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2020.07.14

interview

“インプットの97%は意味がない。アウトプット前提で3つだけ覚える” あのベストセラーを著者が解説

“インプットの97%は意味がない。アウトプット前提で3つだけ覚える” あのベストセラーを著者が解説

『学び効率が最大化するインプット大全』著者:樺沢紫苑さん

目次

  • 普段行っているインプットの97%は意味がない?
  • アウトプットできた量=インプット量|全ての学びはアウトプット前提で
  • 持ち帰るのは3つでいい|インプットのコツは「欲張らない」
  • 観察力はアウトプットして初めて磨かれる
  • 映画の醍醐味は観終わった後のアウトプット
  • 自分が必要な情報だけをインプットする
読書・勉強、記憶、情報収集など……
限られた時間で、良質な学びを手に入れる。

日々大量の情報をインプットしているのに、
・得た情報を活用できていない
・読んだ本の内容が思い出せない
・仕事や実生活に変化が起こらない
そんな方は多いのではないでしょうか。



そこで今回は、毎日累計40万人以上に情報発信する
「日本一アウトプットをしている精神科医」である著者の
“最短時間で最大効率のインプット術"を紹介します。

樺沢 紫苑 先生

精神科医、作家、映画評論家

加藤 智行 先生

動画プロデューサー

花海 志帆

受講生代表

学びノート

SESSION普段行っているインプットの97%は意味がない?

23

早速なのですが先生、インプットの定義をどのようにお考えですか?

2815

インプットの定義は「見る」「読む」「聞く」
アウトプットの定義は「話す」「書く」「行動する」と考えています。

23

なるほど。ちなみに本の中で普通の人のインプットは97%が無駄だと書かれていましたが、これはどういうことなのでしょうか?

2815

これは面白いんですけど、みなさんここ1週間ネットで見たニュースや記事や動画のタイトルを書き出してみてください。どれくらい思い出せますか?これまで1000人以上に同じ質問をしてきたんですけど、平均3.9個、つまり3,4個しか思い出せないんですね。

23

僕も3個くらいしか思い出せなかったです。

2815

7個以上思い出せる人は全体の5%しかいないんです。

23

タイムラインでもほとんどいらっしゃいませんね、多くて5,6個でしょうか。

2815

1週間で100個の情報をみていたとしたら、大体3個くらいしか覚えていないと97%は忘れてるってことになりますよね。これを私は「ザル見」「ザル読み」「ザル聞き」と呼んでいます。

2815

私たちは1日、1~2時間、少なくとも30分はネットの情報をみているはずですが、ほとんど覚えていないんです。たった1週間で覚えていないってことは、1ヶ月するともっと忘れる訳です。

2815

なんとなく分かったような気持ちになったり、なんとなく楽しいなっていう時間潰しにはなりますけど、それを知ることによって頭が良くなったり人生や仕事に役立つということは限りなく難しいです。

23

確かにインプットした気になってるだけですね。

2815

それを「どうやったら身に付くように、記憶に残せますか」ということを書いたのが『学び効率が最大化するインプット大全』で、そのいくつかの方法を今日の最後にご紹介いたします。

SESSIONアウトプットできた量=インプット量|全ての学びはアウトプット前提で

23

質問が届いています!「「ザル読み」というのは速読のことでしょうか?それともタイトルだけサッと見ているということでしょうか?」とのことです。

2815

例えば私の本を読んだとして「どこが良かったですか?一番良かったところを教えてください」と聞いても無言になっちゃう人がいるんです。

2815

私のインプットのもう一つの定義は「アウトプットできた量=インプット量」ということです。みなさんが読んだ本について「その本で学んだことについて好きなだけ語ってください」といって、30分延々と語れる人は素晴らしいのですが、これができる人は相当少ないと思います。ほとんどの人は3分話せたらいい方だと思います。

2815

アウトプット出来ないということは、まず記憶として曖昧だということです。つまり、言葉で言えないということは実行することも出来ない訳です。

2815

本を読む際は速読でも2時間かけて良いんですけど、友達にその本の内容を説明出来なければダメです。私は「深読」、深く読むということを大事にしてるんですが、読んだ本の内容を、10~15分くらい他の人に話せるとOKかなと思います。。3分とかじゃ全然ダメです。これがいわゆる「ザル読み」です。

