目次
- DXプロジェクトの成功には「○○」が重要
- 社内の課題を見つけるうえで重要な2つの問い
- 3ステップで現状を分析し、解決策を策定する
2021.07.30
あらゆる業種や業界でDX推進が進むいま。特に新型コロナの影響からその重要性が高まったこともあり、『自社でも本腰を入れてDX推進に取り組んでいきたいが、どのように進めていいか分からない』というDX人材の育成に関わる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな人たちに向けて放送されたSchooの授業シリーズが「いまさら聞けない『DX入門』」。講師は『いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略』(インプレス)著者でディップ株式会社dip Robotics室長/人間中心設計専門家の亀田重幸先生です。
この記事はシリーズ第二回『実践者が解説するDX推進計画づくりの指南』の内容をご紹介します。DX推進初心者にとって壁となりやすい計画づくりをまとめて理解していきましょう!
続いてはいよいよ本題、「DXプロジェクトの計画書の作り方」です。
先生が社内のDXプロジェクトにあたって用意した計画内容が以下のスライドです。
「そもそもDXって?」基礎から学べる研修プラン
「よく見ると普通のシステム開発の計画書と変わらないですよね?」と先生。DXプロジェクトの計画書だからといって見出しに特別なものがあるわけではありません。
ただし、特に目を向けるべきものとして先生が提示するのが「ビジョン」。何のためにDXを進めるのか、と未来の方向性を示すことが私たちには求められます。
そこで特に重視すべきなのが、プロジェクトでも前半に位置する「課題」「現状」「企画」のステップ。ビジョンを肉付けする意識でビジネス課題を影響度も考慮しつつ洗い出し、周知。
つづいて、システムの仕様や眠っているデータなど社内の現状を見える化し、どこを改善すべきか当たりをつけていきます。それをもとに「ビジネスをどう変えていきたいか?」というビジョンを策定しましょう。
そこまで決まってようやく「運用・体制図」「費用対効果」「スケジュール」といった詳細を詰められるようになります。
課題を見つけるにあたって問いかけるべきなのが以下の2つです。
・ビジネス上の課題を見つけているか?
・どこのだれが何にどのくらい困っているのか?
「課題の設定は非常に大事です」と先生。間違った課題を設定すれば、その後のビジョンや計画もおのずから方向性を誤ることになるからです。
DXの計画書を考える際はプロジェクト自体を一つの“ビジネス”と考えるマインドセットが重要。それにあたって有効なのが、ビジネスにおいて欠かせない「ヒト」「カネ」の流れを図示化することです。
課題を大きさや効果などで比較し、優先づけしていきましょう。ここで先生が伝授するのが“ユーザーになりきる”テクニック「コスプレUX」。
現場の人と同じ目線で考えて業務について深く理解します。例えば先生はテレアポ業務に実際に参加することで、多くの場合すげなく断られる電話営業のつらさを身をもって味わったといいます。
課題の次は現状分析です。
ここで意識すべきなのが以下の3ステップ
・システムの現状を理解する
・データの現状を理解する
・あるべきシステムデータの理想の姿と現状のギャップを分析する
「大事なのはシステムを全部つなげて見ることです」と亀田先生。例えばECサイトの場合、買い付けた商品を登録してからそのデータをサイトに掲載し、購入につなげ商品を配信するまでの流れをすべて可視化します。
そうすると、業務のプロセスと各ポイントでどのようなデータが得られるかが整理できるはず。それと重ね合わせるのがシステム上の課題。
「データ登録が面倒」「商品検索が遅い」など課題とともに現状のシステムの状態を書き出し、理想のシステムを導き出します。
課題とデータ、現状と理想がはっきりとしたら、やっと本格的に企画を立てることができます。ビジョンを考え、解決策の方向性を探っていきましょう。
「ここは非常に難しいところなんですけども……」と先生が持ち出したのが「営業現場でデータが取れない」という課題に対して実際に行ったアプローチ例。
データを取得するためにrecolinやkintoneといったサービスを用いて売り上げ情報・顧客情報を収集し、そのデータを用いて営業DXに着手するという流れです。まずこのように先の展開を示しながらそこまでに踏むべきステップを説明することでビジョンは伝わりやすくなるでしょう。
さらに改善策をイメージしやすいよう具体的に整理していきます。たとえば 申込書の作成を効率化するために、使いづらいシステムを廃止し、取得したデータを顧客レコメンドや受注予測、最適なプランの提案といったさまざまな用途に活用していく、といった形でまとめていきましょう。
企画が詰まったら一安心……ではありません。運用のやり方や体制図の作成もプロジェクトの成功のためには押さえておかねばならないところです。運営のやり方をすり合わせるのは全社的な協力が欠かせません。
ROI、検索速度、削減工数などを盛り込んだKPIレポートを作成し、DX推進定例会を開きましょう。ここに現場のスタッフに加えて経営層を巻き込むことで推進が一気に加速します。
現場や経営陣を巻き込むには費用対効果を示すことは効果的です。どれだけの工数削減やコスト抑制につながるのか、ざっくりとでよいので数字で求めてみてください。ここまでできたらあとはスケジューリングの段階へ進むことができます。
いずれにせよポイントは“全社を巻き込む”ということ。そのために課題や現状を把握するところから取り組みをはじめてみてください!
授業のハイライトを本記事ではお届けしました。実際の動画ではリアルタイム受講生との質疑応答などさらなる充実したコンテンツが提供されています。ぜひチェックしてみましょう!
文=宮田文机
『Schoo for Business』について
「今学びたい学習コンテンツに出会える」をコアバリューとし、社会人向け学習動画を約6,200本提供しています。ビジネスマナーやスキル、営業・プログラミング・デザインの実務スキルについてオンライン動画にて持続的な学習環境を提供することで導入企業は累計2000社を突破(2021年5月末時点)。学習動画を元にした研修カリキュラムの提供やレポート提出、利用者の学習時間・学習傾向から興味のある分野を分析可能。オンライン集合学習機能も搭載。自発型学習による社員一人ひとりの潜在した可能性との出逢い、成長の機会の提供に役立てられている。オンライン学習サービス調査で4部門1位を獲得
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第一回の授業でDXプロジェクトを立案するところまで講義は進められました。第二回は、“その企画について社内合意を取る”というテーマからスタートします。
そもそもなぜDXプロジェクトについて社内合意が必要なのでしょうか? それは、以下のような問題が発生する可能性が高まるから。
・あるシステムのデジタル化だけで終わる
・全社レベルの大きな成果が出ない
DXとは、単なるデジタル化ではなく、会社の利益という結果まで見据えたものだと第一回の授業でレクチャーされました。すなわち、システム導入部門だけでは業務効率化しか実現できず、DXの一部であるデジタイゼーションやデジタライゼーションに留まってしまいかねないのです。
全体の合意を得るために必要なのが「実施計画書」。亀田先生はDXの書籍によく社内の組織体制や推進体制についての話が出てくることに言及したうえで、人を集めても計画がなければなかなかプロジェクトは動かないと語りました。
リアルタイム受講生からは「DXはビジネス分野だけでなく公共サービス分野でより可能性があると思います」とコメントが。先生は「役所で書類を書かされるとかまだまだ、本当に多いですよね」と首肯し、その可能性を認めました。