目次
- 独学に大切なことは「ゴール設定」ではない
- 独学のゴールをどこに定める?
- どのくらい問い詰めてから独学を始めるべき?
- 独学で読書をどのように活用するか
2020.07.15
在宅勤務やステイホームの間、新たな勉強をスタートした人も多いのでは。一人で学び続けるための効率的な勉強方法はあるのでしょうか。
Schooの授業『トップランナーの独学』では、様々な業界で活躍しているトップランナーが、日々どのような学びを行っているのか、独学ノウハウを学びます。
独学における目的と手段を再認識することで、漠然としていた勉強に具体的なイメージができるはずです。
第一回目の授業で講師を務めるのは、オンライン1on1を提供するエール株式会社取締役の篠田真貴子先生。
マッキンゼー、ネスレ、(株)ほぼ日と輝かしい経歴を持つ篠田先生は、キャリアを築かれる中でどのように独学をしてきたか。ここでは、授業の内容を抜粋して紹介します。
受講生から「独りで学んでいるときにゴールが分からなくなる時がある。ゴール設定はどうしていますか?」との質問が届きました。
篠原先生は「ゴールよりも問いが大事」と、まず一言。何がゴールであるかより、「自分にとって何が分かると良いのか」を形づくることに意識を向けて、時間をかけることが大事と話します。
ゴールが分からなくなるということは、問いがまだふわっとしている状態。逆に、問いの答えが見つかれば、学びの道のりは3割も進んだも同然。「これを私はできるようになりたい」と言えるようになれば、協力者を見つけられたり、本や資料を探すのに悩まなかったりと、独学のサポートを得られやすくなります。
何が分かることが自分にとって望ましい状態か。これを突き詰めることで、独学のゴールが自然と見えてくるかもしれません。
授業では、「よりよいゴールが見えるためにどんな問いを自分に向けたらいいのでしょうか?」といった質問も出ました。先生の解答は、実際の授業をご覧ください。
次に、受講生から「どのくらい問い詰めてから独学をはじめていらっしゃいますか?」との質問が寄せられました。
篠田先生は、「始めはぼやっとしたところから動き始めるが、独学の道のりの半分は、問いを整地にすること」と話し始めます。
例えば、今回の新型コロナウイルスについて。篠田先生は「この状況をどう理解して、考えていけばいいか」とぼんやりした問いが浮かび、ウイルスそのものより、世の中や人の意識がどう変わるかを知りたいということに気づきます。
それから、その問いを整地にしてくれるであろう本を3冊決めて、問いを念頭に置いたうえで読んでいきます。本を読んで材料を集めながら、今の状況下での世の中の変化や、逆に変わらないことがだんだん分かってくる。このようにして、学びを深めているそうです。
興味を持ったらまず学び始め、学びながら問いを深め、深まったところでまた学びなおす。篠田先生の独学術は、あらゆる勉強に置き換えられそうです。
授業の後半で届いた質問は、「積ん読が解消できません。興味を絶やさぬまま本を読みきるコツなどあれば教えていただきたい」というもの。
なぜなら、自分の問いにどんぴしゃの本はないからです。いわゆるノンフィクションや学術的な本については、「一冊を全部読む呪縛は捨てたほうがよく、興味のあるところだけ読めばいい」と言います。実際、篠田先生は、実際に買った本の2割ほどしか読んでいないと告白。
「本は一章で問題提起をしているから、そこから読み進めることができなければ自分の問題とマッチしていない」と、篠田先生は分析。勉強しようと思うと、つい学生時代に培った“やりきらなければいけない”呪縛に縛られてしまいますが、大人の独学は「もっと自己中になっていい!」と、受講生を励ましてくれました。
そのほか授業では「どのように自身の好奇心をわきたてている?」「アウトプットしたいときにどのように周りに関心を持ってもらう?」など、独学のヒントとなる質問も集まりました。その答えは、ぜひ実際の授業でご確認ください。
トップランナーが行っている、知られざる独学にスポットを当てるSchooの連載企画『トップランナーの独学』。Googleカレンダーに登録し、授業を楽しみに待ちましょう。
文=田中ラン
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まずは、篠田先生にとって「学ぶ」とは何か、お話いただきました。
「知ること(knowing)、何かができるようになること(doing)、人間としてよりよくあること(being)を、今の状態より良くしたい」ことであると、篠田先生。
“高みを目指す”と言いますが、何を持って高みというかは人それぞれ。学ぶことを広義に捉えている篠田先生は、例えば「お掃除をもっと効率的に行いたい」といったことも学びのひとつであり、効率的に掃除したいために適切な情報を探して試して……を繰り返すこともまさに独学だと言います。