2815

2時間かけて読んでいるのに3分しか話せなかったら、どれだけの時間をロスしているのかっていう話ですよね。

23

確かにそうですね。アウトプット前提でインプットするっていうのが何より大事なんですね。

2815

その通りです。インプットにおいて最も大事なことが、アウトプット前提という考え方ですね。例えば「海外視察に行って、その結果を発表してね」と言われた場合、写真をちゃんと撮っておかないといけないし、資料を集めておかないといけないし、インタビューを録音したり動画も回しておいたりすると思います。

2815

あとで発表しないといけないから一生懸命インプットしようと思うのが、アウトプット前提の考え方ですね。

2815

他にも、ブログに書こうと思って本読むのと、ただなんとなく読んでるのとでは全く読みの深さが違ってきます。アウトプット前提を意識するだけでインプット効率は10倍くらいよくなると思います。2週間に3回アウトプットすると記憶として定着するので、友達に話したり感想をまとめたりする。そうすると記憶にバッチリ残ります。

2815

慣れてくるとアウトプット前提でインプットするだけで、「頭の中でアウトプットする」ような形になります。要するにメルマガでこう書こうという文章が、本読み終わると同時に出来上がるんです。

23

それは効率的ですね。

2815

そこまでいくとあとは書くか書かないかだけで、頭の中の作業としてはほぼアウトプットしたのと同じような働きをしています。本当のアウトプット前提が身に付くと、そうじゃない人と10倍くらい差が出てくると思います。

SESSION持ち帰るのは3つでいい|インプットのコツは「欲張らない」

23

セミナーや講演会、本などから出来るだけ多くのことを学ぶときの、インプットのコツをご紹介いただけますか?

2815

私がオススメしているのは、「気づきもしくはTo Doを3つ書きましょう」という方法です。

2815

どういうことかというと、皆さんお金を払って受講しているので、たくさんのことを学びたくなってしまうんですよ。ですが、欲張れば欲張るほど得られるものが無くなってくるという矛盾があるんです。

2815

人間は大体一度に3つの事しか考えられないというのがわかっていて、普通の人は同時の案件が3つを超えるとパニックになってきます。逆に3つまでだったら覚えていられるので、今日聞いた話の中でこの3つは良い話だったなってとどめておくと効率よく学べます。

2815

本を読んだときも同じで、とりあえずその本の中から3つ気づきを抽出すれば良いです。「それだと少ない」っていう人がいるんですが、大事なことは3つ抽出して、アウトプットして行動に移すこと。

2815

「身についたな」と思ったら次の3つをもう1回読み直したりして見つければ良いんです。「3+3+3+3...」で何回でも学ぶことができます。一度に10個学ぼうとする人は1つも学べないんです。欲張らないというのがとても重要です。

23

3つはどうやって選んだら良いのでしょうか?気になる3つで良いんですか?

2815

はい、気になる3つで良いです。皆さんノートとかとっていると思うんですけど、その中から今日の気づきベスト3を書けば良いです。それをやるだけで大事なとことそうじゃないとこの、グラデーションが出来ます。

2815

ノートはたくさんとればとるほど、内容が薄くなっていってしまいます。なので大事なところをしっかり選んで、そこを覚えようと思うことが大事です。とにかくたくさんの情報に晒されていて、たくさんの情報を入れようとすればするほど脳はパンクしてしまうので、まずはグラデーションをつけるところからです。

23

なるほど!とにかく欲張らないようにするんですね。

SESSION観察力はアウトプットして初めて磨かれる

3230

普段「学ぼう」「インプットしよう」という考えを前提にして生活を送っていないのですが、観察力を磨く方法はあるのでしょうか?

2815

アウトプットすることですね。アウトプットすることを前提にして物事を見ることが観察力を磨く方法です。私はその日の出来事を必ずメルマガに書くので、常にネタになりそうなものを探しています。「面白い!」と思うことがあったらすぐにメモしています。

3230

なるほど。例えば道をただ歩いているときでも、そういう目で物事を見ているということですか?

