目次
- 「5W1H法」で質問力向上の第一歩を
- 相手をイラつかせない「タテ型ドリル質問法」
- 相手の本音を引き出す方法
- あえて「現状を肯定する」
2020.10.12
人との会話をもっとうまく進めたい。会話を通してもっと本音を引き出したい。
仕事でもプライベートでも、そんな風に思ったことがあるという人は少なくないでしょう。
仕事の根幹ともいえる会話をうまく進めるにあたって重要な「質問力」。Schooの授業『仕事を有利に進めるスキル「質問力」』では、博報堂フェローのひきたよしあき先生から、質問力を磨くためのポイントを優しい語り口のトークとともにお届けしています。
博報堂にてCMプランナー、クリエイティブディレクター、スピーチライターとして活躍後明治大学をはじめとする大学の講義に登壇し、「朝日小学生新聞」のコラム“大勢のあなたへ”でも支持を集めるひきた先生はまさにコミュニケーションのプロアドバイザー。
ノウハウをひとつでも自分のものにして、会話を楽しく上手に進めましょう!
続いて挙げられた質問力向上メソッドは「タテ型ドリル質問法」。大学時代に法学を学んでいた際「犯人をどう尋問するか」について講義を受けたというひきた先生。そのときポイントとされていたのが「質問を散らせる」こと。
自分:お前、昨日何やってたんだ?
犯人:家にいました。
自分:お母さん何やってるんだ?
犯人:主婦やってます。
自分:小学校の時○○って友だちいただろう…?
このように質問を進めることで犯人はだんだんイライラしてくる、とひきた先生。会話の脈絡がつかめないからです。犯人をいら立たせて思わぬ自白を引き出すにはこれでいいかもしれませんが、普段の会話ではNGですね。
このような会話法を反面教師として実行することを先生がおすすめするのが「同じ質問を3回聞く」こと。
自分:何が好き?
相手:パスタが好き。
自分:じゃあ、パスタのおいしいお店どこか知ってる?
相手:吉祥寺においしいお店があるよ
自分:吉祥寺か! 普段誰といってるの?
相手:家族といってるよ。
上記のように同じテーマ(パスタ)について3つ質問することで相手をいら立たせることなくスムーズに会話を進めることができます。
「脈絡のない質問をするということは、話を聞かずに次の質問を考えているのではないか……?」という疑念を相手に抱かせてしまうとひきた先生。相手に話を真剣に聞いているという姿勢を見せることが重要です。
もちろんすべてのテーマに対し3つの質問を用意すべき、というべきではなく臨機応変な対応は必要になります。とはいえ、質問を散らして相手をイライラさせてしまう自覚のある方は、「タテ型ドリル質問法」を肝に銘じておいた方がよいでしょう。
「5W1H法」と組み合わせればさらに効果は高くなるはずです。
さて、3つ目のポイントは「『現実』と『理想』のギャップをつくる」。「これはスピーチのコメントを書くために社長さんなどとお話しするときにすごくよく使っています」とひきた先生も太鼓判を押す手法です。
「相手に現実の状態と理想、そのギャップを話してもらうことによって“本音”が聞き出せる」とひきた先生。
例えば営業マンの本音を知りたい場合まずは「現状はどうですか?」と尋ねます。そして「いや~大変ですよ。コロナの影響もありますし……だいたい売り上げ半分くらいになってますね」といった返答が得られたとしましょう。つづいて「じゃあ、どのくらい売上が上がればいいと思ってるの?」と理想について質問します。すると「まあ~、以前の100%まではいかなくても80%くらいには戻したいですね」といった返答が得られるはず。
そうなれば、現状が50%、理想が80%という情報が得られます。そこから現実と理想のギャップを埋めるにはどうすればいいかという建設的な話し合いを始められるというわけです。
「これをやるとみなさんものすごくよくしゃべってくれます」とひきた先生。具体的にイメージしやすい2つのポイントを尋ねることで、相手も返答しやすくなるのかもしれません。
4つ目のポイントは「現状を肯定する」。前述の「現実」を話してくれた営業マンに対し、「いやいや、それでもおたくはまだまだいい方ですよ」といささか楽観的な返答をあえて行います。すると、相手は「お前は全然わかってない」となぜ前述の現実を認識するに至ったかの理由を話してくれるのです。
あえて肯定することで、相手は甘い認識を改めさせようと、詳細に本音を説明してくれるというカラクリです。
授業ではほかにも「『つまり、こういうことですね』とまとめてみる」などのテクニックが紹介されました。すべてを知りたい方はぜひ実際の授業動画にアクセスください!
ひきた先生の「ことば」にまつわる授業がもっと見たいという方には、授業シリーズ『世界を勇気づける言葉~今、言葉のちからを学ぶ』もおすすめです。
『仕事を有利に進めるスキル「質問力」』
http://schoo.jp/class/7219/room
文=宮田文机
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質問力・基礎編ひとつめのポイントとして先生が掲げたのが「5W1H質問法」。
「質問するのが大の苦手、学校で最後に質問をしてみてくださいといわれても当たらないようにしていたという方はたくさんいると思います」とひきた先生。「それでもどうしても質問しなければならないというときにはまずこれだけ覚えてください」という、まさに質問の補助輪的なポイントがこの「5W1H質問法」です。
When:いつなの?
Where:どこで?
Who:だれが・だれと?
Why:なんで?
What:何の?
How:どうやって?
この6つの視点からの疑問の提示が5W1H法。「5W1Hの質問をすると相手は『どこで』や『いつ』を答えざるを得ない。そのうちにだんだん『話をきいてもらえているな』と感じるはず」と先生は述べます。英語の文法などで耳にしたことがある言葉ですが、会話でも非常に大事だと先生は念を押します。
例えば昔ばなし『ももたろう』の有名な文章「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました」には「いつ」「どこ」「だれが」「何を」といった5W1Hの要素が詰まっています。これはもともとドイツで学んできた文学者の森鴎外が教科書をつくるために構築したといわれています。「こういう作り方によって日本人の日本語ができていった」と先生。
「何かあったら5W1Hの質問を1個でもいいから見つけることから自分の質問力がついていく」と先生は断言します。
会話で「なるほど」などと相槌をうって、その後の言葉が進まないという状況はあるあるですが、そんなときは「5W1H」をまず思い出すことが重要なようです。