目次
- 「書いて伝える時代」に高まるメールの重要性
- メールに求められるスキルは「文章力」だけではない
- 大量のメールに振り回されないためには「○○」を決めるべき
2022.03.08
コロナ禍により、非対面のコミュニケーションを取る機会が増えました。やはりメールはその中でも最も広く用いられているものの一つです。いつでも送受信可能なメールは便利ですが、その反面「即座に対応しなければ……」と気遣うあまり気疲れしてしまう人も少なくないといいます。
いったい、メールに振り回されずに上手にコミュニケーションを取るにはどうすれば良いのでしょうか?
Schooの『テレワーク時代に必要な 「振り回されないメール処理の仕方」』は日本初のビジネスメール教育事業の発起人であり、書籍『テレワーク時代のメール術』(WAVE出版)著者である、株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役の平野友朗先生を招き、テレワーク時代にこそ意識したいメール術についてレクチャーする授業です。
今まで約140万通のメールを送受信してきたという平野先生。大量にメールを読み、書いてきた経験から語られる知見をお届けします。
「『メールに求められるスキル』ってどんなものがあるでしょうか?」と平野先生は問いかけます。
「読む気にさせるスキル」「要約力」「的確に伝える」など、またも色々な回答が寄せられます。この質問をすると「多くの人が『文章力』に偏ってしまいがち」だと平野先生は話します。人の心を感動させる文章を書く能力も文章力ですが、そのような力はビジネスメールでは必要ありません。大切なのは、「正しく伝える」ということです。
重要なのは、「文章力」「気遣い」「想像力」「一般常識」「ITスキル」「思い切り」「進行管理力」「予測力」などビジネス基礎力ともいえるスキルをカバーすることだと先生は語ります。
文章内容だけでなくメールの送り方やその後のフォローで「この人は接しづらそうだな」「仕事がしやすそう」と判断されることもあります。そのため、メールでも相手を気遣い、コミュニケーションを円滑に進めようという意識が求められます。
平野先生がコミュニケーションの鍵として伝授するのが以下の3つです。
1.伝える
2.理解する
3.管理する
すべてのコミュニケーションは発信者が「伝え」、相手が「理解する」という関係で成り立ちます。伝える段階では、「『自分が伝えたいこと』ではなく『相手が知りたいこと』を伝える」という意識が重要だと先生。相手の持っている前提条件を想像し、それに合わせて伝え方を工夫します。2つの意味にとれる言葉や曖昧な言葉、不快感を与えかねない表現はなるべく排除しましょう。
すべてのコミュニケーションは発信者が「伝え」、相手が「理解する」という関係で成り立ちます。伝える段階では、「『自分が伝えたいこと』ではなく『相手が知りたいこと』を伝える」という意識が重要だと先生。相手の持っている前提条件を想像し、それに合わせて伝え方を工夫します。2つの意味にとれる言葉や曖昧な言葉、不快感を与えかねない表現はなるべく排除しましょう。
理解する段階でも、相手の立場に立って考えることが重要であることは「伝える」段階と変わりません。読み解くべきなのは相手の意図だけでなく、感情やそもそも持っている前提にまで及びます。先生は複数のパターンで相手の意図を読み解き、ほぼひとつに絞れる場合はその内容を選択し、いくつかの可能性が考えられる場合は相手に必ず確認する一文を含めるということです。
いよいよ「大量のメールに振り回されない方法」に話題は踏み込みます。かつては即座のメール対応は喜ばれると考え12時でも、深夜1時でもメールを返信していたという平野先生。しかし、その結果生まれたのが「深夜でもメールチェックするのが当たり前という状態」と「それが達成されなかった場合の不満」です。
だからこそ先生は現在「私は18時以降メール返信しません。土日はメール見ていません」と事前に明言しているそうです。日本ビジネスメール協会の「送信後いつまでに返信が来ないと遅いと感じるか」調査によると、最も割合が高いのが「1日(24時間)以内」の44.59%で、2番目が「2日(48時間)以内」の22.42%でした。中には5分や15分、といった回答もありますが「こういう人とは仕事しない方がいいですね」と先生。
上手くメール処理するためにおすすめされたのが「メール処理する時間を決める」という方法です。先生は朝出社した時点で「前日~当日朝9時までに届いたすべてのメール」を、お昼に「午前中(9時~13時)に届いたメール」を、18時の退勤前に「午後(13時~18時)に届いたメール」を処理するというルールを設けているということです。
平野先生は「そうすると、相手は待たされているって感じがしないんですよ」と話し、1日100~300通という大量のメール処理の効率が非常に高まったことに触れました。
常にメールが届いていないかと気を配ることは、仕事の効率に悪影響を及ぼします。だからこそ先生は、メール受信のデスクトップ通知をストップさせ、メールを見るのはメールを処理する時間だけと決めることを奨励します。下書きや予約配信も駆使して、メールを処理する時間は最小限にとどめましょう。
この記事で紹介する、日々大量に届くメールに振り回されない方法は以上です。授業の残りでは、「メールの返信が来ないときはどうすればいいのか」問題への対処法レクチャーや、リアルタイム受講生との質疑応答が行われました。
そちらはぜひ実際の授業動画で確認し、平野先生のノウハウを明日からの仕事に生かしてみてください。
文=宮田文机
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授業は「一日に処理するメールはコロナ前と比べて増えましたか? 減りましたか?」という質問からスタートしました。教務課からタイムラインで問われたアンケートの結果は、やはり「増えた」が優勢です。また、チャットツールを使う機会が増えたという声も。
実際、先生が代表理事を務める一般社団法人日本ビジネスメール協会が毎年取っている「1日あたりの送受信件数」の調査結果は、送信数・受信数ともに年を追うごとに増加しています。
続いて問われたのが「メールのやりとりでどんな悩みをお持ちですか?」という質問。
・正確に書こうとしてかえってややこしくなってしまう
・2通りに読める文章の解読が難しい
・知らず知らずのうちにメールの返信に時間がかかってしまう
上記のような意見がタイムラインに並びました。
現代を「書いて伝える時代」と平野先生は表現します。その背景にあるのが、働く場所、働く時間、コミュニケーション手段という3要素の多様化です。リモートワークや時短勤務など現代人の働き方はさまざま。だからこそ、リアルタイムでのやり取りが求められる「話す」やり取りよりも「書く」やり取りの比重が、メールやチャットツールが普及したこともあり高まってきているのです。
「テレワークが始まっても何も変わらなかった」という平野先生。普段からメールを多用していたことで、コロナ禍の働き方にもスムーズに対応できたということです。