2815

そうですね。電車の中でも面白い中づり広告はないかなど、私の場合はそういう風に常に考えています。

見て、記憶して、アウトプットすることで初めて観察していたことが証明されます。「アウトプットできた量=記憶量」です。なのでアウトプットしない限り観察力は磨かれません。

あとはグルメレポートを書くのもいいと思います。写真を何枚か撮って、どんな味だったのかを思い出して書きます。ほとんどの人は「おいしかった」の一言で終わってしまいます。それを400文字、800文字、2000文字と書けるようになれば、かなり観察力が身につくと思います。

3230

なるほど、たしかにそうですね。食事は誰しも必ずするので、グルメレポートなら普段の生活からできそうですよね。

2815

そうです。例えばラーメン1杯を食べたときに、「味の特徴を詳しく書こう」と思いながら食べていないと、詳しくは書けません。

23

そういう意味では食レポ、面白いですね。

2815

食レポは観察力を身に付けるためのいい練習方法だと思います。

SESSION映画の醍醐味は観終わった後のアウトプット

3230

樺沢先生は映画評論家としてもご活躍されていますが、映画を観てインプットするメリットはどういうものがありますか?

2815

映画が終わった後に調べることですね。ほとんどの人は映画を観終わって「あー面白かった」で終わると思いますが、それはちがいます。「映画を観る」という行為自体は、映画を楽しむ内の10%でしかないんです。終わってからが楽しいのです。

2815

例えば映画を友達やパートナーと観て、感想をアウトプットし合いますよね。その時に「自分はこういう観方をしたけど、そういう観方もあるんだ」という新しい発見があります。一
人で観た場合は、ネットで他の人の感想を見てみるとちがう観方をする人を発見できます。

あるいは歴史や人種などの複雑な問題を描いた作品であれば、少しそういう問題を調べてみるだけで、いろいろな学びが得られます。

3230

映画を観るだけではなくて、観終わった後に感想をアウトプットしたり、他の人の感想に触れたりすることで、それがまたインプットになるということですね。

2815

皆さんただインプットしたままなんです。インプットだけではなくアウトプットをしたり、自分で少し調べたりすることが大切です。ネットで解説サイトを見るだけでも知識が深まります。たったの5分~10分でも少し調べてみるだけで映画の楽しさは格段に違ってきます。

2815

一本の映画から一人の人間が得られる情報量は少ないです。他の人の感想を読んで自分では気づかなかった点があったとしたら、自分だけでは100%観られているようで観られていないということです。私自身は8割~9割は自分だけで情報を取りたいなと思っていますが、それでも映画を観終わった後に他の人の感想を観ると、気づかなかった点が出てきます。

2815

なので映画を観ることは観察力の訓練にもなりますね。「なぜこのシーンでこういうことを言うのか」、「なぜ主人公はこういう行動をとるのか」、「自分だったらこういう行動を取らないのになぜこの人はこう動いたのだろうか」という「なぜ」を意識しながら観ると、観察力のトレーニングになります。

2815

あるいは共感力のトレーニングにもなりますね。「なぜAさんはBさんを命がけで助けたのだろう」とか、映画を観ることでそういうことを考えるトレーニングもできますね。

なんとなく観ているだけではダメです。わからなくてもいいので「わからない」ということを覚えておいて、観終わった後に少し調べてほしいです。

3230

観終わってからが大事なのですね。

2815

観終わってからが全てといっても過言ではないと思いますね。

3230

樺沢先生も映画を観終わった後はアウトプットしたり、調べたりすることが多いのですか?

2815

そうですね。大体ノートに書いています。いい映画は結構感想を書いていますね。すぐに忘れてしまうので、映画を観終わって、家に帰ったらすぐに感想を書き出すのが一番いいと思います。

3230

たしかにそうですね。観た直後の方が記憶が鮮明ですよね。

2815

そうです、そういうものをすかさずメモすることが大切です。

23

ノートに書き記すまでは脳の中で覚えている状態なのですか?

