目次
- コロナ禍で増えたストレスに効く「考えない」という方法
- 「会社を辞めよう」と考えなくていい
- 「いつでも連絡が取れるようにしなければ」と考えなくていい」
- 「この仕事を好きになろう」と考えなくていい」
2021.05.17
現代社会で働くうえで、ストレスはいやおうなくつきまといます。
つらさや憂鬱を抱え、どのように気持ちを処理していいか悩んでいる方は、想像以上に多いはず。
そういった悩める方々におすすめの書籍が『どうしようもなく仕事が「しんどい」あなたへ ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)。著者は産業医・精神科医・検診医として日々、健康障害や労災の未然防止、精神科疾患全般への対応、予防医療などに携わるメンタル産業医の井上智介先生です。
「大ざっぱ(rough)」に「笑って(laugh)」人生をたのしんでもらいたいという思いから「ラフドクター」を名乗る井上先生。
いったい何を私たちは「考えなくていい」のか? 本記事で学んでいきましょう。
最初に取り上げられたのが「『会社を辞めよう』と考えなくていい」という項目。「僕自身は会社を辞めようという選択肢は必ず持っていて欲しい」と井上先生は話します。そのうえで、会社を辞めようと考える前にいろいろとやれることがあるというのが先生の考え。
例えば、人間関係でトラブルを抱えているならば、まずは相手と仲良くなろうと考えず距離をおいてみる、最低限のリアクションしかしないと決めるなど「相手について考えない」ことが有効です。
もしもパワハラや暴言などがある場合に先生が試してほしいと話すのが“あえて聞き返して相手に自分の発言内容を復唱させる”こと。相手に自分が何を話しているのかについて自覚を促し、ストッパーをかけることが重要だと先生は話します。井上先生のような産業医に相談してみるのも一つの手段かもしれません。
続いてのテーマは「『自分はコミュ障だ』と考えなくていい」。職場の雰囲気になかなかなじめないという方は、そのことについて思い悩む必要はありません。職場は仕事をするための空間です。注力すべきなのは業務で成果を出すこと。コミュニケーションの悩みについて考えず、仕事で力を発揮すればかえって周囲に認められる可能性も高まります。
それを前提として、コミュニケーションの第一歩として重要なのが“挨拶”。職場で輪に入れないと悩んでいる方は“挨拶され待ち”のような状態になってしまっていることが多いと井上先生。無理に面白い話を持ちかける必要はありません。それよりも「自分から名前を呼んで挨拶する」という簡単なことからコミュニケーションを試みてみましょう。
テーマは「『いつでも連絡が取れるようにしなければ』と考えなくていい」に移ります。リモートワークが普及したことで、「いつでもどこでも即座に対応しないと仕事をサボっていると思われそう……」とプレッシャーを感じる方が増えました。
「そもそもそういう風に感じさせる会社は危ない傾向が強いと僕は思います」と先生。心理的安全性が担保されない環境では、仕事のパフォーマンスは上がりません。少し期間が空いてしまったら「電話に出られなかった理由を述べればいい」と考えるようにしてみましょう。
また、社会人の基本といわれる「『早寝早起き』についても考えなくていい」と井上先生。リモートワークで出社がなくなることで生活リズムが乱れがちになる人が増えました。そのような生活に陥らないために「早寝早起き」を意識して普段よりずっと早い時間に寝るように心がけているという方も多いのでは?
しかし、無理をして眠たくもないのに布団に入るのは規則正しい生活リズムにとって逆効果になりやすいと先生は指摘します。朝起きる時間と三食の時間は固定すべきですが、それ以外についてはある程度ずれてしまってもしょうがない、と肩の荷を下ろしてみましょう。「寝なきゃ!」という強迫観念が質の高い睡眠の一番の敵なのです。
次の話題は「『この仕事を好きになろう』と考えなくていい」。「好きなことで生きていく」というスローガンに代表されるように、仕事と好きなことを重ねることがいいこととされる時代です。「自分も何か好きなことを仕事にしなきゃ! でも何をすればいいのかわからない……」と考えた経験はありませんか?
しかし、そのような状態は井上先生が語るところによると「普通」です。やりたいことは必死に探して見つかるものではなく、偶然の出会いで自然と時間をかけるようになっていくことがほとんどです。「誰もが自分の好きなことを仕事にしているわけじゃないのは朝の満員電車に乗る人々の顔を見ればわかるはず!」と先生。無理をしたり自分の気持ちをごまかしたりする必要はありません。与えられたことを淡々とこなすだけで合格点と考えると、気持ちが楽になるはずです。
ここでリアルタイム受講生から「距離を取りたい人に限って仕事で関わっていたりする。しかも仕事の工程的に私のほうが後なので嫌な仕打ちを受けることも。腹立たしくて困っています」というコメントが。このような状況では、“自分が相手とどこまで関わって仕事ができるか”という線引きを明確にすることが重要だと井上先生。そのうえで「逃げる」という選択肢も手放さず、まずは相手について「考えない」という手段をとるのがベストだと先生は答えました。
本授業の前半の内容はここまでです。先生の講義をもっと受けたいという方は録画授業をぜひご覧になってみてください。 あなたの不安やストレスは「考えない」というだけで大きく軽減されるかもしれません。そうして空いた思考のスペースで本当に「考えたいこと」を考えましょう!
文=宮田文机
ペンシルからのプッシュ通知を設定しておくと、新着記事のお知らせなどをブラウザ上で受信できて便利です。
通知を受信しますか?
「コロナ禍において大きくストレスを抱える人が増えた」と井上先生は指摘します。生活不安や先の見通せなさ、家で過ごす時間が増えたことで考え込む時間が増えたなど、さまざまな要因が考えられるでしょう。
根本的な解決手段のひとつとして先生が掲げるのが「考えなくていいことを考えないこと」。そのための考え方やノウハウがつづられているのが『どうしようもなく仕事が「しんどい」あなたへ ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』なのです。リアルタイム受講生からも「常にモヤモヤしています」「取り越し苦労ばかりです」など共感のコメントが寄せられました。
メールやチャット、ビデオ会議など進化・普及したテクノロジーは、人が取り扱う情報量を何倍にも増やしました。それにより、しんどい思いをする人も増えてきていると先生は語ります。
それでは「考えなくていいこと」リストの具体的な内容を見ていきましょう。