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なるほど、そうなんですね。

そう考えるとアイディアが思いつきそうですね!

前田先生、本日はありがとうございました!

23

今回ご紹介した書籍はこちら!ぜひチェックしてみてくださいね!

『考具』加藤昌治
https://www.amazon.co.jp/dp/B06W9JGBCR/

2020年06月24日 公開

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2020年05月28日 放送分
前田高志さんの「いまこそ読みたい書籍」

前田高志さんの「いまこそ読みたい書籍」

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