2815

そうですね。記憶は時間が経てば経つほど薄れていきます。2、3日経つともうほとんど覚えていません。なのですぐにメモすることが大事です。

観終わった直後であれば大抵の人が覚えているので大丈夫だと思います。そんなに始めから終わりまで完璧に書かなくても、自分が感動したシーンや、印象に残ったセリフを思いつくままに書いていけばいいです。2~3日してから感想をしっかり書くといいと思います。

23

なるほど。全部覚えておかなくてはいけないというわけではないということですね。

2815

そうです。感動したところや気になるシーンなど、そこだけを書きます。いい映画を観たと思ったのなら、その中でいいと思ったシーンが必ずありますよね。そこをいくつかメモしておくだけでも全然違います。1週間もすればどこで感動したのか忘れてしまいますからね。せっかく感動して心が動いているのに、もったいないです。

メモしておくと、そのメモを見返しただけで感動がよみがえるというメリットもあります。2度も3度も楽しめますよ。

23

映画以外でもできそうですね。

2815

そうですね。映画以外でも、みなさんの好きなものでいいと思います。とにかく感動した経験をしたら、言語化しておくことが大切です。

それが習慣化すると、インプットをする際に頭がアウトプット前提になるので、より情報を多く得ることができます。そうすると、その分感動がより大きく感じられるようになってきます。

3230

なるほど。一つの作品をしっかりと楽しみ切ることが大切なのですね。

2815

そうですね。味わい尽くしてほしいです。せっかくお金を払って映画を観ているので、感想をメモして2倍も3倍も楽しめたほうがいいですよね。その方がお得だと思います。

SESSION自分が必要な情報だけをインプットする

3230

樺沢先生は脳内に、脳内情報図書館をつくられているということですが、詳しくお話を伺ってもよろしいでしょうか?

2815

「曼荼羅チャート」というものを書きます。自分にとって必要な情報と必要ではない情報があります。自分にとって必要な情報は何なのかを一度紙に書き出してみるといいと思います。

2815

一旦書き出しておくと、例えば書店に行ったときに自分に必要な本がすぐに目につくようになります。あるいはネット上でも様々な情報がある中で自分に必要な情報が探し出せるようになります。

2815

私の場合は「心理学」や「脳科学」「精神医学」というキーワードがあれば必ず見ます。自分に必要な情報がわかっていると、瞬間的に「この情報は見た方がいい」と察知できるのです。必要な情報は感情も動くので記憶にも残りやすいです。どうでもいい情報は、自分にとって不必要なのですぐに忘れてしまいます。

2815

本当に必要な情報を選択的に集めていくことを「アンテナを張る」と言います。そのために必要なキーワードを整理しておくことを私は「脳内情報図書館」と呼んでいます。ぜひみなさんにも一度やってみて欲しいです。

3230

自分に何が必要なのかを事前に把握しておくということですよね。

2815

そうです。例えば10個ニュースが流れたとしたら、その中で本当に自分が知っておかなければいけない情報ってせいぜい2つか3つです。10個中10個全部必要だという人はいないと思います。

2815

それだったら事前に必要な2~3個のニュースだけを見ればいいわけで、そういう意味ではネットニュースの方が効率的ですよね。テレビでも自分がどうしても観たいテレビ番組は観てもいいと思いますが、そうでないものがほとんどです。

なんとなく惰性で観てしまうことが多いので、テレビはもったいないことをしてしまいやすいです。いい番組もありますし、私自身も観ている番組はありますが、本当に自分が観たいものだけを観るというのがいいテレビの観方です。

3230

流れで観てしまうのが一番よくないということですね。

2815

ついついつけっぱなしにしてしまいますよね。1日24時間しかないわけですから、それをどう有効活用するのかを考えたときに、本当にあなたが必要な情報だけを集めるようにするだけで、インプットの効率が上がります。

23

なるほど、インプットの効率が上がればその分アウトプットする時間も確保できますよね。先生、今日はありがとうございました!

2020年07月14日 公開

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2020年06月26日 放送分
『学び効率が最大化するインプット大全』著者:樺沢紫苑さん

『学び効率が最大化するインプット大全』著者:樺沢紫苑さん

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