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2021.10.14

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元米マイクロソフト本社パワポ責任者が教える「科学的に正しい資料の作り方」

元米マイクロソフト本社パワポ責任者が教える「科学的に正しい資料の作り方」

営業資料、マーケティング資料など、社会人によって資料作成の能力は必須スキルといっても過言ではありません。

はたして、みなさんの資料作りは“科学的に正しい”方法で制作されているでしょうか?

株式会社クロスリバー社長・株式会社キャスター事業責任者で、これまで1万人以上に資料作成術をレクチャーしてきた越川慎司先生は、ヒアリング調査やAIによる分析を用いて伝わる資料の作り方を分析し、『科学的に正しいずるい資料作成術』を著しました。米マイクロソフト本社でパワポなどの責任者としても活躍していた越川先生の知見は、あなたの資料の作り方をがらりと変えてくれるはずです。

授業の前半である今回は、「わかりやすいスライド」とは何かのレクチャーや伝わる資料と伝わらない資料の比較など基礎的な内容となっています。

目次

  • きれいなパワポ資料を目指してはいけない
  • AIが導き出した分かりやすいスライドの条件は○○
  • 伝わるスライド・伝わらないスライドの違いとは

 

 

きれいなパワポ資料を目指してはいけない

 

 

「授業の最初に今日のゴールを決めましょう」と先生。そこで、提示されたのが「きれいなパワポ資料を目指してはいけない」というポイントです。「時間をかけて丁寧に資料を作れば成果が上がるわけではないことが、AIの分析によりわかってきた」と越川先生は説明します。そのため、ムダなことをせず最短ルートで必要十分な品質の資料を作成することが重要なのです。

 

そうして提示された資料作成の目的が“相手と共鳴し思い通りの行動をさせること”。「相手が主役」というのがポイントです。ついつい「伝える」と自分を主役にしてしまいがちなマインドセットから刷新していきましょう。

 

 

 

越川先生が過去4年間にわたって、決裁権のある意思決定者826名をヒアリングとAI分析によって導き出したのが「説明後に人が動いたのは『情報を伝えたから』ではなく『相手の知りたいことが伝わったから』だ」ということです。要するに、一方通行に自分が伝えたい情報を盛り込むのではなく、相手が知りたい情報を適切に提供するのが科学的に正しいパワポ資料作成の基本なのです。 これを大川先生は「『伝える』のではなく『伝わる』を目指す」と一言で表現します。

 


AIが導き出した分かりやすいスライドの条件は○○

では実際に「伝わる」資料を作るのはどうすればよいのでしょうか。 ここで先生がテーマとするのが「『わかりやすいスライド』とは何か」です。リアルタイム受講生の意見を募ったところ、タイムライン上には以下のようなコメントが並びました。

 

・誰が見ても違った意味にとられない
・ゴールがわかるもの
・具体的に内容がわかる
・グラフ・絵など一目見て理解できる
・要点が整理されている

 

AIが導き出した定義は「相手を疲れさせないこと」。では、どうすれば疲れさせない資料を作れるのかというと、「具体的には目です、目」と先生。人間は視覚から情報を6~7割取得します。そして調査によると78%の意思決定者は見始めてから10秒でそれが「わかりやすいスライド」かを判定するということです。

 

判定基準は「この情報を持っているか」と「記憶した方がよいか」の2つ。要するに、その2つの判定が10秒以内にできる資料が「わかりやすい」資料だといえるのです。

 

 

 

ここから話は具体論に移ります。

 

わかりやすい資料をつくるための重要なポイントの一つが相手の立場。経営者、役員、部長など、相手の立場によって決定方法や大事にする価値基準は異なるからです。例えば相手が経営者の場合、意外にも最終的な決定は感情(相手からどれだけの熱意が感じられたか、自身の心が揺さぶられたか)によって行われやすいです。

 

しかし、「数字」を見るのが大好きなのも経営者。ここで越川先生が使うのが「1・3・5・7」という数字です。奇数を見るとアンカリング効果というバイアスが発生し、経営者は動きやすくなることが分かっているということです。「競合分析」を好むのも経営者の特徴。これは、提案を受ける側の競合との比較です。「競合に~という理由で勝てます」という説明の効果は高いでしょう。ただし、高齢の方が多い経営者には情報量が少ない資料を提供することも重要とのことです。

 

 

 

このように相手に合わせて戦術を考えることが重要だと越川先生はおすすめします。戦術策定の際には「パソコンは使わない方が良い」と先生。先生がプレゼンをレクチャーした担当者の成果を調査したところ、手書きで準備をした場合に、パソコンと比べて2割の時間が削減できたという結果があるそうです。

 


伝わるスライド・伝わらないスライドの違いとは

どの属性の方にも共通する資料作りの大原則が「情報量が多いスライドは疲れる」ということ。

 

越川先生がお客様から許可を得て公開する“日本企業にありがちな資料”が以下の画像です。

 

 

 

「ここで何が記憶に残りましたか?」と先生。リアルタイム受講生の回答はタイトルやピクトグラム、一部のフレーズ、枠など資料の本質にかかわらない部分ばかりです。中には「何も頭に残らなかった……」という人も。

 

このスライドの問題点として先生から「なるべく少なく収めるべきアイコンをたくさん使ってしまっていること」「パワポの初期設定である原色・高彩度の色を使用する設定をそのまま使ってしまっていること」「情報の配置が間違っていること」などが挙げられました。この1枚のスライドの作成には1時間半の時間が費やされているとのことです。

 

続いて提示されたのが、先生が同じ資料を5分半で作り直した以下のスライドです。

 

 

 

このスライドで皆さんの頭に残ったのは「タイトル」あるいは「握手のマーク」じゃないかと先生。リアルタイム受講生のみなさんもその予測通りの反応を示しました。これが「越川マジックです」と先生。

 

人の視線は左上から右下へ一直線に降りる対角線上の動きで資料の上を動きます。そのため、対角線上でぶつかるところにアイコンを配しておけば、かなり高い確率で目に留まることが期待できるのです。「目線がアイコンで止まると人はその右の文字を読むんです」と先生。

 

そこで興味を抱けば、さらにその下の「工場・事業場~サポート」の内容も読み込まれることになり、「※詳細は補足資料①」へという情報に行きつきます。この資料にすることで78%の人がわざわざ補足資料をめくってくれた」というデータがあります。

 

これが、「相手を動かす」伝わる資料なのです。

 

これで、今回紹介する授業のポイントは以上です。実際の授業動画ではより具体的にスライドに書ける文字数の上限やフォントについてのレクチャーも行われています。ぜひ、より資料の内容に踏み込んだ後編の動画と合わせてごらんになってみてください!

 

文=宮田文机

 

今回取り上げたSchooの授業はこちら!
『科学的に証明されているズルイ資料作成のポイント 第1回 科学的に証明されているズルイ資料作成のポイント(前編)』

 

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